2019年2月1日(金)に東京・千本桜ホールにて吉村卓也の一人舞台『よりによって』が開幕した。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、作・出演をすべて行う吉村が、意気込みを語った。
2007年にアミューズ30周年全国オーディションにて6万5千人の中から「審査員特別賞」を受賞した吉村は、“俳優”として映画やドラマ、さらには情報番組などで活躍。昨年は舞台『おおきく振りかぶって 夏の大会編』への出演や、『仮面ライダービルド』で主人公のライバル黄羽役を演じ、好評を博した。
“俳優”として活動する一方、2015年からはお笑いコンビ「伊村製作所」を結成し、“芸人”としてM-1やキングオブコントにも出場したが、相方の芸能界引退を機に2017年末にコンビ解散。
改めて”俳優”として再スタートを決意した吉村は、一人舞台を上演するきっかけを「脚本を書くことが好きだったので、コントの本も書いていました。お笑いコンビを解散し、役者として再スタートという意味も込めて、自分で脚本を書いて、演じるのも一人という舞台に挑戦してみようと思いました」と明かした。
舞台はオムニバス形式となっており、ニヤニヤと笑わされるコメディがあれば、オタクな男の平凡な日常が突如狂気をはらんだ異質なものへと変化するミステリー、心締め付けるファンタジーなど、ガラリと変わるシチュエーションの物語が4作品上演される。
本作の構成について、吉村は「いろんな種類のお芝居を観て頂けたらと思ったところから考え始めました。自分が演じ分けられるような本はどんな本なのか・・・ミステリーやコメディ、ただバカバカしいとか、住み分けを考えました」と語り、「このシチュエーションで何が起きたら一番自分が引っかき回されるだろうか、ということを考えながら作っています」と解説した。
その言葉どおり、それぞれのシチュエーションで、“俳優”吉村卓也が「どんな思いを込めて本作を考え、演じているのか」とそんなことを想像しながら観るのも楽しい作品となっている。
また、芸歴10周年を迎える吉村。「10年、まっすぐ進んできたわけではないけれど、自分の中では大事な10年でした。そこで培ってきた脚本を書くことや、今後の芝居についての考えとお笑いも含めた10年間を、今ここで見てもらったという感じです」と振り返り、改めて「役者として、一生懸命がんばっていきます!」と意気込んだ。
続けて、今後について「僕、わりとイケメンなはずなんですけど・・・(笑)」と笑いを誘いながら、「イケメンの役をやったことがなくて。やっていて楽しいのはオタクみたいな役ですね。そういうのもやりつつ、やっぱりイケメンもできればなと思います」と笑顔を見せた。
最後に「芸能生活10年目、そして役者としての本格的再スタートということで、10年間の今までの思いと、これからに向けてを、すべてこの舞台に注ぎ込んでおります。皆さん、ぜひ来てください!」と呼びかけた。
「これまで」の10年間すべてをぶつけ「これから」に繋がるようにとの思いを込めた吉村卓也の本気が見える一人舞台。吉村が脚本を書き、吉村一人で演じるという、まさに“俳優”吉村卓也のすべてが詰まった作品だ。
吉村卓也一人舞台『よりによって』は2月4日(月)まで東京・千本桜ホールにて上演。
(取材・文・撮影/櫻井宏充)