読奏劇『芥川龍之介・作/杜子春』田村心インタビュー!「今じゃなかったら、出会ってなかった」

当ページには広告が含まれています

著作権が消失した国内外の名作小説・童話を題材に、音楽のMusic Videoのような演出を施した配信特化型朗読劇『Dream Stage(ドリームステージ)-読奏劇-』。2020年に8作品、2021年から2022年にかけて4作品が発表されてきた本シリーズのラストを飾る田村心の『芥川龍之介 作/杜子春』が、2022年2月15日(火)にいよいよ配信開始となる。

撮影現場に密着してきたエンタステージでは、収録を終えた時の田村の声をインタビューとしてお届け。『杜子春』を田村が読む――本人が一瞬ミスマッチでは?と感じる挑戦的な作品選びは、“今”でしかありえなかった。結果、刻一刻と変化・成長する役者のリアルが、映像として切り取られた。そんな軌跡から感じることを、本人の言葉で語ってもらった。

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

――田村さんには、『読奏劇』の第1弾の時にもご出演いただきたいとお声がかかっていたと聞きました。第2弾で観ることができてとても嬉しいです。

『読奏劇』のことは、第1弾をやっている時から気になっていて、予告とかリアルタイムでチェックしていたんですよ。お声がけをいただいていたのを僕は知らなかったもので、人気俳優に入れなかったな~と思って観ていました(笑)。今回出演できることになって、とても嬉しかったです。

――もともと『読奏劇』が気になっていたとは、嬉しいお言葉ですね。

予告だけでも引き込まれるぐらい、クオリティの高いものが作られていると感じました。コロナ禍になってから朗読劇がよく上演されるようになりましたが、その中でもすごくおもしろいチャレンジをされている企画だなと思って。

――実際に撮影をされてみて、いかがでしたか?

最初はすごく緊張していたんですが、だんだん楽しくなってきました。たくさんのカメラの前で、しかも一人で物語を紡いでいくのは大変だと思っていたんですが、やりはじめたら楽しめているなと感じています。

僕が読ませていただいた「杜子春」は、言葉が難しかったです。難しいポイントには、事前にマーカーを引いておきました。そもそも、始まりの一文「ある春の日の日暮れです」が、声に出してみると言いにくくて。初っ端から「大丈夫かな?!」と焦ったんですが(笑)。

言葉が難しい分、ゆっくり丁寧に読んでいかないと観てくださる方にも伝わらないなと思い、すごく意識するようにしました。それでも「もっとゆっくり読んでいいよ」と言われたので、その加減が難しかったですね。

――事前準備をたくさんされてきたのですか?

直前までハードな撮影が入っていたもので、数日間集中して「杜子春」に関する準備をしてきました。いろんな人の朗読を聞いてみたり、調べてみたり。いい言い方をすれば、鮮度高めです。

――演じながらも、アイデアぽんぽん湧くタイプですか?

なんだかんだと決め込むんですけど、今は決め込んだとおりに全然できてないです(笑)。逆に言うと、映像作品ですがわりとライブ感のある芝居を切り取っていただけているのかもしれないです。

――撮影を拝見していて、言葉を大事に吐き出そうとしているのを感じました。

「杜子春」は、前半と後半で成長があるキャラクターであり、物語なので、そういうところを表現できたらと思っています。登場人物は、金持ちの息子である杜子春と、「鉄冠子」という不思議な仙人、閻魔大王、神将と、複数出てくるんですが、もともとはキャラクターごとに声色を変えるつもりはなかったんです。でも、数日前にはっきりとキャラ分けをして演じてほしいというオーダーをいただいたので、すごく考えてきました。

――演じ分けは、どのように考えていらっしゃったのですか?

杜子春についてはあまり意識せず、ありのままで読みました。老人については、初めて演じるし、今の年齢の僕が普通に読んでも説得力がないなと思ったので・・・実は、僕がこれまでに関わった作品の“ある人物”をイメージして読んでみました。ぜひ当ててみてほしいです(笑)。

――そうだったんですね、ちょっと浮世離れした感じがすごく良かったです。

それはよかったです。研究対象が正解だったかな(笑)。

――田村さんは、一人芝居もこれが初挑戦なんですよね。やってみて、いかがでした?

結構やりやすいかも。自分で言うのもなんですが、僕、気使い屋なんですよ・・・。「今の芝居、どう思われているかな」とか、つい考えちゃって。一人芝居だと、自分の思うようにできるし、いいも悪いも自分次第なので、そこがおもしろいなと思いました。自分と自問自答しているみたいな感覚です。もちろんみんなと作るのも楽しいですが、一人もなかなかいいものだなと。いい経験になりそうです。

――『杜子春』を読むというのは、プロデューサーさんからのご提案だったと聞きました。

最初、マネージャーさんが選んだのかな?と思っていたんです。なんでこんな難しい作品なんだろう?嫌いじゃないけど、僕のことを応援してくださっている方のニーズにも合うんだろうかと、思ったりもしました。

でも、ご提案くださったプロデューサーさんが、僕のここ1年の活動を観て、選んでくださったと聞きました。『読奏劇』の第1弾の時に出演が決まっていたら、童話や心が和むようなかわいらしい作品を選んでいたかもしれないけれど、今の僕には「これだ」と思ったという意図を聞いて、俄然やる気が湧きましたね。

――その話、すごく分かる気がします。ここのところ、田村さんが少年から青年になっていくというか、舞台に立たれる姿を拝見する中で、雰囲気変わられたなと感じることが多くありました。

ほんとですか。それは、この1年にやってきた作品の影響もあるのかも。2020年から2021年にかけては、2.5次元作品に出られる機会があまりなかったので。少年役を演じているとどうしてもかわいい印象になるというか。『魔界転生』とか、すごい方々と共演させていただいたこととかも、少しずつ影響してきているのかもしれません。

――田村さんは、役に結構影響されるタイプですか?

すごく影響されます。一人称が変わってしまうこともあります。作品に入り込むタイプなのかな・・・。だから『杜子春』も、今じゃなかったら出会っていなかったことを思うと、改めておもしろいですね。

――なんだか、杜子春という青年の心境の変化ともシンクロしますね。

あ~、確かに!この撮影の前、お姉ちゃんと会ったんですけど、「『杜子春』を読むことになったんだよ」と言ったら、イメージにないと驚いていました。でも、イメージにないことに挑戦させていただけるのは役者冥利につきるというか、ありがたいことですよね。お姉ちゃんにも「すごいじゃん、がんばんなよ」と応援してもらったので、お客さんにも新しい挑戦を見届けるような感覚で観ていただけたらいいです。

――撮影を拝見していて、途中からノッてきた感じがありましたね。

ゾーンに入っていました(笑)?そう言っていただけるならよかった。映像って、撮る順番が物語の順番どおりにはいかないものですからね。最近、映像作品にも出演させていただく機会が入って、初日から別れのシーンとかが当たり前なんだと実感しました。

それから、完成形が編集されたものを観るまで分からないことも多いですからね。今回もカメラを見て芝居をしたりもしました。「対自分」をイメージしながらの芝居は初めてだったので、僕も完成が楽しみです。

――『読奏劇』では、配信当日に視聴者の方と出演者の方が一緒に観ていただくことになります。

旅ロケ番組のイベントなどで、自分が出ているものをお客さんと一緒に観ることはあったんですが、「作品」を一緒に観るのは初めてです。緊張しそう~(笑)。お客さんの反応がリアルタイムで分かるんですもんね。

――視聴者の方は、コメント機能を使って感想を言い合いながら観ることもできるのですが、これまで、わいわいとコメントが賑わう作品と、逆にピタッと止まる作品がありました(笑)。

見入っちゃうと、止まっちゃうんだ!僕の場合は、どうなるんだろう・・・。緊張しますけど、うまくいっていないところがあったらその場で言い訳できるし、自己申告で自分をいじれるから楽しいかもしれない、と思っておきます(笑)。

――この『読奏劇』もコロナ禍から生まれた企画ですが、田村さんは、この期間にどんなことを考えましたか?

最初は・・・マイナスのことをめちゃくちゃ考えました。やる予定だった舞台が全部中止になって、世間からエンターテインメントへの風当たりも強くて・・・。「エンタメとは?」「役者とは?」「仕事がない自分は何者なんだろう」とか、すごく考えました。それでもエンターテインメントは求められ続ける存在だと思いました。

何と表現したらいいかな・・・どんなことが起きても「必要」なもの。自分も仕事ができない期間、映画とかを観て自分を保っていた部分が大きかったですし、なくならないものなんだと改めて思いました。僕ら役者は、それを信じて突き抜けるのみなんだと思います。

――田村さんは、節目節目、ご自身が感じていることをきちんとブログに綴っていらっしゃいますよね。言葉を綴ることは、お好きですか?

そうですね、苦手ではないです。ブログは好きなことを書かせていただいています。事務所のチェックも事後チェックで(笑)。書き始めたら赤裸々に書いてしまうんですけど、自分の言いたいこと、好きなことを自由に書ける大事な場所ですね。

――そういった発信から見える「今」の田村さんを、映像で丸ごと切り取っているので、視聴者の方がどう受け止めてくださるのか楽しみですね。

撮影、日をまたいでしまうかなと本気で心配していたのですが、意外と順調に進みました(笑)。舌根は疲れている感じがしますが、すごく達成感はあります。完成形を観ないと全体像は分からないんですが、映像としておもしろくなるようにいろんな工夫を凝らして撮っていただきましたし。

このシリーズのクオリティの高さが、現場に入って納得したし、見えたこともいっぱいありました。田村心の『杜子春』もこだわり抜いて撮影していただいたので、これ、ほかの人のも気になりますね。僕の作品だけでなく、みんなのも観てほしいです。『読奏劇』をまるごと楽しんでいたけたらと思います!

目次

『Dream Stage -読奏劇-』第2弾 配信概要

【出演者】伊万里有/梅津瑞樹/櫻井圭登/田村心
※50音順

田村心『芥川龍之介 作/杜子春』
配信日:2022年2月15日(火)20:30
チケット:https://ima-ticket.com/event/318

イマチケ:https://ima-ticket.com/dreamstage02
チケット代:各回3,000円(税込)
※アーカイブ配信あり

<販売中>
#09 櫻井圭登_朗読『新美南吉・作/手袋を買いに』
配信日:10月23日(土)21:00
チケット:https://ima-ticket.com/event/301

#10 伊万里有_朗読『江戸川乱歩・作/日記帳』
配信日:11月6日(土)21:00
チケット:https://ima-ticket.com/event/302

#11 梅津瑞樹『太宰治 作/猿ヶ島』
配信日:12月20日(月)21:00~
チケット:https://ima-ticket.com/event/310

「読奏劇 写真展 in OIOI」
https://dreamline.link/contents/483648
2022年2月19日(土)~2月27日(日) 渋谷モディ7F催事スペース(東京)
2022年3月12日(土)~3月20日(日) なんばマルイ 催事スペース(大阪)
※詳細後日発表
※詳細発表前の開催店舗へのお問い合わせはご遠慮ください。

<Twitter>
【読奏劇 公式】@dokusogeki
【企画制作・ドリームライン公式】@dreamline_inc

<YouTube>
【ドリームライン公式】
https://www.youtube.com/c/Dreamlineinc

※2020年「読奏劇」ダイジェスト&予告
※音声版・読奏劇「読奏劇×ListenGo」試聴音源
各種コンテンツ公開中

あわせて読みたい
演劇ライター講座開講!2月5日(土)スタート第3期 申込受付開始 エンタステージが開催する「演劇ライター講座」は、演劇メディア業界に興味を持つ方、人に伝える記事を書くことについて興味のある方に向けて、経験豊富な編集者&ライ...

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

目次