10月23日配信!櫻井圭登が映像の「読奏劇」として読み解いた『新美南吉・作/手袋を買いに』収録レポート

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『Dream Stage(ドリームステージ)-読奏劇-』が、約1年ぶりに再始動する。『読奏劇』とは、著作権が消失した国内外の名作小説・童話を題材に、音楽のMusic Videoのような演出を施した配信特化型朗読劇。第2弾には、櫻井圭登、伊万里有、田村心、梅津瑞樹が登場する。本記事では、櫻井の収録風景をレポートする。

コロナ禍の中、「自宅で楽しめる室内エンターテイメント」を目指して誕生した『読奏劇』。そのクオリティの高さに、続編を希望する声が多数寄せられていた。満を持しての第2弾。撮影現場のスタッフたちにも、気合いがみなぎっている。

トップバッターを飾る櫻井が読むのは、『新美南吉・作/手袋を買いに』。櫻井は、本シリーズのスピンオフ企画として「ListenGo (リスンゴ)」(2021年1月にサービスを開始したドワンゴの音声配信サービス)で配信された音声版「読奏劇」でも、同作を読んでいる。

これは、音声版の完成を聞いたプロデューサーが「是が非でも映像としても残したい」と思ったことから、実現したという。櫻井の人柄を知る方には、納得の作品選定だったのではないだろうか。

今回、櫻井は第2弾のトップバッターの撮影となった。約1年ぶりに集結した『読奏劇』スタッフたち。監督を務める鎌田哲生(ミュージカル『刀剣乱舞』のMVなどを担当)を筆頭に、第1弾で得た気づきを反映しながら、どんどんとスタジオの中に『手袋を買いに』の世界観が作り込まれていく。

当日の櫻井は、とても緊張していたようだ。撮影前には、「朗読をしている姿を撮影していただくのは初めてなので・・・。昨年のシリーズを拝見したら、どの作品も読む人らしさがすごく出ていてる映像になっていたので、役者としては本当に嬉しい企画だなと思いました。僕も、自分にしかできないものを撮っていただけるようにがんばります」と意気込んでいた。

「手袋を買いに」は、新美南吉が生んだ児童文学。雪の季節、冷え切る子狐の手を握って、母狐は「手袋を買ってあげよう」と思い立つ。一緒に町へと向かうが、母狐は足がすすまなくなってしまい、子狐一人で町まで行かせることにする。人間は怖いものだと教え、小狐の片手を人間の子どもの手に変えて、「決してこっちの手(狐の手)を出してはいけないよ」と言い聞かせるのだが・・・。

「じっくりと時間をかけて準備をするタイプ」だという櫻井。音声版ですでに読んだものだが、撮影の準備中や、メイク・衣裳を整えている間も、何度も台本に目を落とし、物語を読み込んで、自分の中に落とし込んでいっている姿が印象的だった。緊張しがちと言いながらも、一度モードに入れば櫻井の周りに“世界”が広がる。

音声版と映像版の、一番の違いとして、櫻井が意図していたのが「お子さんに読み聞かせをするようにしたい」ということ。その考えは、監督の描くイメージとばっちりハマったようだ。この物語は、たぶん子どもの頃に読んだ記憶と、大人になってから抱く印象にかなり変わってくるのではないかと思う。櫻井は、幼少期に読んだことがある作品を“今”の自分が読むことに重きをおいて、作品を向き合っているようだった。

撮影が行われたのは、ウッディな空間の、ベッドサイド。櫻井はゆっくりとベッドに歩み寄り、椅子に座るとそっと本を開き、優しい声色で語りかけるように読み始める。場面場面に合わせて、プロジェクションマッピングや影絵が投影され、物語がふわっと広がる。

撮影が進むと、突然、ベッドの上がモソモソ・・・と動き出した。『読奏劇』は、一人で読む作品。しかし、櫻井の撮影には、なんと共演者が!今回の撮影、実は「ベッドの中で寝ているのは小狐が化けた子どもだった」という設定のもとで行われていた。ベッドの中で眠りに落ちるまでモソモソと動いていた子どもが、櫻井の読み聞かせを聞いて寝入ってしまい、しっぽが出てしまった・・・という、何ともファンタジックな仕掛けになっているのだ。

子どもの寝息と、うっかり出てしまうしっぽをどう表現するのか。スタッフたちが試行錯誤する中、鎌田監督が「俺がやろうか?」と進み出た。櫻井の読みに合わせて、細かく手を動かしながら“演技”していく鎌田監督。自らの演技に「うーん」と首をひねり、納得がいかなかったらしくNGを出す場面も。

何度かトライする中で、だんだんと鎌田監督が表現する“子ども”がリアリティを増してくる。その様子を優しく見守っていた櫻井の顔にも自然と笑みが浮かび、撮影現場にもほっこりとした空気が流れた。櫻井と監督の、渾身のコラボ。配信の際には、最後の最後、細かところまでぜひ注目してみてほしい。

櫻井は、「もし、自分が親の立場だったらこの物語をどう伝えるんだろうと、撮影中もすごく考えました」と語っていた。本作の最後、母狐は「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら」と繰り返す。作者である新美南吉も、読者がこの言葉をどう受け取るのか、考えて書いたことだろう。櫻井が、『読奏劇』としてこの物語の終わりまでをどう読み解いたのか。それを、映像としてどう切り取ったのか。

役に寄り添い、徹底的な作り込みをする櫻井のスタイルは、その芝居を観たことがある人なら誰もが信頼を寄せるところ。そんな彼が、撮影後に「こんなにも自分自身を出してお芝居をしたのは初めてです」と、顔をほころばせていた。櫻井が読み解いた、『読奏劇』の『手袋を買いに』。櫻井らしい温もりと、しっかりと作品を見つめる眼差しは、寒くなってきた今の時期、きっと沁みる。

櫻井圭登による読奏劇 #9『新美南吉・作/手袋を買いに』は、10月23日(土)21:00より配信される。チケットは、配信プラットフォーム「イマチケ」(https://ima-ticket.com/dreamstage02)にて販売。アーカイブあり。

目次

『Dream Stage -読奏劇-』配信概要

【出演者】伊万里有/梅津瑞樹/櫻井圭登/田村心
※50音順

【チケット販売】
イマチケ:https://ima-ticket.com/dreamstage02
チケット代:各回3,000円(税込)
※アーカイブ配信あり

#09 櫻井圭登_朗読『新美南吉・作/手袋を買いに』
配信日:10月23日(土)21:00
チケット:https://ima-ticket.com/event/301

#10 伊万里有_朗読『江戸川乱歩・作/日記帳』
配信日:11月6(土)21:00
チケット:https://ima-ticket.com/event/302

田村心『芥川龍之介 作/杜子春』
配信日:未定(後日発表)

梅津瑞樹『太宰治 作/猿ヶ島』
配信日:未定(後日発表)

<Twitter>
【読奏劇 公式】https://twitter.com/dokusogeki
【企画制作・ドリームライン公式】@dreamline_inc
<YouTube>
【ドリームライン公式】
https://www.youtube.com/c/Dreamlineinc

※2020年「読奏劇」ダイジェスト&予告
※音声版・読奏劇「読奏劇×ListenGo」試聴音源
各種コンテンツ公開中

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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