GWの賑やかさを懐かしく思うほど、時間の流れが早く感じた5月の終わり。今月も多くの新作公演が発表されました。5年ぶりの上演が決まったミュージカル『フランケンシュタイン』や、2.5次元作品の歴史を支えた舞台『弱虫ペダル』の最終章、海外公演が決まった『進撃の巨人』-the Musical-など、注目作そろいです。そこで今回、5月に発表された新作公演の中から編集部が特に気になった作品をピックアップしてみました。
ミュージカル『フランケンシュタイン』
2025年4月から5月にかけて再び上演されることが発表されたばかりのミュージカル『フランケンシュタイン』。本作は、誰もが知っているゴシックロマンの名著「フランケンシュタイン」を大胆なストーリー解釈と流麗かつメロディアスな音楽でミュージカル化したもので、2017年に日本で初演され、2020年に再演もされました。
初演からの続投となる中川晃教、加藤和樹、鈴木壮麻だけでなく、ビクター・フランケンシュタイン/ジャック役に小林亮太、アンリ・デュプレ/怪物役に島太星、ジュリア/カトリーヌ役に元宝塚花組トップ娘役の花乃まりあ、ステファン/フェルナンド役に松村雄基、エレン/エヴァ役に朝夏まなとという、新たな顔ぶれにも期待が高まります!
ミュージカル『ミス・サイゴン』
2026から2027年にかけて、ミュージカル『ミス・サイゴン』全国公演が行われることが明らかになりました。本作は、プロデューサーがサー・キャメロン・マッキントッシュ、作、アラン・ブーブリル、作曲、クロード=ミッシェル・シェーンベルクという『レ・ミゼラブル』を世に送り出したチームの第二弾として製作された作品です。
ベトナム戦争陥落間近のサイゴンを舞台に、エンジニアの経営するキャバレーで知り合った、ベトナム人の少女・キムと米兵クリスの二人の愛、サイゴン陥落でのドラマティックな別離。そして、戦後の運命的な再会。そして、キムの子タムへの究極の愛。これをすべて歌で表現する物語となっています。そんな注目作の2026年公演が始動し、オールキャストオーディションを実施することも発表! どんなキャストになるのか、今からとても楽しみですね!
舞台『ブラック・コメディ』
2024年8月17日(土)から9月1日(日)まで東京・IMM THEATERにて上演される本作。英国の著名な劇作家で『アマデウス』や『フォロー・ミー』など映画化されたピーター・シェーファーによって生み出された戯曲で、1965年にロンドンで初演され、日本では1970年に劇団四季で初上演されました。
売れない若手彫刻家が留守中の隣人宅から数々の調度品を無断で借用し、婚約者の父親と億万長者の美術蒐集家を招き、さも自らの作品かのように仕立てることで愛と富を手に入れようと画策することから始まる物語で、主演は浜中文一、ヒロインは市川美織が務めることに。その中で突如起きた「停電」という不測の事態と、暗闇の中で次から次へと押し寄せる難題の数々に奮闘する姿をどのように描くのかに期待が高まります。
『前田慶次 かぶき旅 STAGE&LIVE~肥後の虎・加藤清正編~』
漫画家・原哲夫が長年にわたって描き続けている歴史漫画の最新作「前田慶次 かぶき旅」(原作:原哲夫・堀江信彦/作画:出口真人)を舞台化した本作。「THE RAMPAGE」でボーカルを担当するRIKUが前田慶次を務める他、“肥後の虎・加藤清正”役を白又敦、主人公・前田慶次の家来となる権一役を平野良が演じることも決まっています。
さらに、松井勇歩、須賀貴匡、大崎捺希、松田岳、田中しげ美、鼓太郎、遥りさ、TETO、谷山夢、両國宏、飛龍つかさ、モロ師岡、川崎麻世ら個性豊かなキャストが揃う本作。本編の終演後にはミニライブも行われるとのことで、舞台ならではのパフォーマンスで表現される「かぶき旅」にも注目です!
新作ミュージカル『ミセン』
韓国のウェブコミックで累計300万部の大ヒット、ドラマはその年の韓国ドラマ賞を総なめにし「ミセンシンドローム」と呼ばれるほどの社会現象を起こした「未生(ミセン)」が、ホリプロと韓国のクリエイター陣のタッグにより、オリジナルミュージカル化されることになりました。
日本ではフジテレビ系でリメイクドラマ『HOPE~期待ゼロの新入社員~』として放送されたことがありますが、ミュージカル化(舞台化)されるのはこれが初で、ホリプロが韓国のクリエイター陣とオリジナルミュージカルを創作するのも初なんだそうです。現代社会を生き抜く全ての人への人間賛歌となるよう取り組みが始まったという本作。舞台でどのように描かれていくのかに注目です。
舞台『弱虫ペダル』Over the sweat and tears
舞台化不可能と言われていた自転車競技を「ハンドルと役者のマイム」で再現させた革命的手法と、レースシーンでの演技の先を行く「本気の走り」で観る者の心を揺さぶり続けてきた舞台『弱虫ペダル』(通称:ペダステ)。これまでに多くの若手俳優が出演し、昨今の「2.5次元舞台」が話題となるきっかけとなった作品の一つとなりました。
2022年、シリーズ10周年にあたり、演出にこれまでのシリーズで手嶋純太を演じていた鯨井康介を迎えて、原作の物語の始まりからを描いた舞台『弱虫ペダル』The Cadence!(2022年)、インターハイ1日目となる舞台『弱虫ペダル』THE DAY 1(2023年)、インターハイ2日目の激闘、舞台『弱虫ペダル』THE DAY 2(2024年)と上演してきましたが、今回、新シリーズの第4弾公演にして、最終章の作品となります。どんな終幕を迎えるのか、ぜひ見届けたいものです。
舞台『ブルーロック』3rd STAGE
「ブルーロック」は、2018年より「週刊少年マガジン」(講談社)にて連載されている、金城宗幸・原作、ノ村優介・漫画によるエゴイストFW育成サッカー漫画。舞台化の脚本・演出を手掛けるのは伊勢直弘で、第1弾よりもスケールアップして2024年1月に上演された第2弾では、約12,000人の観客を動員しました。
アンブロやエリース東京、丸井とのコラボを実施するなど、2.5次元舞台の枠にとらわれない展開を見せ、注目を集める本作の新作公演が決まりました。シリーズ第3弾も、主人公・潔 世一役は竹中凌平の続投が決まっており、新キャストとして草地稜之、松田 岳、遊馬晃祐、三浦海里が参加するということで、さらにパワーアップするであろう本作に期待です!
Casual Meets Shakespeare『MACBETH SC』
松崎史也が脚色・演出を手掛けるCasual Meets Shakespeareシリーズの最新作です。Casual Meets Shakespeare は「普段着でシェイクスピア」をコンセプトに、シェイクスピア作品を「高尚かつ難解なもの」としてではなく、話の骨格や魅力的な台詞回しを生かしつつ、あくまで現在の日本で上演する演劇作品として脚色、上演していくシリーズ。
これまで『夏の夜の夢』『ロミオとジュリエット』『十二夜』『マクベス』『じゃじゃ馬ならし』『ハムレット』『オセロー』を上演してきました。本作は2016年に上演した『マクベス』の再演で、“悲劇と喜劇は裏表”というコンセプトのもと、S(シリアス)とC(コメディ)の2バージョンで上演するそうです。どんな仕上がりになるんでしょうか!今から期待に胸が高まります。
舞台『有頂天家族』
「有頂天家族」は、2003年の作家デビュー以降、京都を舞台とした作品を多く生み出し、数々の文学賞を受賞している森見登美彦が、2007年に発表した作品。下鴨神社の境内に暮らす誇り高き狸一家をめぐり、狸・天狗・人間が、京都の地で繰り広げるてんやわんやの大騒動を描いており、シリーズ累計55万部の大ヒット作となりました。
ストレートプレイとしての舞台化では、個性的で多彩な登場人物たちが、“森見節”炸裂の小気味よい台詞の応酬を繰り広げるのが見どころで、作品のファンタジーな展開も演劇ならではのアナログな手法で、視覚的な面白さも追及しながら表現するそうです!
主人公の矢三郎役を中村鷹之資と濱田龍臣がWキャストで務め、渡部秀、若月佑美、池田成志、相島一之、檀れいら実力派のキャストが集結するということで、舞台上にどのように描き出されていくのかに注目です!
『進撃の巨人』-the Musical-
2009年から2021年にかけて「別冊少年マガジン」(講談社)にて連載され、コミックス累計発行部数 1 億 4 千万部を突破した、大人気漫画「進撃の巨人」。同作を舞台化した『進撃の巨人』-the Musical-。2023年1月に大阪と東京で上演され、漫画の中から出てきたようなビジュアルの完成度や、最新のテクノロジーやギミックとアナログな演劇的手法が融合した舞台演出、舞台上に出現する“巨人”の圧倒的な存在感や、音楽・ダンス・アクションを交えた多彩な表現など、そのクオリティの高さが話題になりました。
初の海外公演となる本公演は、1943 年に設立され、演劇・ダンス・音楽と幅広いジャンルの公演を行っている劇場「New York City Center」で上演されるそうです。
演出は、日本初演に続き植木豪が手掛け、エレン・イェーガー役を岡宮来夢、ミカサ・アッカーマン役を高月彩良、アルミン・アルレルト役を小西詠斗、リヴァイ役を松田 凌、エルヴィン・スミス役を大野拓朗が務め、ニューヨーク公演では、ジャン・キルシュタイン役を松田昇大、コニー・スプリンガー役を高橋祐理が新たに演じることが決まっています。海外公演ということで、中々観に行くことは難しいですが、やはり開幕が待ち遠しい1作です!
(文・エンタステージ編集部3号)