碓井将大、辻本祐樹、木ノ本嶺浩らが“詩”を通して言葉と向き合うオムニバス『る・ぽえ』稽古場レポート

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2020年1月25日(土)より東京・新国立劇場小劇場にて、鈴木勝秀×る・ひまわり第3弾公演として、二人芝居『ウエアハウス-double-』と『る・ぽえ』が同時上演される。『る・ぽえ』は、3人の詩人、高村光太郎、萩原朔太郎、中原中也の物語をオムニバスとして描く作品。碓井将大、辻本祐樹、木ノ本嶺浩、林剛史、加藤啓が3人の詩人の人生を舞台上に乗せる。

「智恵子抄」は、妻・智恵子が狂っていく様を、智恵子が亡くなった後の光太郎の目線で描く静かな愛の告白。「月に吠える」は、独自性を貫き、多趣味な性格で自己を形成し続けた朔太郎と友人たちのバカ騒ぎの日々。「中也と秀雄」は、親友に女を奪われた中也は、その時何を想ったのか・・・女からひも解く“告白者”の人生。“詩”に触れる機会が少ない現代だからこそ、三者三様の魂のこもった“言葉”を通してその人生を描き出す。以下、稽古場から届いたオフィシャルレポートを紹介。

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一人、また一人と稽古場に訪れる役者たち。にこやかに挨拶を交わし、それぞれに準備を始める──と思いきや、いきなり舞台のど真ん中で木ノ本が台詞を放つ。と、まるで待っていたかのように碓井、林が台詞を返し、くるくると周りで踊りだす。その様子を気にするでもなく、辻本と加藤は談笑し、柔軟体操を始めた。

やがて仮に組まれたステージのそこここから台詞が聴こえ、声が交差し、役者たちが動き回る。ちなみに、まだ稽古は始まっていない。けれどこれが彼らなりの準備なのだろう。

「はい、じゃあ」と静かにスズカツが言う。とたんに、しん、となり、空気がパリッ、と引き締まる。「一回、通します」その言葉で全員が静かにステージ上の自分の立ち位置へ。今度こそ稽古の始まりだ。

スズカツさんの稽古は怒号が飛び交う・・・なんていうことはなく、とても静かで丁寧だ。木ノ本を囲み、にぎやかに踊る碓井と林に「盛り上げる場面ではあるけれどバラバラすぎる」「個々が勝手に盛り上がるのではなく観客に向けるタイミングを揃えてきれいに」「(林は)背が高いから、二人がぐにゃぐにゃ動く時にぴんと立っていたほうが際立つよ」と、それぞれの動きと身体の対比とバランスを見極めて、この場面で観客に届けることは何か?を具体的に言葉にする。

役者はその意図を受け取り、解釈し、演じることで自身のものとする。ただ単に騒がしく動いているように見えて、実はとても緻密に繊細に一瞬をあわせていく。その上で、まったくもって野放図に見えるように、演じる。すごい。

それは台詞運びも同じ。「反射的に振り向くのではなくて、この単語を聴いてから振り向いてほしい」とスズカツ。段取りで動くのではなく、誰かの思いから発せられた言葉に別の誰かが反応し、それがさらに次の反応を呼び、連鎖してうねりとなり、物語が生まれていく。

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もちろん台詞だけでなく、台詞にあわせて飛び出たしぐさに思わず笑いがこぼれる一幕も。名を告げるだけなのに加藤の動きがおもしろい。辻本と木之本が会話しているだけなのにその様子が奇妙で愉快。会話、動き、気配、指先からつま先、視線、そのすべてで作品世界を楽しませるため、全力を尽くす5 人の役者がそこにいた。

登場するのは高村光太郎、萩原朔太郎、北原白秋、芥川龍之介、森鴎外、そして中原中也などの詩人、文豪たち。「智恵子抄」「月に吠える」「汚れちまった悲しみに」といった広く知られる詩をモチーフに届けられる、鈴木勝秀さんの意欲作がここに。

『る・ぽえ』は、1月25日(土)から2月2日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて上演される(『ウエアハウス』と同時上演)。なお、下記日程では終演後にトークショーが開催される。

◆アフタートーク
1月26日公演/1月29日公演
登壇者:碓井将大、辻本祐樹、木ノ本嶺浩、林剛史、加藤啓
1月28日公演
登壇者:小早川俊輔、井澤巧麻、鈴木勝秀

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(オフィシャル取材・撮影・文/おーちようこ)

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