2015年4月15日(水)より東京・銀座 博品館劇場にて、ラフィングライブ旗揚げ公演『パパ、アイ・ラブ・ユー!』が上演される。ラフィングライブは、声優・俳優・タレントとして幅広く活躍中の山寺宏一、水島裕、そして演出家の野坂実が立ち上げた新演劇ユニット。稽古も始まって忙しい中、山寺宏一と水島裕にユニット旗揚げの経緯から今回の上演に向けての意気込みなど盛りだくさんのお話を伺ってきた。
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――まず最初にですが、ラフィングライブの旗揚げ公演ということですけども、どのような経緯で旗揚げすることとなったのでしょうか?
水島:演出の野坂さんが、以前からの友人なんですけど、この『パパ、アイ・ラブ・ユー!』の脚本を僕の所に持ってきてくれたんです。「スゴイ面白い作品があるからやりませんか?」って。それで脚本を読んだんですが、主役のデーヴィッドという役を山ちゃん以外に思い浮かばなかったんですよ。だから条件として、山ちゃんがもしやるって言ってくれるなら、やりましょうということで。山ちゃんの所に脚本を持っていって、「山ちゃんしか考えられないんだけど、やらない?」って聞いてたんですね。それで山ちゃんから「やりますっ!」と言ってくださったので、そこから始まったということです。
――山寺さんありきのお話だったのですね。
山寺:そもそも、『パパ、アイ・ラブ・ユー!』というのはイギリスの人気作家のレイ・クーニ-の有名な喜劇でして、病院が舞台の話なんです。僕が医者で結婚もしていて、これから大事な講演があるというところに、昔の愛人が現れて「二人の間に子どもがいて、その子どもが今からここに来る」と告げられることで、しっちゃかめっちゃかになるというストーリーなんです。一昨年の秋に二人から誘われて、やりたいけども、そんな舞台の経験が豊富なわけでもないので、沢山の稽古をしないとダメかなと。すぐにはできないと答えたんです。そうしたら、裕さんから「いつでもいいよ」って(笑)
水島:本当にそうだったね(笑)
山寺:劇場も決まってないし、どんな人に製作を頼むかも分かってないし、プロデュース公演するのか劇団を旗揚げするのかとか何も決まってなかったんですよ。裕さんから「自分が居て、野坂さんが居て、山ちゃんがやるって、それ以外は何も決まってないよ。ここから3人で決めよう!」と言われて。じゃぁ何とかなるかと思って、2015年の4月ぐらいが良いかなって話をしたんですよね。
水島:そうそう。
山寺:野坂さんもその時点でたくさんの演出する作品を抱えていましたし、裕さんも他の舞台の出演が決まっていて、それで2015年の4月にやろうと決まったんですよ。そこで、演劇ユニットという形はどうかなって話になったんですよね。
水島:そう。旗揚げして『パパ、アイ・ラブ・ユー!』をやるんじゃないんですよ、これをやるためにラフィングライブが出来たんですよ。
――なるほど。水島さんの役も医者で、山寺さん演じるデーヴィッドの騒動に巻き込まれてしまうというシチュエーション・コメディーなんですね。
水島:そうです。医者仲間で、学生時代からの友人役。二幕物で一場面のみで進行します。“良くできた”シチュエーション・コメディーです(笑)
山寺:裕さんの役も本当に大変ですよ。
水島:山ちゃんよりは楽ですけどね。
山寺:楽じゃないですよ! 裕さん、よくこの役で楽って言えますね。
水島:山ちゃんと比べてってことだよ(笑)
――本作はかなりスピーディーなノンストップコメディですね。そういう点からも大変かと思いますがいかがですか?
山寺:そうなんです。テンポが無いと全く面白くない作品になってしまうんですよ。
水島:たっぷり喋ったら3時間はかかるね(笑)
山寺:野坂さんからもテンポが一番大事だと最初から言われてますから。作品のテイストがテンポがあって明るいドタバタ・コメディです。それでいて洗練されているけど、単純に面白かったと言ってもらえる作品でもあります。
水島:その「面白かった」と思ってもらうのが難しいんだけど、そう思ってもらったら僕らは万々歳です。
――お二人は声優として番組での共演はあると思うのですが、舞台では今までに共演されたことはあったのでしょうか?
水島:無いですね。初めてです。このメンバーで舞台の共演はあまり無いよね?
山寺:そうですね。我々二人はもちろんのこと、お互いが共演したのは関智一君と折笠富美子さんが劇団ヘロヘロQカムパニーの作品で共演していて、僕は『作者をせかす六人の主人公たち』という作品で折笠さんと共演したぐらいですね。
水島:僕は坂口(候一)君と斉藤こず恵さんと共演したことがあります。
山寺:そういう意味では、ほとんどの人が初めての組み合わせってことですね。
水島:そもそもこの作品は山ちゃんがやってくれるかどうかが一番のポイントで、山ちゃん以外は考えられなかったんですよ。それで山ちゃんのOKが出てから、3人で脚本を読みながら配役の話し合いを行ったんですね。それで出演者に「ちょっと電話するわ」って、その場で電話して直接本人に出演交渉したんですよ。
――声優を知ってる方からすると、かなり豪華な出演陣だと思いますが、キャスティングにはそんな経緯があったんですね。
山寺:個人の携帯に直接交渉です(笑)そうやって受けてくれる人ということで決めました。
水島:何よりも心意気ですよね。「面白いこと、そして楽しい舞台を一緒にやろうよ!」ということに直ぐ賛同してくれたメンバーは今回の誇りですよ。
――共演者の方々は作品名や脚本を読む前に、水島さんと山寺さんが出演されるということで出演を快諾されたというのはスゴイ話ですね。
山寺:こちらとしては台本を読んでもらってから決めてもらう段取りだったんですよ。そうじゃない人もいたということなんですけどね。俺は台本を読んでからのほうがイイんじゃないの?って思ったんだけど(笑)
水島:いやぁもう本当にその場で決めてもらってね。
山寺:僕は読んでから決めました(笑)
水島:山ちゃんのデーヴィッドという役が一番大変ですから。
――水島さんと山寺さんだけでなく、共演者の皆さんも大変忙しい方々で稽古が大変ではないかと思うのですが、その点はいかがですか?
山寺:そうなんですよね。ですから去年から読み合わせを行って、イメージを作ってもらっているんですよ。
――そんなに前から読み合わせを行うなんて珍しいですね。色々と大変そうですね。
水島:ただ、本当に奇跡のキャスティングと言われているぐらい豪華なメンバーが集まってくれたんですけど、「これ難しいからできないよね?」と言ってしまうと何でも出来ないですから。とにかく面白いからやろうよという気持ちがあって、それを実現するにはどうするかというのは話し合いますけどね。大変と言えば、大変なんですけど。
山寺:どんなものでも大変ですからね。それだけに出来たら最高に面白いですから。みんなも自分が忙しいと分かっていても参加したいと言ってくれたメンバーなので、みんなの意気込みも相当スゴイものがあります。
――それは旗揚げの主催としても非常に嬉しいお話ですね。
山寺:本当に忙しいメンバーがいるんで、まぁ芝居のためなら死んでもらっても構わないですけど。楽日までは元気でいてくれれば(笑)
水島:一番大変なのは山ちゃんだよ。楽日までは本当に生きていて下さい(笑)
――話は変わりますが、“ラフィングライブ”という演劇ユニット名ですけども、当初は“ラフライブ”でしたよね?名称を変更したのは、やはりあの作品名に似てたからですか?(笑)
水島:それは山ちゃんに聞いてください(笑)
山寺:ほらね、やっぱりそう思われるんですよ(笑)それは、裕さんが「笑わせるコメディの集団だから、“ラフ(laugh(笑う))”という言葉を付けたい」ということで、色々と考えたんですよ。それで、「生で舞台をやるんだから“ライブ”と合わせて“ラフライブ”でどうだ?」ってなって皆に賛成してもらったんですよ。その時は俺は何となく知ってたんですけど、大したことないかなと思ってたら、ネットとかで調べると『ラブ○イブ』が必ず一緒に出てくるんですよ(笑)それで、これはマズイと思って慌てて変えたんですよ。
水島:山ちゃんが気づいて良かったです(笑)
山寺:俺があの時に言わなかったら、大変なことになってますよ(笑)
――やっぱり、そんな裏話があったんですね(笑) それから、旗揚げを決められたばかりでまだ決められていないと思いますが、ラフィングライブとしての今後の展望や将来的な活動というのは何か考えていたりしますか?
水島:まずは旗揚げ公演を成功させることですね。
山寺:その先は何も決まっていません(笑)ただ、野坂さん曰く、「二人を中心として演じられる面白い作品がこれ以外にもありますよ」という一言は頂いてます。
水島:予告はされてるんだよね。
山寺:何の作品かも知らないんですけど。でも旗揚げ公演ということで、ここから続けていく雰囲気でユニット作ってますから。これが成功したらどんどん続けていきたいですけど、そんな先よりも目の前の旗揚げ公演ですね。それなら、何でユニットにしたんだってのはありますけどね(笑)何でプロデュースにしなかったんですかね?
水島:野坂さんの中にはあるから、続けていった方が良いよということだよね。
山寺:やってみてどうなのか、この次はその後に考えればい良いんです。打ち上げで考えましょう(笑)
水島:そうしましょう(笑)
山寺:もしくは初日かな。初日に「おっ、これはイケるんじゃない。次もやろうか?」と手応えを感じたらですかね。
水島:えー本当に? 大丈夫?(笑)
山寺:そうなってれば良いですよね。初日が終わって楽屋に戻ってきた時に「もう、旗揚げ公演だけでいいかな……」と思うかどっちかです(笑)
――それでは、お二人から旗揚げ公演に向けての意気込みと、ファンへのメッセージをお願いします。
山寺:僕は本当に久々の舞台で、これが上手くいかなかったら、もう芝居に出るのを辞めようと思ってます。
水島:大丈夫、上手くいくから(笑)
山寺:それぐらい、これを成功させなきゃいけないと思ってますから。とにかく皆さんに、笑ってもらうことで明日への活力に絶対なりますから。理屈抜きで「あ~面白かった」と笑顔で帰ってもらえることだけを目的にやってます!そのために、自分は役者としてこの作品で成長したいと思ってます。それができたら、またやりたいと思っていますし、できなければ、芝居を辞める覚悟で頑張ります!
――そんな重大な決意表明をしてしまって大丈夫ですか?
山寺:まぁ、人間は変わるものですから(笑)
水島:上手いね(笑)
――最後に水島さんからお願いします。
水島:『パパ、アイ・ラブ・ユー!』は絶対に楽しんでもらえる作品です。出演者の皆が集まってくれた心意気がチームワークになって、最高の武器であり、誇りでもあり、自慢、そして責任でもあります。
山寺:演劇好きな人はもちろん、全く演劇を観たことが無い人でも老若男女が楽しめる作品ですよね。お笑いライブや寄席に来るような気軽な気持ちで観に来て頂ける作品ですが、それでいてベタではなく、イギリス作品らしくスタイリッシュな台詞回しなども楽しめます。
水島:本当に良くできた脚本に、山寺宏一と他のメンバーが乗っかることでスゴく面白い世界が作れると思ってます。ぜひ、観に来て下さい!!
インタビューを通しても二人の息はピッタリと感じられた。二人のコンビネーションにより、アップテンポでノンストップ・コメディーとなる『パパ、アイ・ラブ・ユー!』でも、ユニット名の“ラフィングライブ”に込められた思いである“大いに笑ってリラックスし、元気になれる”を感じられることは間違いないだろう。
ラフィングライブ旗揚げ公演『パパ、アイ・ラブ・ユー!』は、2015年4月15日(水)から4月20日(日)まで銀座・博品館劇場にて上演される。
■プロフィール
山寺宏一:1961年6月17日生まれ。宮城県出身。俳優・声優・ナレーター・司会など「声」に関わる仕事を多数務める。幅広いキャラクターの声音を出すことから「七色の声を持つ男」と呼ばれている。代表作としては『ルパン三世』シリーズの銭形警部役(2代目)、バラエティ番組『おはスタ』司会など。
水島裕:1956年1月18日生まれ。東京都出身。声優・ナレーター。正義のヒーローの声から三枚目のキャラまで幅広く演じる。代表作としては情報ワイド番組『ひるおび!』ナレーション、サモ・ハン・キンポーの吹き替えなど。