2020年1月25日(土)に、東京・新国立劇場 小劇場で『ウエアハウス-double-』と『る・ぽえ』が開幕した。2作とも、鈴木勝秀(スズカツ)とる・ひまわりがタッグを組んで上演する、どっぷり演劇に浸れる仕上がりとなっている。『ウエアハウス』は、スズカツが、エドワード・オールビーの戯曲『動物園物語』をモチーフに創作し、26年に渡りライフワークとして上演し続けている実験的シリーズの最新作。今回は、平野良と小林且弥の二人芝居で上演する。『る・ぽえ』は、3 人の詩人・・・高村光太郎、萩原朔太郎、中原中也の物語をオムニバスに、碓井将大、辻本祐樹、木ノ本嶺浩、林剛史、加藤啓が挑む。
開幕にあたり、スズカツと各作品の出演者より、初日コメントが届いた。
『ウエアハウス-double-』
◆平野良
鈴木勝秀さん作の『ウエアハウス』、30年近く形を変えながらも上演されているこの作品を小林且弥さんという尊敬する先輩と二人芝居という濃密で贅沢な空間で演じることができてとても幸せに感じます。今この時期に新国立劇場で二人芝居をさせていただけるるひまさんにも感謝しかございません。初めての 二人芝居なので台詞量はもちろんのこと挑戦することは多くありましたがお芝居を始めた時の純粋な『芝居が好きだ』を体現できる場所だと思います。何気ない会話からどんどん展開していく物語をぜひとも目撃していただけたら幸いです。
◆小林且弥
この30年近い時の流れの中で、少しずつその有様を変えながらずっと生き続けてきた戯曲『ウエアハウス』。その変遷の中で、いまこの瞬間に僕ら二人がこの物語に挑む意味。その答えを必死に、真摯に探しつづけたいと思います。二人でしか生まれないその瞬間を目撃していただければこれ幸いです。
◆鈴木勝秀
『ウエアハウス』シリーズを、個人的に27年、四半世紀以上も続けている。それも芝居という形式だけではなく、リーディング・ライヴ、CD、美術展など、様々に展開してきた。はっきり言って、僕自身のためにやっている。だから俳優にも、個人的な表現としてやってもらいたいとお願いしている。そうすることによって、そのときその時の『ウエアハウス』が立ち上がる。そしてそこには、演技という衣を脱ぎ捨てた生身の、裸の俳優の姿が浮かび上がる。今回も素晴らしい俳優を見ることができた。ありがとう。
『る・ぽえ』
◆碓井将大
日本の文学史に残るような詩人が書いた美しい言葉を、その時代に生きていない僕たちの肉体を通して皆様にお伝えできるのが楽しみです。僕は中原中也を演じますが、日常生活を送る中では、なかなか味わえないような悔しさや悲しさなどの喜怒哀楽を、皆様がスカッとするくらい舞台で発散できるように、一公演だけで魂が抜けるくらいの熱量を持って演じたいと思っています。
3篇のそして3人の詩人の物語から成るので、1回といわず2回3回とそれぞれの詩人の立場になって見てもらえればと思います。
◆辻本祐樹
演出のスズカツさんとは3度目のお仕事です。とても繊細な演出をなさってくださるので、役作りは一筋縄ではいかないのですが、実験的な稽古がとても楽しく、詩人それぞれの演出の変化にワクワクしながらつい見入り、ドキドキしながら稽古しました。高村光太郎、萩原朔太郎、中原中也の3人の繊細な世界観の違いを楽しんでいただける作品となっています。高村光太郎「智恵子抄」は、僕自身初めての演じ方で、毎日新鮮に舞台上に立っています。じっくりお楽しみください。
◆木ノ本嶺浩
少し前の時代の詩人を演じるわけで、時代が変われば言葉も多少変化する。
現代のそれより過去のそれの方が重く感じる。詩となれば尚更。
詩と詩人について考える日々(そこにはもれなく音楽もある)はとても楽しく、スズカツさんと共に演劇を作れる喜びは一入。
動く、踊る、叫ぶ、暗唱する。色々やります。
僕たちが考えた詩人はこうなりました。そんな詩人達をお楽しみくださいませ。
◆林剛史
稽古を重ね、不安が少なくなってきて楽しさの方が増してきました!
この作品がお客様にどう伝わるのか一人一人見え方が本当に違う作品なのではと思います。
今回、この様な作品を僕がやるのが初めてなので緊張から始まり、不安に変わり、楽しみに変わって、本番ではどんな気持ちになるのかワクワクしてます!
少しでもたくさんのお客様にこの作品を観てもらえたら嬉しいです。
新しい僕の一面が出てるのではと思ってます!
劇場にて、心よりお待ちしております。
◆加藤啓
僕たちが演じるのは、詩人、文豪の書きつけた言葉の断片です。
萩原朔太郎の陰陽のリズム、中原中也と小林秀雄の凄まじい関係、そして高村光太郎の別れ。
その断片的なイメージが重なりあって、詩人たちの掘り出した言葉が、鮮烈に立ち上がってくることを目指します。
本番がとても愉しみです。
劇場でお待ちしております。
◆鈴木勝秀
年月を経ても生き残った“言葉””言葉”は強靭である。その“言葉”に挑むには、生半可なパワーでは撃破されてしまう。全力で挑んで、初めて勝負になる。だから今回俳優は、全力で“言葉”に挑んでいる。真っ向勝負。小手先で覚えたテクニックはすべて投げ捨て、豪速球をど真ん中に投げ込み続ける。とても荒っぽい。ザラザラしてる。ヒリヒリしている。だがその姿は、鮮烈で、愛おしく、胸を打つ。舞台上にはピュアな魂が充満している。
『ウエアハウス-double-』『る・ぽえ』は、1月25日(土)から2月2日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて上演。上演時間は、各90分を予定。