舞台『熱海殺人事件 LAST GENERATION 46』で女優として大きな一歩を踏み出した今泉佑唯が“四代目”あずみとして主演する『あずみ~戦国編~』の稽古場公開が3月5日(木)に東京都内で行われ、今泉と瀬戸利樹、味方良介、高橋龍輝、神永圭佑、小松準弥、吉田智則、演出の岡本俊一が登壇した。
本作は、小山ゆうによる人気コミックを原作とした舞台。2003年と2005年と二度、上戸彩主演で映画化され、舞台版では2005年に黒木メイサ、2016年には川栄李奈主演で上演されている。
公開されたのは、あずみが登場する物語冒頭のシーン、名だたる武将を次々と斬ったあずみが最強の剣士・最上美女丸と対峙するシーン、あずみが豊臣秀頼の救出のため決死の覚悟で大阪城に向かうシーン、あずみがうきはと共に大阪城を抜け出すシーンの4シーン。いずれも、ステージを縦横無尽にキャストたちが動き回り、緊迫感ある殺陣が続く迫力のある仕上がりとなっていた。また、今泉は殺陣初挑戦ながら小柄な体を活かしたアクションと素早い動きで、男性陣に負けず劣らずの奮闘ぶりを見せた。あまりの激しさに、場面公開が終わったあと倒れ込む瀬戸の姿も。
稽古場公開後に行われた囲み取材で、今泉は「通し稽古はやっていましたが、殺陣のシーンだけが続くことはなかったので、お見苦しいところをお見せしてしまったかも・・・。本番はもっとたくましくなりたいと思います」と苦笑いでこの日の稽古を振り返った。そして「 毎日プレッシャーで不安もありますが、やるしかないと思いますし、この作品に携わってくださる全員が、『あずみ最高だな、楽しいな』と思える作品をみんなで作りあげたい。そのためにみんなでがんばれたら」と座長としての思いを語った。
うきは役の瀬戸は「緊張しまくりです。まだ不安な面がたくさんあるので、なんとか自信がつくようにやっていくだけだと思っています」と改めて気を引き締める。飛猿役の味方は「本番までもう2週間ないくらい(の時期)ですが、まだまだ上にいけるであろうと思っています。まだみんなの最大限が出ていないので、ここから先、MAX値がどれだけ上げられるのか楽しみです」と心境を明かした。
味方とWキャストで飛猿役に挑む高橋は、「毎日楽しく、全力で稽古しています。僕自身は、今回、味方くんとWキャストなので、二人で話し合いながら今も作っている最中。本番にはさらに良いものをお見せできると思うので楽しみにしていてください」とアピール。豊臣秀頼役の神永は「(稽古は)楽しさの中でも熱量がすごいです。疲労が少し見えた時には岡村さんが『がんばろう』と一言くださって、楽しさの中にも引き締まった部分があるので、そこがとても素敵なカンパニー」とコメント。
美女丸役の小松は「刺客、最強の敵という役どころで作品はやらせていただいていますが、カンパニーは楽しく稽古しています」、吉田は「男ばかりの暑苦しい稽古場ですが、ずーみん(今泉)の明るさに助けられています。あとはブラッシュアップしていくだけだと思います」と意気込んだ。
2月26日に、政府が新型コロナウイルスの感染拡大を予防するため、大規模なスポーツや文化イベントについて2週間の中止、延期または規模の縮小を要請したことから、現在、数多くの舞台公演にも影響が出ている。この状況を鑑みて、稽古場でも予防対策を行なっていることを明かし、味方は「手洗い、うがいを徹底しています」と話す。今泉も「それからR-1を飲んでいます。飲めば風邪を引かないと思っているので、稽古場に差し入れするぐらいR-1を信じています(笑)」と、それぞれ対策をしながら日々の稽古に向かっていると明かした。
また、演出の岡村俊一からは公演の開催状況について「3月10日前後に当初の2週間(の自粛期間の終わり)がくるので、世の情勢や各所の見解はを待つ形ですが、準備は進めています。劇場では動員規制をかけたり、換気状況をよくしたり、次亜塩素酸類を散布するという予防策をとって、お客様をお迎えするように準備はしています」と説明がなされた。
岡村は改めて「不安もあると思いますが、これだけ明るく稽古に励んでいるので、なんとか皆さんに応援してもらえる状況を作れればと祈るばかりです」と公演への思いを語り、高橋も「ここまで稽古してきて、色々な壁を乗り越えてきた。何としてでもやりたいという気持ちはみんな一緒です」と前を見る。そして、今泉は「みんなの熱量をぜひ感じていただけたら嬉しいです」と力を込めた。
『あずみ~戦国編~』は、以下の日程で上演される。
【東京公演】3月14日(土)~3月29日(日) 東京・Bunkamuraシアターコクーン
【大阪公演】4月4日(土)~4月5日(日) 大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
(取材・文/嶋田真己、撮影/エンタステージ編集部 1号)