2016年9月2日(金)より東京・CBGKシブゲキ!!にて上演される劇団プレステージ第11回公演『リサウンド~響奏曲~』。今回は脚本・演出にほさかよう(空想組曲)を迎え、約1年ぶりの本公演を行う。劇団プレステージ(以下劇プレ)とほさかがタッグを組むのは、第7回公演『ボーンヘッド・ボーンヘッダー』(演出)、第10回公演『Have a good time?』再演(脚色・演出)に続き3度目。本番に向け、白熱する稽古場を取材した。
(記事内で一部配役、ストーリーに触れています)
本作の軸となるのは、バンドマンとして夢を追う長男・響也(今井隆文)、会社員として堅実な道を歩む次男・楽(長尾卓也)、そして突発性難聴にかかり耳が聞こえなくなってしまった三男・奏(大村まなる)の三兄弟。
響也に憧れていた奏は、大学に入ったら自分も仲間たちとバンドを始めようとしていた。そんな奏を不意に襲った不運・・・しかし、奏は何事もなかったかのように大学生活を始める。この日、稽古が行われていたのは、奏が高校時代の友人、服部(株元英彰)と中平(城築創)と再会を果たすシーン。
兄弟も、友人も、変わらぬ関係を築こうとするのだが、少しずつ不協和音が鳴り始め・・・、もどかしいやり取りが続く中、ほさかは「その行動が印象的に見えないと、後々繋がりづらいから・・・」などと声をかけながら、全体を見据えつつ、細かな心の動きまで突き詰める。劇団員から意見が出れば、「それあり、全然あり!」「それで納得できる?」などと吟味しながら、スピーディに反映していく。時に演出卓を飛び出していくほさかと、劇団メンバーの白熱するセッションが続いた。
劇プレでは、毎回劇団内オーディションを行い配役を決めているが、今回はバンドの話ということで、さらに楽器オーディションも行われたという。今井演じる響也のバンドメンバーに選ばれたのは、坂田直貴、高頭祐樹、向野章太郎の3名。誰が何の楽器を担当するのか、お楽しみだ。リーダーを務める今井は、休憩中もギターを手に取り練習に余念がなかった。
続いては、バンドメンバーが集うBARのシーン。そこで、ほさかからBARのマスター役を演じる原田新平に対し、台詞の言い方に“とある提案”が出された。とてもシリアスなシーンだったが、原田が提案通りの台詞回しで口を開くと、全員爆笑する事態に。「どうしようかな・・・、無しではないんだけど・・・(笑)」と悩むほさかの横で、誰かが「劇団っぽいな、この笑い(笑)」と呟いていた。
また、この日の稽古場には本作には出演しない石原壮馬、太田将熙が見学する姿が。そして、稽古終了後には劇団員が頭を寄せ合い、小道具打ち合わせをする姿も見られた。舞台の上でも、その影でも、劇プレメンバーの劇団公演に対する熱い思いが感じられた。
昨年12月に、ほさかの主宰する演劇プロデュース・ユニット「空想組曲」の公演(『小さなお茶会。』)にも出演した今井は、本作について「とてもほさかさんらしい作品」と語る。確かに、これまでの劇プレの公演を知る人には、意外性を感じる仕上がりとなるかもしれない。そしてその意外性は、3年に渡り様々な形で関わってきたほさかだからこそ、もたらすことのできる“革命”となる予感がした。ほさかの指揮のもと、彼らが向かう新たなステージが楽しみだ。
劇団プレステージ第11回公演『リサウンド~響奏曲~』は、9月2日(金)から9月18日(日)まで東京・CBGKシブゲキ!!にて上演される。
なお、エンタステージでは、今井、大村、ほさかのインタビューも掲載予定なのでお楽しみに。
※高頭祐樹の「高」は、「はしごだか」が正式表記