2016年9月2日(金)より東京・CBGKシブゲキ!!にて上演される劇団プレステージ第11回公演『リサウンド~響奏曲~』。約1年ぶりとなる劇団本公演について、今井隆文、大村まなる、脚本・演出のほさかようにインタビュー!劇団プレステージ(以下劇プレ)とほさかがタッグを組むのは、今回が3度目。3度目だからこそ感じるお互いについて思うこと、作品に込めた思い、そして大村の改名について・・・など、じっくり聞いた。
(記事内で一部配役、内容に触れています)
――劇団プレ約1年ぶりの本公演、そしてほさかさんとは3回目のタッグですね。
大村:そうですね、早いもので!
ほさか:そろそろ飽きられたかな(笑)。
今井:3年目の浮気とかね。
大村:いやいやいや(笑)!
――ほさかさんは劇プレにどんな思いをお持ちですか?
ほさか:年々変わってきていますね。最初は誰のことも知らなくて、アミューズのイケメンが集まったアイドルグループだと思っていたんですよ。初顔合わせが、オーディションだったかな。そのオーディションで、すごく驚きがあって・・・みんな同じようにかっこつけた芝居とか、探り合うような芝居をするかと思っていたら、とても熱くて。オーディションでここまで熱気があるんだっていうのが、すごく印象に残っています。
今井:ありがとうございます!
ほさか:2年目、3年目と重ねると、良いところもダメなところも、明確に見えるようになってきましたね。基本的には、それぞれの個性とか、印象的な部分を伸ばしていこうとするんですけど・・・だんだん愛着が湧いてしまって。「これが身についたらすごいことになるのにな・・・」と思うところを、引っ張ろうとするようになってきました。今回も、そんな思いも込めて作っているところがありますね。
――今井さんと大村さんにとって、ほさかさんはどんな演出家さんですか?
大村:僕は、一番お芝居を細かく教えてくれる演出家の方だなと思っています。「こうしてみたら?」って、すごく繊細な部分まで見てくださるんです。さっき、ほさかさんがおっしゃっていたことを僕も感じていました。稽古をやっていて「今、僕に足りないところをいっぱい教えてくれている」って思う瞬間がたくさんあります。
今井:ほさかさんは、稽古中も本番中も、本のこととか、芝居のこととか、どうしようかと思っていることをすぐに聞いてくれるんですよね。
僕、夜中でもすぐにほさかさんに電話しちゃうんです。稽古場でも変化するタイミングがいっぱいあるので、悶々とするよりは、すぐに電話しちゃう。意見も疑問に思うこともお互いに提示し合いながら「こうしていこう」という方向性が導き出せるので、話がとても早い方です。今回、作も演出もほさかさんだから、より早く感じます。
――脚本を書かれる際は、劇プレを意識された部分もあるんでしょうか。
ほさか:そこは難しいところですね・・・。劇プレはオーディションで配役を決めるので、この人はこの役、といった当て込んだ書き方はしていないんですけど、人数や年齢設定は意識しました。これまでと違ったのは、バンドが出てくるお話なので、普通のオーディションの他に楽器のオーディションもやったんだよね。
今井:そうです。ドラム、ベース、ギターをオーディションで決めました。アイドルのオーディションみたいに2回オーディションをやりました(笑)。
ほさか:そうだね、一次審査、二次審査みたいな(笑)。その配役が決まってから、改めて本を見直して、「この人たちがバンドメンバーになるんだったら、こういうキャラクターに・・・」みたいな相談をしながら、書き直したりはしましたね。
――ほさかさんが書かれた本をご覧になって、今井さんと大村さんはどうお感じになられましたか?
今井:僕は、昨年の12月にほさかさんの主宰する「空想組曲」の公演(『小さなお茶会。』)に出させていただいたんですけど、ほさかさんの本に共通して感じたのは「この人、役者自身もそうだし、役を追い込むのが好きなんだな」ってことです。ドSだなって(笑)。
大村:ははは(笑)!
ほさか:ああ~…それはあるかも(笑)。もちろん大笑いしていたり、すごく盛り上がっているところを観るのもいいけど、苦しんでいる姿も観られるのは、お芝居の醍醐味でもあるんじゃないかなと。
大村:お客さんも、そう思っているところがあるのかもしれないですね。
――今回は三兄弟のお話ということですが、稽古の進み具合はいかがですか。
今井:僕は長男、大村は三男を演じます。今は、次男を演じる長尾(卓也)が這い上がろうとしているのを、待っているところです。
大村:助け合いながらね!
今井:がんばれ長尾!と。
ほさか:次男の役って、立場的に一番難しいんですよ。長男とは別のベクトルで弟をかわいがっているので。そのパワーバランスが難しいところだと思います。
今井:長男と三男のドラマにギアを入れてくれるのが次男の存在なので。そこのギアが入らないと進めない。だから難しいんですよ。今は、ここからもうワンステージ上がる、変わり時だなと思っています。
――ご自身の演じられる役で、今苦労されている部分ってありますか?
大村:僕は難聴をわずらった役なので、まず技術的な難しさを感じています。音が聞こえないから、口を見ないといけない。(自分には)声が聞こえても、役としてそれは聞こえていない。まだどうしても、音に反応してしまったり、声を聞いて動いてしまったりしているなというところがいくつかあって、そこが気持ち悪くて・・・、お芝居に集中していけるようにしたいと思っています。
今井:僕は単純に、劇団のお芝居にがっつり出るのが、1年ぶりなので。だから、大変というよりも楽しみな気持ちが大きいです。1年分の鬱憤を晴らそうと、そういうつもりで芝居をしているので。溜まっている思いを全部出したいです。ただ、バンドが怖いですね・・・(笑)。違う緊張感があります。
大村:僕は、役としてその音を受けることが多いので、生の音が持つエネルギーをすごく感じます。それがまた、自分のエネルギーにも変わっているので。生演奏をするのも初めてだし、今までとかなりテイストも違いますけど、それはきっと、今の僕たちに必要なことで、劇プレとして新しいものが出来上がりそう。
――新しいといえば、大村さんは改名もされましたね(7月4日、大村学から大村まなるへと改名)。
大村:そうなんです(笑)。なぜ改名したかというと・・・自分をもうちょっと分かりやすく表現できないかなと思ったんです。僕、人生30年間ずーっと「イメージと違う」って言われていて。自己分析すると「残念なちょっとしたイケメン」なんで。だから、逆にそれを武器にできたらいいなって。もともと、劇プレの配信番組のサブ企画で、僕が「MANARU」というキャラクターで出演しておりまして、その「まなる」っていうダサめの響きが自分的にしっくりきていたんですね。そこで、新しく一皮向けるために、思い切って改名してみようと。
ほさか:でも、まったく定着してないよね。劇団員で「まなる」って呼んでる人、一人もいないよ(笑)。
大村:今のところ全然定着してないですし、自分も「えっ?」ってなります。ファンの方の間でも物議を醸し出しています。
――なるほど・・・大村さんの決意の表れなんですね。
大村:そうです!今回の『リサウンド~響奏曲~』は、「大村まなる」としての最初の作品なので。ほさかさんも「まなるの最高傑作にしよう」って言ってくれたんです。
ほさか:最初の作品だから、最高傑作に違いないんだけど(笑)。
大村:そうですけど!“一生そう言えるように”って、僕は受け取りましたよ(ほさかをじっと見つめる)。
――いろんな意味で、新しい劇プレの姿を楽しみにしております!最後に、公演を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いいたします。
大村:新しさがあって、ドラマがあって、優しさをたくさん秘めた作品だと思います。観てくださる方に、少しでもそれを届けられて、受け取ってもらえたら嬉しいです。大村まなるとしても、劇プレとしても「これ、最高傑作になるかもしれない」という気持ちでおりますので、観に来ていただけたらと思います。
今井:今回出ないメンバーも結構いるんですけど、劇プレとして「これが本公演だぞ」というのを示せたらと思っています。クオリティはほさかさんが上げてくれていますので、何も心配することなく、迷っているぐらいだったらぜひ足を運んでほしいです。
ほさか:僕は今回、作・演出として呼んでいただいているので、“劇団プレステージ”としての全力を見せられる公演にしようと思って臨んでいます。メンバー全員の魅力も努力も、出し尽くすつもりなので!誰が出ているとか、誰がどの役をやっているというのも問わず、“劇団プレステージ”としての作品クオリティは保証できると思っていますので、楽しみにしてください。
◆公演情報
劇団プレステージ第11回公演『リサウンド~響奏曲~』
9月2日(金)~9月18日(日) 東京・CBGKシブゲキ!!
【脚本・演出】ほさかよう(空想組曲)
【出演】今井隆文、岩田玲、大村まなる、春日由輝、株元英彰、城築創、小池惟紀、向野章太郎、坂田直貴、園田玲欧奈、高頭祐樹、高橋秀行、長尾卓也、原田新平
※高頭祐樹の「高」は、「はしごだか」が正式表記