1978年から現在に至るまで刊行され続けている赤川次郎の人気ミステリー小説「三毛猫ホームズ」シリーズが、初の音楽朗読劇となり、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて開幕した。
「三毛猫ホームズ」シリーズとは?
「三毛猫ホームズ」は、シリーズ累計発行部数3000万部を突破している赤川次郎の人気ミステリー小説。1978年4月に刊行された『三毛猫ホームズの推理』を皮切りに、短編も含めると現在まで55作目が発表されている。今回の音楽劇では、1983年に発表された『三毛猫ホームズの騎士道』のストーリーが描かれている。
舞台の演出は石丸さち子、脚本・作詞は保科由里子、音楽はただすけが担当する。
物語の主軸となるのは女と血が苦手な刑事・片山義太郎と片山家の飼い猫・ホームズ。片山を演じるのは岡宮来夢。歌声や台詞に常に他人への思いやりが滲んでおり、優しい刑事の片山にぴったりの配役だ。一方、“猫”・ホームズを演じるのは水江建太。ミステリアスで聡い猫・ホームズの心情を時に語り、説得力のある歌声で聞かせる。
岡宮来夢、水江建太ら7人のキャストの声と生演奏で描く濃厚な音楽朗読劇
今回1人と1匹が巻き込まれたのは、ドイツの古城を舞台にした事件。物語は原作小説のプロローグそのままに、3年前に遡る――。
日本有数の資産家、永江一族の次男・英哉(演・須賀貴匡)が妻・智美にねだられて買った約3億の新居。そこは13世紀に建てられたという古城であった。
静かに流れ始めるハミングに合わせて、誘われるように礼拝堂に足を踏み入れる智美。そこに佇む中世の処刑道具“鉄の処女”の前に立った時、誰かが彼女の背中を押し、無数の針が彼女の体を貫いた。
衝撃的なオープニングシーンを、朗読劇とは思えない臨場感でキャスト陣が描く。音楽朗読劇、と銘打っている今作は、ピアノとギターを中心に生演奏で彩られている。キャストたちは台本こそ持っているものの、舞台上を縦横無尽に動き回り、照明演出とともにさまざまな空間を作り出しているのだ。
時は巡って、片山刑事とホームズがいる現在に戻る。ドイツに向かう飛行機でケージに入れられ、貨物室で運搬される猫のホームズは、飼い主の心配をよそに、自由気ままに過ごしていた。そんなホームズによる気だるげな自己紹介ソングが流れ、片山とホームズの関係性やキャラクター設定が観客にも分かるように歌い上げられる。観客にはホームズの歌声は聞こえるが、片山には「ニャア」という鳴き声しか聞こえていないのが、今作ならではの面白さでもある。
永江和哉(演・天宮良)に依頼され、刑事にしては馬鹿正直な石津(演・京典和玖)とともに、和哉の弟・英哉が所有するドイツの古城に招かれた片山とホームズ。他には和哉の後妻である永江有恵(演・大湖せしる)、和哉の息子の紳也と、和哉の不貞で生まれた由谷圭太(演・中村太郎)、和哉の秘書の北村が同行している。
ちなみに、メインキャストの一部は本役以外に兼ね役を演じながら、さらにキャスト全員が地の文も朗読しており、多種多様な表現をする演者たちを同時に観ることができる。紳也は須賀貴匡が、北村は中村太郎が演じており、大湖せしるは物語冒頭の永江智美、そして英哉の使用人の梶本など、女性の役はほぼ全てを演じ分けていた。
なぜ自分と石津が家族旅行ともいえるこの旅行に呼ばれたのか――そう疑問に思う片山に対して、和哉は「私は弟に殺されるかもしれないのです」と言う。
一方で英哉は、妻を殺害した容疑がある人物を絞りだしていた。
「この城に今、犯人がいるに違いない」
「もし私が殺されたら、あなた方の手で犯人を見つけていただきたい」
意図的に集められた容疑者候補たち。お互いに疑心暗鬼になっている実の兄弟。そして翌日、永江英哉は姿を消し、第1の事件が巻き起こる――。
舞台上には、原作のサブタイトルが何度か映し出されるのだが、このサブタイトルにも実はトリックが仕込まれているので、ぜひ見逃さないでほしい。7人のキャストの声と生演奏で描かれる濃厚な音楽朗読劇。ぜひ目で、耳で、その贅沢な空間を楽しんでほしい。
音楽朗読劇『三毛猫ホームズ』はいつどこで上演される?
【大阪公演】2025年1月24日(金)~1月26日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール(終了)
【東京公演】2025年1月28日(⽕)~2月3日(月) ヒューリックホール東京
【公式サイト】https://mikenekoholmes-stage.com
【公式X(Twitter)】@mikeneko_read
音楽朗読劇『三毛猫ホームズ』千秋楽でライブ配信決定!
【配信公演】2月3日(月)12:30公演(アーカイブあり)
【料金】4,000円(税込)
【販売期間】2月10日(月)20:59まで
【視聴期間】2月10日(月)23:59まで
【配信チケット】https://l-tike.com/mikenekoholmes-stage/
(C)音楽朗読劇「三⽑猫ホームズ」