Bunkamuraが海外の優れた戯曲を今日的な視点で上演する企画「DISCOVER WORLD THEATRE」シリーズの第17弾として、『グレンギャリー・グレンロス』の上演が決定した。堤真一と濵田崇裕が初共演にしてダブル主演を務める。

ピューリッツァー賞受賞の世界的名作に新進気鋭の演出家が挑む
本作は、アメリカ演劇界を代表する劇作家デヴィッド・マメットによって1983年に書かれた戯曲。ピューリッツァー賞受賞、トニー賞作品賞ノミネートなどを経て、1992年にはアル・パチーノやジャック・レモンら名優によって映画化(邦題『摩天楼を夢みて』)もされた世界的名作だ。シカゴの不動産会社を舞台に、アメリカンドリームを夢見てしのぎを削る男たちの生存競争を通してアメリカンドリームを夢見てしのぎを削るセールスマンたちの壮絶な生存競争を通して、資本主義社会のひずみや人間の欲望をリアルに描き出している。
今回演出を手掛けるのは、英国を拠点に活動する演出家ジョン・ハイダー。ロンドン・ウェストエンドなどでキャリアを積み、本作が日本での演出デビューとなる。経済環境が大きく変化する現代社会においても強く響き合う、競争社会の現実をどのように舞台上へ立ち上げるのか注目が集まる。
堤真一×濵田崇裕がダブル主演!実力派キャストがしのぎを削る

かつては成功を収めていたものの、今は落ち目で必死に売上を追う中年営業マンのシェリー・レヴィーンを演じるのは、同シリーズ7作目の出演となる堤真一。そして、頭の回転が早く巧みな話術で契約をものにしてきたやり手の不動産セールスマン、リチャード・ローマを演じるのは、WEST.のメンバーであり俳優としても幅広く活躍する濵田崇裕。
さらに、鈴木浩介、前川泰之、岩瀬亮、小松和重、池内博之といった、舞台や映像で存在感を放つ経験豊富な実力派キャストが顔を揃え、珠玉の台詞劇に挑む。
編集部メモ:『グレンギャリー・グレンロス』をさらに深く楽しむための4つのポイント
豪華キャストの競演と、気鋭の演出家によるタッグで注目の本作。劇場へ足を運ぶ前に知っておきたい作品の背景や、より深く物語を味わうための4つの注目ポイントを、編集部独自の視点でまとめました。
1. 謎めいたタイトルの意味
不思議な響きを持つ『グレンギャリー・グレンロス』というタイトルですが、「グレンギャリー(Glengarry)」と「グレンロス(Glen Ross)」は、劇中でセールスマンたちが売りさばこうとしている架空の不動産分譲地の名前です。タイトルには、彼らが売り込もうとしている宅地開発地の名前がそのまま用いられているのです。物語が進むにつれて、この土地の存在が登場人物たちの欲望や希望、そして作品全体のテーマとどのように結びついていくのかにも注目してみてください。
2. 圧倒的な会話劇を生む「マメット・スピーク」
劇作家デヴィッド・マメットの戯曲は、「マメット・スピーク」と呼ばれる独特のセリフ回しが最大の特徴です。登場人物たちが互いの言葉を遮り合ったり、言いよどんだり、スラングを多用したりすることで、極めてリアルで緊迫感のある独特のリズムを生み出します。堤真一さんのコメントにもある「リズムとテンポが必要な会話劇」がいかに舞台上で炸裂するのか、スリリングなセリフの応酬は必見です。
3. 名作映画版『摩天楼を夢みて』の配役との対比
本作は1992年に『摩天楼を夢みて』という邦題で映画化されており、ハリウッドの伝説的な名優たちが集結したことでも知られています。今回の舞台版で堤真一さんが演じるシェリー・レヴィーンは、映画版では名優ジャック・レモンが演じてヴェネツィア国際映画祭男優賞を受賞しました。また、濵田崇裕さんが挑むリチャード・ローマはアル・パチーノが演じ、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなど高い評価を得ています。
さらに、鈴木浩介さんが演じるウィリアムソンをケヴィン・スペイシー、池内博之さんが演じるモスをエド・ハリス、小松和重さんが演じるアロノーをアラン・アーキンがそれぞれスクリーンで熱演しました。日本の俳優たちが、この伝説的な映画の配役とどのような違いを見せ、どう舞台上で体現するのか、両者を重ね合わせてみるのも本作の大きな見どころです。
4. 堤真一×「DISCOVER WORLD THEATRE」シリーズの強い信頼関係
海外の優れた戯曲を上演する「DISCOVER WORLD THEATRE」シリーズにおいて、堤真一さんは本作が通算7作目の出演となります。過去にも『るつぼ』(2016年)、『民衆の敵』(2018年)、『死と乙女』(2019年)などで海外の気鋭の演出家とタッグを組み、重厚な翻訳劇を力強く牽引してきました。同シリーズを知り尽くした堤さんが、日本での演出デビューとなるジョン・ハイダーと共にどのような舞台を創り上げるのか、その盤石な信頼感と新たな化学反応に注目が集まります。
あらすじ
シカゴの不動産会社で働くレヴィーン(堤真一)は、かつてトップセールスマンだったが、今やその勢いは衰えている。営業成績が悪い者は解雇されるときいたレヴィーンは何とか契約の取れそうな上客の名簿を回してほしいと営業責任者ウィリアムソン(鈴木浩介)に懇願する。
一方、モス(池内博之)は会社の強引な経営に不信感を持ち、成績が振るわず解雇におびえるアロノー(小松和重)を煽って、顧客名簿を盗み出そうと企てていた。
そして、狡猾さと話術で契約をものにしてきたローマ(濵田崇裕)は、リンク(岩瀬亮)にフロリダの宅地「グレンギャリー・ハイランド」を売りつけようと言葉巧みに迫り、さらに売り上げを伸ばそうとしている。
それぞれが、会社で生き残ろうと思惑を巡らせる中、事務所が荒らされ顧客名簿や契約書が盗み出された。
捜査に訪れた刑事のベイレン(前川泰之)は内部の犯行を疑い執拗な事情聴取を始めるが、なおも彼らの契約交渉は続けられる。混乱と緊迫が高まり、やがて真実へとたどり着く・・・。
演出家・キャスト コメント
ジョン・ハイダー(演出)
私にとって、この『グレンギャリー・グレンロス』は、書かれた当時にもそして現代にも力強く語りかける戯曲です。もちろんこの作品のテーマは、1980年代初頭、劇作家自身が不誠実な不動産会社でアシスタントマネージャーとして働いた経験をもとに生まれたもので、その時代や場所と深く結びついています。しかし同時に、仕事に人生を支配されるような極端なワークライフバランスの崩れという、現代の大都市―、シカゴから東京、そしてその間にあるあらゆる都市―に共通する現実とも強く響き合っているのです。
マメットが描く登場人物たちは皆、それぞれよりよい未来へ向かうために「抜け出す道」を探しているように思えます。その道を見つけられるかどうかは本人次第で、実際には多くの人物が最後まで見つけられないのかもしれません。それでもなお、そのもがき続ける姿は実に人間的です。彼らの姿を追ううちに、私たちは否応なく、自分自身や自分の振る舞いをそこに見出すことになるのではないでしょうか。そうした瞬間にこそ、この作品が観客の皆さんとの対話となることを願っています。
劇場を後にしたあとも、「もし自分だったらどうしただろう」と問い続けてもらえたら嬉しく思います。そして、マメットは「Always Be Closing(常に契約を決めろ)」という言葉で描いていますが、「成功」とは、本当は何を意味するのかを考えるきっかけになればと願っています。
堤真一(シェリー・レヴィーン 役)
リズムとテンポが必要な会話劇です。不動産を売る男たちの会話の応酬だけで、物語にグイグイと引き込まれます。僕の役は映画版でジャック・レモンが演じた、落ちぶれたセールスマン。初めてご一緒するジョン・ハイダーさんがどんなアプローチをされる方かはわかりませんが、イギリスの演出家は最初から「正解」のイメージを提示するよりも、「このメンバーで何ができるか」を一緒に考えていく方が多い印象があります。このシリーズでご一緒したジョナサン・マンビィさんも、リンゼイ・ポズナーさんもそうでした。思考がどんどん飛んでいくような“営業用の話術”を身につけると共に、かつての栄光を語る男の悲哀に近づけたらと思います。
濵田崇裕(リチャード・ローマ 役)
いつか絶対に共演したいと思っていた堤真一さんとご一緒できることがまずスーパーハッピーです!海外の演出家の方に演出していただくのは二回目ですが、前回がすごく楽しい経験だったので、今回もどんな方なのか楽しみにしています。僕が演じるローマはやり手で頭の回転も速い“デキる男”。どういう生活をしてきたのか、人間を掘っていくように稽古を積めたらと思います。映画版で演じていたアル・パチーノの色気がすごくて、あの風格を僕が出せるのか?と思いながらも、気がついたら面白すぎて見入っていました。何度も観たくなるような芝居にしたいですし、「この人から物件を買ってみたい」と思わせるような男たちになればと思っています。
『グレンギャリー・グレンロス』公演情報
| 公演情報 | |
|---|---|
| タイトル | Bunkamura Production 2026 DISCOVER WORLD THEATRE vol.17 『グレンギャリー・グレンロス』 |
| 公演期間・会場 | 【東京公演】2026年11月6日(金)~11月30日(月) IMM THEATER 【大阪公演】2026年12月5日(土)~12月11日(金) 森ノ宮ピロティホール |
| スタッフ | 作:デヴィッド・マメット 翻訳:広田敦郎 演出:ジョン・ハイダー 美術・衣裳:リリー・アーノルド 企画・製作:Bunkamura |
| キャスト | 堤真一、濵田崇裕 鈴木浩介、前川泰之、岩瀬亮、小松和重、池内博之 |
| チケット情報 | 後日発表 |
| 公式サイト | https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/ggr2026.html |







