宮本亜門、成宮寛貴らで贈る『サド侯爵夫人』令和に三島由紀夫の傑作がオールメールでよみがえる!【ゲネプロレポート】

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2026年1月8日(木)に東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて、三島由紀夫の傑作戯曲『サド侯爵夫人』が開幕する。初日前日に公開ゲネプロと取材会が行われ、成宮寛貴、東出昌大、三浦涼介、大鶴佐助、首藤康之、加藤雅也、宮本亜門(演出)が登壇した。

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宮本亜門×オール男性キャストで描く、三島由紀夫の傑作戯曲

1965年に発表された三島由紀夫の『サド侯爵夫人』は、18世紀フランスを舞台に、舞台上には登場しないサド侯爵をめぐり6人の女性たちの美徳、悪徳、肉欲、信仰といった人類普遍の観念が激しく対立し、人間の本質をあぶり出す物語として、日本国内のみならず海外でも高い評価を得ている戯曲。

演出は、舞台『金閣寺』、『ライ王のテラス』、オペラ『金閣寺』、『午後の曳航』など、その深い洞察により多くの三島由紀夫作品に次々と息吹を与える宮本が手掛ける。

キャストには、悪徳の限りを尽くしたサド侯爵を待ち続ける、貞淑な妻・ルネ/サド侯爵夫人役に成宮、サン・フォン伯爵夫人役に東出、ルネの妹・アンヌ役に三浦、ルネの友人・シミアーヌ男爵夫人役に大鶴、女中・シャルロット役に首藤、そしてルネの母・モントルイユ役を加藤という性別の垣根を超え、オール男性キャストにて上演される。

【取材会】成宮寛貴、東出昌大らが語る、三島戯曲への挑戦

初日前会見では、初日を迎えての心境として宮本が「三島作品はいろいろとやってますけども、これは日本の演劇史の中でも大変有名な作品ではあるものの、正直に言いますとこれほど難しい作品はありません。登場人物全員がまるで三島由紀夫さんの分身かのように存在してほしいという大変難しい設定とお願いを皆さんにしました。これが新たな三島世界なんだと理解していただければ嬉しいと思います。三島由紀夫ファン、そしてまた演劇のファンの方も、この作品を見てどう思うか、ぜひ皆さんのご感想をお待ちしたいと思います」と挨拶。

オールメールでの上演について、宮本は「三島さんが楯の会を作る2年ぐらい前ですね。女性性から男性性の脱皮、母からの脱皮、そして物語を書くだけではなくて、次の行動に向かうための脱皮。それがこの作品だと僕は思っていて、大きな決別があるような気がしています」と解説。

続けて、「内容的には、フランス革命で今までの考え方が全く逆になっていく時代の中で翻弄されていく人たちの話で、そこに三島さんらしく文学的知識ではなく、あくまでも身体的知識にこの先を持っていったというところがやっぱりこの作品の面白さなので、そういう意味では、生の存在感として、女性だけの話ではなく、むしろ三島の言葉、声、そして書いた文字から通して、男性性というものは女性性が変わっていくという作品にしたかったんです」と語った。

さらに、演出面として「やはり女形というのがありまして、どうしても女性の役を演じると、理想の女性を演じようとなって、なかなかこの戯曲で本当に生でぶつかっていくっていうのが生まれないので、女性言葉みたいなことは全部省こうと考えました。また、衣装も大きなカツラや豪華なドレスというのを省いて、言葉が一番染み入るように、そして中身がお客さんに届くように持っていきたいと考えています」と明かした。

成宮は、宮本が演出を手掛けた『滅びかけた人類、その愛の本質とは・・・』で初舞台を踏み芸能界デビューを果たし、本作で25年ぶりの再会となる。自身12年ぶりの舞台となる本作品で再タッグを組むことについて、成宮は「本当にいろいろなことを思い出しながらやらせてもらったり、亜門さんの求めているところまで到達してないことがたくさんあって、ご迷惑をいっぱいおかけしてるんですけども、その人にわかりやすい言葉で演出してくださるので、僕自身は毎日、楽しみながらやらせてもらっていました」と恐縮した姿を見せた。

続けて、「本作のキャラクターは、本当に言葉に力強さがあって、観る方の立場や、どういうところに住んでいて、自分の経験がどんな経験であったのかっていうことによって、だいぶ受け取り方が違う作品になると思います。なので、僕自身も毎日違うところに引っかかりを感じたり、ここはこういう風にしたらいいのかなという発見もたくさんあって、その発見を亜門さんにご指導いただきながらやってきたという感じでした」と思い返していた。

本作について、東出は「希代の天才、三島由紀夫が書いた戯曲。6人の登場人物が全員セリフの応酬だけで構成しているという役者にとっては非常に腕が試されるし、これが作品として大成すれば、それはもう本当に演劇史の金字塔に並ぶことができうる作品になると思います」と自信を覗かせ、「なので、明日から幕が開きますが、今後とも考え続けて、役者同士で高め合って、満員のお客様の前でこれが現代演劇の最高峰かと思っていただけるような、そういう実のあるお芝居をしたいなと思います」と意気込みを披露した。

宮本演出作品への出演が初となる三浦は、稽古について、「楽しかったです。本当に亜門さんとお仕事をさせていただける日がいつか来るといいなとずっと思っていました。でも、そう思っていた頃は、まだまだ亜門さんとお仕事できるような立場というか、心持ちじゃなかったと思います。でも、ようやく『今なんだ。よし、絶対やろう』という思いでお稽古場に入れたので、すごく前向きに過ごさせていただきました」と振り返った。

女性を演じることについて、大鶴は「今回は三島由紀夫の言葉がとても美しいので、その言葉に飲まれるというか、それを日常会話にするということにすごく苦戦しました。今も苦戦中なんですけど、でも最初の相手が東出さんなので、そういうところで逆に崩していきやすくて、それをお互い意識してるし、そういうところですごく助かりました。(女性として)日常会話をするのってこんなに難しいんだなってすごく思いました」と明かした。

振付のモーリス・ベジャールが三島由紀夫をモチーフに創作した『M』にも出演している首藤は、三島作品との対峙について、「苦労の毎日です。6人の中で唯一僕が演じるシャルロットは、第三身分と言いますか、民衆の代表として三島さんが描かれています。だから、僕はどちらかというと、この戯曲を稽古から客観的に俯瞰して見るような感じで、そこで面白がったりして、その面白がる感じがシャルロット役として出ればいいなという風に思っています」と期待を寄せた。

加藤は、公演中の目標を尋ねられると、「とにかく最後までやりきるということは絶対的な目標であります。それで、やはり本来ならば初日に完成させていて、千秋楽までずっとという話なんですけど、もう千秋楽に向かってできるだけ早い段階で、やはりこのモントルイユ夫人というのを完成させるように、日々まだまだ努力を続けていくという気持ちです」と掲げた。

【ゲネプロレポート】言葉の応酬が織りなす緊迫の劇空間

円形で中央に穴が空いた、なだらかな斜面の八百屋舞台。そこを囲む荘厳な柱がまるで神殿かと思わせ、古代ギリシャ演劇のような世界観を感じさせる本作。そのシンプルなステージ上で繰り広げられる6人による会話の応酬が、より人間としてのエッジを立たせ、三島由紀夫の傑作戯曲をより映えるものとしている。

『サド侯爵夫人』のオールメールでの上演は過去に蜷川幸雄が試みているが、亜門演出による本作でも、女性を男性が演じることによって、6人の女性たちの観念と対立、そして人間の本質を鋭く舞台上に描写し、性別を超越した一人の人間として浮き彫りにして、三島由紀夫の言葉の世界を舞台上に創り出している。

さらに、一人一人に合わせた生地選び、デザインを得意とするファッションデザイナーのツグエダユキエが初めて舞台衣装を手がている点も見どころの一つ。宮本が初日前会見でも語ったように過度な華美さを排除しながらも、登場人物たちそれぞれのキャラクター性と役者の女性らしさをより際立たせている。

会話劇でありながら、スリリングな展開を披露する個性豊かな6人の俳優陣。その中心となるのがサド侯爵夫人、ルネを演じる成宮だ。登場人物たちから語られる非道なサド侯爵を待ち続ける妻としての貞淑さと純粋さを存分に演じながら、やがて第2幕から第3幕へと愛と狂気が混じり合い変化していく姿に胸を打たれる。サド侯爵を待つ続けながら、なぜあのような人生の選択へと向かっていくのか。成宮が魅せる演技に目が離せない。

さらに、大きな印象を与えてくれるのがサン・フォン伯爵夫人役の東出だ。そのスタイルと衣裳、そして手に持つ鞭にその言説、どれもが圧倒的なまでのインパクトを観る者に植え付けてくれる。

三島由紀夫の生誕100年。新たな“ミシマ”の世紀のはじまりとともに三島由紀夫の傑作が、個性と実力を兼ね備えた6人の男性キャストと、宮本が描く『サド侯爵夫人』の世界を色濃く映し出すクリエイター陣によって舞台上へと令和によみがえる。

舞台『サド侯爵夫人』は、1月8日(木)から2月1日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA、2月5日(木)から2月8日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、2月13日(金)から2月14日(土)まで愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール、2月17日(火)から2月18日(水)まで福岡・福岡市民ホール 中ホールにて上演される。上演時間は約2時間(途中休憩なし)を予定。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

『サド侯爵夫人』公演情報

公演情報
タイトル 『サド侯爵夫人』
公演期間・会場 【東京公演】
[cite_start]2026年1月8日(木)~2月1日(日) 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
【大阪公演】
2026年2月5日(木)~2月8日(日) 森ノ宮ピロティホール
【愛知公演】
2026年2月13日(金)・2月14日(土) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
【福岡公演】
2026年2月17日(火)・2月18日(水) 福岡市民ホール 中ホール
スタッフ 作:三島由紀夫
演出:宮本亜門
キャスト 成宮寛貴
東出昌大
三浦涼介
大鶴佐助
首藤康之
加藤雅也
チケット情報 料金:11,000円/U-25 6,600円(全席指定・税込)
公式サイト https://tspnet.co.jp/sade/[cite: 2175]

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