2017年4月30日(日)より上演されている『新世界ロマンスオーケストラ』。本作は、上田竜也を主演に、演出家・根本宗子が書き下ろしたラブ・コメディ。「スーパープラトニックハーレム演劇」と銘打たれるこの作品で、上田演じるバンドマンを取り巻く女性の一人を演じるのが、今注目の若手女優、清水くるみだ。以前より根本作品のファンであり、演劇や映画を観ることが大好きだという彼女に、様々な話を聞いた。
――まず、ご出演が決まった時のご心境を教えてください。
私、今回脚本・演出を手掛けられている根本宗子さんがすごく好きで、劇場によく観に行っていたんので、マネージャーさんから「根本さんの作品に出演が決まったよ」と電話をいただいた時は、信じられなくて「え?え?ほんとですか?」と繰り返しながら泣いてしまいました。いつもは本決まりになる前に「こういう話があるよ」と教えてくれるのですが、今回はなかったので本当に驚きましたし、嬉しかったです。
――マネージャーさんも、清水さんが根本さんのファンとご存知だったからきっと驚かせたかったんですね(笑)。
その頃、ちょうど根本さんの作品が上演されていて、私が観に行くと言っていたので、その後に言いたかったみたいです。仮でお話をいただいている段階では言わずに、サプライズにしたかったから黙っていたと言われました(笑)。
――以前から、根本さんとはお会いになっていたんですか?
一ファンとして劇場に観に行っていただけなので、面識はまったくなかったです。2月に上演されていた『皆、シンデレラがやりたい。』を観に行かせていただいた時に、初めてお会いしました。劇団☆新感線さんの『乱鶯』でご一緒させていただいた高田聖子さんが出演されていたので「次一緒なんでしょ?」と紹介してくださいました。
――ちなみに、根本さんの作品で、印象に残っている作品は?
どれも好きなのですけが、月刊「根本宗子」の別冊公演で上演されていた『バー公演じゃないです。』は本当に大好きで、忘れられない作品です。作品の中にスマホのゲームにハマって廃れていく子が、スマホを擦りすぎて「指紋がなくなる~!」って言う台詞があったのですが、一時期その真似をよくしていました(笑)。もう一度観たいけれど、映像にはなっていないので・・・同じキャストで再演してほしいです!今、その時に出ていた青山美郷さんと長井短さんとご一緒させていただいているので、とても嬉しいです。
――清水さんの“根本さん愛”がすごく伝わってきます(笑)。
根本さんが時々開催されているトークイベントの「根本宗子の面談室」にも、行ったことがあります。根本さんはトークもおもしろい方なのだなと、改めて思いました。ただのファンですね(笑)。
――トークイベントまで足を運ばれているとは!清水さんのインスタグラムには、いろんな作品のことがよく書かれていますが、観に行くことが好きですか?
清水:舞台も映画も、観るのが大好きなんです!行ける時は、週に2回ぐらい劇場に行っています。小劇場は、チケット代も高くないですし、大学を卒業するまでは学割を駆使していました(笑)。下北沢によく行くのですが、スズナリや駅前劇場、本多劇場などそれぞれの上演スケジュールを見て、これに行こうと決めています。
――結構小劇場にも観に行かれているんですね。どんなきっかけで足を運びはじめたんですか?
映画『桐島、部活やめるってよ』で岩井秀人さんと共演させていただいて、岩井さんが主宰されている劇団「ハイバイ」を知り観に行かせていただいた時に、それまで知らなかったことが恥ずかしくなるぐらい、おもしろかったんです!そこから、小劇場の当日券に並んだりするようになりました。あの作品で観た役者さんがおもしろかったから、次に出るこの作品を観に行ってみよう!とか、そうやって行った先の劇団にハマったりしています。
――お好きな劇団とか、ありますか?
「ハイバイ」はもちろん、山内ケンジさんのプロデュースされている「城山羊の会」や「五反田団」や「Mrs.fictions」、小劇場ではないですが劇団☆新感線も好きです。劇団公演以外でも、倉持裕さんや喜安浩平さんが書かれている作品が好きです。
――幅広いですね~!今回、清水さんがご出演されるのは「ラブ・コメディ」とのことですが、ラブコメは好きですか?
好きです!ウディ・アレンの映画『アニー・ホール』や『ラブ・アゲイン』、『ラブ・アクチュアリー』とかも好きです。日本の作品だと“ラブ”ではないのですが、三谷幸喜監督のコメディ作品が大好きなんです。特に『マジックアワー』が大好きで、映画館で2回観て、レンタルもして・・・と繰り返し観ていて、これは買った方が早いだろう!と思って、最終的にDVDも買いました(笑)。
ラブコメに限らず「コメディ」が入っているものは観やすいので落ち込んだ時に観ると、元気をもらえるなと思います。
――今回、根本さんが書かれたのは「スーパープラトニックハーレム演劇」ということですが・・・。
上田竜也さんが演じる「新世界ロマンスオーケストラ」というバンドのボーカル・拓翔が本命の彼女がいるにも関わらず、6股交際をしている・・・というお話です。それぞれのキャラクターの設定がすごいので、その設定だけでも、笑ってしまうと思います(笑)。
――その中で、清水さんが演じるのはどんな役ですか?
自然体な女の子の役です。共演させていただく皆さんがとても個性的なので、私は自然体な感じでいこうと思っています。ナチュラルに、拓翔に圧をかけていきます!
――6股というとんでもない男性が主人公ですが、清水さんご自身は女性にだらしない男の人に対してどう思いますか(笑)?
どこか、女性を惹きつける魅力があるのだと思います。身近にも、拓翔のような人がいますが、個人的には嫌です(笑)。
――ちなみに、どんな恋愛観をお持ちですか?
一緒に“バカ”ができる人がいいなと思います。恥ずかしがってやってくれない人より、私がバカなことをしたら、一緒に乗っかってきてくれるような人がいいです。
――舞台に映像にと、活躍の幅を広げられている清水さんですが、それぞれ演じる楽しみってどんなところにありますか?
舞台は、よく皆さんがおっしゃられていることですが、生でお客さんの反応を感じられることが何より楽しいです。『乱鶯』に出演させていただいた時に、笑いが取れるはずのお芝居がなかなか上手くできなくて、悔しい思いをしていたことがありました。
古田新太さんに「どうやったら笑いを取れるようになりますか?」と相談したら、「もう半テンポ、間を遅らせて台詞を言ってみた方がいい」というアドバイスをいただき、その通りに演じてみたら、お客さんに笑っていただけたんです。その時に舞台で演じるって本当におもしろいなと思いました。その感覚は毎日違うので、ずっと頭を回転させていないといけない大変さも感じました。
映像でのお芝居は、1シーンに感情を出し切ったり、細かい表情で表現出来るのがおもしろいです。頭から順番に撮影していくわけではないので、舞台と違って気持ちを繋げていくのが難しいと思っています。演じることが楽しいので、舞台も映像も大好きです。
――お芝居への愛の詰まったお話をありがとうございました!最後に、公演を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
根本さんの作品は、ハズレがないです。きっと、いろんな客層の方が観に来てくださると思いますが、この作品を通して演劇が好きになってくれたらいいなと思います。そのきっかけになる要素が、たくさん詰まっている作品です!劇場でお待ちしています。
◆公演情報
『新世界ロマンスオーケストラ』
【東京公演】4月30日(日)~5月21日(日) 東京グローブ座
【大阪公演】5月26日(金)~5月28日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【作・演出】根本宗子
【出演】
上田竜也 清水くるみ 早織 青山美郷 長井短 根本宗子 宮崎吐夢 西田尚美
(撮影/エンタステージ編集部)