フィニッシュブローだけじゃない!これぞリアルファイティング!!『はじめの一歩』開幕

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2020年1月31日(金)より東京・品川プリンスホテル ステラボールにて、リアルファイティング『はじめの一歩』The Glorious Stage!!が開幕した。初日前には囲み会見と公開ゲネプロが行われ、後藤恭路、滝澤諒、松田凌、滝川広大、塩田康平、高橋奎仁、高木渉、作・演出の喜安浩平が登壇した。

「はじめの一歩」は、講談社「週刊少年マガジン」で1989年から連載中の森川ジョージによるボクシング漫画で、同誌不動の看板作品と言われるほどの大ヒット作でアニメ版も大人気シリーズとなり、連載30周年を迎えた作品。その舞台版となる今作はステージ上で男たちの「本気の闘い(リアルファイト)」が繰り広げられる。

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【あらすじ】
内気でいじめられっ子の幕之内一歩は、ひょんなことからボクシングに出会い、熱中していく。一歩は「強いってどういうことだろう?」という素朴な疑問を抱えながら、持ち前のがんばりで過酷な練習に耐え抜き、強くなっていく。ハードパンチを武器に、数多の強敵との死闘を勝ち抜き、チャンピオンを目指す!!

初日会見では、まず登壇者たちが意気込みを語った。幕之内一歩役の後藤は「あまり初日という実感がなくて・・・。緊張もほとんどないんですけど、練習でやってきたことをうまく出せればいいなと思っています」と、全員から「一歩やな」と言われるほど、役柄らしく実直にコメント。

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宮田一郎役の滝澤は「みんなで一丸となってお芝居の稽古だけではなく、ボクシングのトレーニングもしてきました。ボクシングに対する熱量も作品に乗せてお客様にぶつけていきたいです」、千堂武士役の松田は「千堂の言葉を借りると、ご来場いただいた皆様に『こんなもんや!』と大口を叩けるぐらい、全身全霊で毎公演務めていきます」とそれぞれ語った。

鷹村守役の滝川は「本日は俺様のために集まってくれて、ありがとう!」と鷹村らしくボディビルダーのように両手を挙げるダブル・バイセップスのポーズを披露しながら笑いを誘い、改めて「リアルファイトだけでなく、人間=物語がしっかり立っています。そこに鴨川軍団の熱量やリズムを乗せていって、おもしろさを加えられたら嬉しいです」と期待を寄せた。

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青木勝役の塩田は「すごく熱い漫画なんですが、おもしろい部分もたくさんあるので、そういった面も凝縮しつつ、一歩の成長を見守っていく先輩として、この舞台を支えていきたいです」、木村達也役の高橋は「それぞれ芝居、ボクシング、体作りに取り組んできたので、あとは舞台という名の試合に臨むだけです」、鴨川源二を演じる高木は「とにかく皆さんに楽しんでいただけるよう、僕たちも精一杯がんばります。鴨川源二の言葉で表現すると『前へ! 前へ!』という感じで本番に臨みたいと思います」と各々意気込んだ。

ビジュアル撮影時よりもさらに仕上げてきた肉体で会見に臨んだキャストたち。稽古場での筋肉エピソードとして、滝澤が「大量の肉がケータリングに置いてあって、タンパク質のビュッフェみたいになっていました(笑)。それを食べるために筋トレをし、それをまた食べ・・・という繰り返しでした」と明かし、塩田も「こんなに恵まれたケータリングはなかったです」と同調。

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そんな鍛え抜かれた肉体を駆使した激しいリアルファイトが、試合の展開に合わせて回転するステージ上のリングを舞台に繰り広げられる。見どころについて作・演出の喜安は「やっているのはボクシングなんですが、イメージは大縄跳びを飛んでいる感覚に近いです。大きな渦の中で、誰もがその時に必要な仕事をし、その流れを止めてなるかと、どんどん入ってくるんです。絶対にきっかけを逃すまいと大きな渦に飛び込んでいく姿勢を、ぜひ楽しんでください」とアピール。

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さらに作・演出面の工夫を「原作のボクサーの手をすべて台本に一度起こし、そこから物語の局面が動く場面を選ぶんですが、それだけだと必殺技合戦みたいになってしまうので、その間に台詞を言うためのパンチを入れたりしています」と明かし、続けて「ファイトコーディネイトの冨田昌則さんや振付のHIDALIさん、そして俳優さんたちが、その図面を一から考えて作ってくださいました。そのレイヤーの多さが“リアル”を生み出す肝です。しかも、それぞれの“手”が常に成長しているんですよ。パンチ、台詞、効果音、音楽のタイミング・・・常にすべてのレイヤーを意識しながら動かしているので、俳優さんだけでなく、スタッフもまさに“リアルファイティング”です」と解説した。

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役柄の見どころやアピールポイントについて、後藤は「一歩は最初はいじめられっ子で意気地なしな子なんですけど、試合を経験してどんどん成長していく姿が見どころです」、滝澤は「宮田くんは負けず嫌い。意外と口下手で、自分の伝えたい思いと言動が違ってしまったりもするんですけど、誰よりも負けたくないという思いが強い青年です」、松田は「千堂は“漢”という字を体現しているようです。言葉だけでなく拳で語り合うことで自分の人生を見つけ強さを追い求めていく。自分と重なる部分もあります」とそれぞれコメント。

滝川は「鷹村は強い男ですが、強いからこそ持続しなくてはいけないポジションがある。そして、言葉でも強さを表現できる役です」、塩田は「調子のいいところ、暑苦しいところ、そして負けの味をよく知っているところ」、高橋は「鴨川軍団としてふざけたりもしつつ、ジムの先輩として一歩を見守っている部分です」と挙げた。

アニメシリーズで、鴨川とは正反対のお笑い担当的な青木の声を務めていた高木は「鴨川はまさに勝負師。心の中で一喜一憂しているんですが、あまり表情に出さないんです。・・・高木渉として、厳しく鼓舞していく役ができるかなという心配はあったんですけどね(笑)」と語って、笑いを誘った。

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個性豊かなファイトスタイルや、フィニッシュブローを持つユニークなボクサーが数多く登場する本作。ピーカブースタイルの一歩によるガゼルパンチやデンプシーロール、荒々しいインファイター千堂のスマッシュ、華麗なアウトボクサー宮田のカウンター、ヒットマンスタイル間柴(岡本悠紀)のフリッカー・ジャブ&チョッピングライト、さらに冴木卓麻(山口大地)の「スピード・スター」ぶりや、ヴォルグ・ザンギエフ(才川コージ)のホワイトファングや、伊達英二(松本寛也)のハートブレイク・ショットなど、原作やアニメで描かれた魅力的な技の数々をキャストがその肉体美とともに見事にステージ上で再現。

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もちろん、喜安が「必殺技合戦にならないように」と語ったように、試合の緊張感とスピードを殺さずに埋め込まれた試合中のドラマも見応え十分だ。速水龍一(橋本真一)と一歩の対戦シーンや、一歩の同級生・梅沢雅彦(神坂優心)の変化、間柴の妹・久美(未来)と一歩のロマンスなど、原作の名シーンやお笑い部分のチョイス、原作ストーリーの取捨選択における舞台としてのメタ演出的な部分でのカバーについても、アニメ版で一歩の声優を務め、原作・アニメともども知り尽くした喜安ならではの作・演出となっており、「はじめの一歩」の魅力が存分に引き出されている。

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会見では最後に、後藤が「やっぱり迫力というのは生のほうが伝わると思うので、ぜひ劇場に足を運んでください」と朴訥と呼びかけると、再び登壇者たちから「まんま一歩やな~」との言葉が漏れ、後藤も照れ笑いを見せていた。

ステージ上で汗が飛び散り、鍛え上げられた肉体と熱き拳によって生み出されるボクシングという名のドラマ。フィニッシュブローだけじゃない!これぞまさにリアルファイティング!!ともいうべき舞台となっている。

リアルファイティング『はじめの一歩』The Glorious Stage!!は、1月31日(金)から2月9日(日)まで東京・品川プリンスホテル ステラボールにて上演。上演時間は約2時間45分(休憩15分を含)を予定。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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