「はじめの一歩」喜安浩平×後藤恭路×滝澤諒×松田凌インタビュー!「お芝居の新しい“はじめの一歩”を踏み出す」

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2020年1月31日(金)より東京・品川プリンスホテル ステラボールにて、リアルファイティング「はじめの一歩」The Glorious Stage!!が上演される。「はじめの一歩」は「週刊少年マガジン」で1989年から連載中の森川ジョージによるボクシング漫画で、累計発行部数9,600万部を超える大ヒット作。連載30周年を迎える2019年に、舞台化されることが決まり、アニメ版で主人公・幕之内一歩の声優を務めた喜安浩平が作・演出を手掛けることで話題を集めた。

出演者も、一歩役には、シュートボクシングの経験を持ち、本作が本格的なデビュー作となる後藤恭路、一歩の永遠のライバル・宮田一郎役には滝澤諒、「浪速のロッキー」の異名を持つ千堂武士役には松田凌と、力強い顔ぶれが揃った。公演に向けて、喜安を含めた4名に、舞台化について、オーディションの思い出、意気込みなどを語ってもらった。

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――舞台化の話を聞いた時、どう思われましたか?

後藤:絶対にいつか舞台化されると思っていたので、「ついにきた!」という思いでした。まず、何よりもオーディションを受けられたことが嬉しかったです。一歩を演じるということは、オーディションが始まった際にはあまり実感がわかなかったんですけど、最終審査まで行けた時にもしかしたらなれるんじゃないかという思いが強くなってきて、結果として決まってすごく嬉しかったです。

滝澤:小さい頃からアニメも見ていて、ファンだったんだよね。

後藤:そうなんです。アニメに憧れて、格闘技としてシュートボクシングを始めたんです。最初はボクシングがやりたかったんですけど、自分で申し込むということが緊張してできなくて(笑)。でも、シュートボクシングのトレーナーをやっている方と知り合いになったことでシュートボクシングを始めたんです。そういう憧れがある作品ですから、出演できるのは夢みたいです。

松田:恭路くんは選ばれるべくして選ばれた人、という印象がありますよね。

喜安:そうなんだよね。オーディションの時点で大変だったのは、どれだけその俳優さんが良い雰囲気や技術を持っていたとしても、体格が合わない時点で選考から外させていただいた、ということなんですよ。一歩なら、フェザー級の体格が実現できる人じゃないと任せられないという条件があったので、その役を担える俳優さんというのは他の作品に比べて狭いんですよね。だって、一歩役の俳優の身長が175cmだと、鷹村守役の人は2mぐらいないといけなくなるから(笑)。

一同:(笑)。

喜安:どこかでウソをつくと、全部でウソをつかないといけない。後藤くんがフェザー級の体格を持っていた、それ一つとっても選ばれるべくして選ばれた人ということですよね

滝澤:僕は「あの有名な作品だよな・・・!」みたいな感じでした。オーディションを受ける前まで、自分がそこに立つイメージが湧かなくて、体当たりでやるしかないと思っていたんです。「ボクシングはこうやる」「宮田はこうだ」という固定概念がなかったので、与えられた台詞を通して、自分と共通している部分を探して、演じるとしたらどういう部分を演じればいいんだろうとイメージしながらオーディションを受けたんです。選んでいただいた時は嬉しかったんですけど、何よりもボクシングをやることへの焦りが出てきていまして・・・それは、これから解決しようと思っています (笑)。

松田:僕は、舞台化のお話を聞いた時、未だかつてないんじゃないかというぐらいの衝撃を受けました。ボクシングはスポーツですが、人と人がぶつかり合うという危険性も伴うからこその感動があると思うんです。だけど、それを舞台としてどうやるのか・・・。どう進めていくのか全く想像できなかったので、本当に衝撃でした。ただ、絶対に新しいものになるなと思うので、ここから何かが始まるとしたら、その始まりを一緒に戦えるんだと思って、オーディションを受けさせていただきました。

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――オーディションで印象に残っていることはありますか?

後藤:とりあえず記憶に残っているのは、「筋肉がいっぱいいた」ですね(笑)。

一同:(笑)。

後藤:格闘家で今は俳優をやられているという方もいらっしゃって、オーディション会場ですごく興奮していました(笑)。

滝澤:オーディションでは、ボクシングのポージングを求められると思っていたんですけど、実際にはボクシング要素を問われることはなかったんです。見た目のディテール以上にキャラクターの歩んできた人生から出る表情や、内面的な部分を照らし合わせて見られているのかなと思いましたね。

――そこにはどんな意図があったんでしょう?

喜安:オーディションを受けてくださる方全員がボクシング経験者であるとか、アドバンテージを持っているわけではないのに、そこの部分を強調して見ちゃうと、そこに引っ張られてしまうかもしれないじゃないですか。この作品で肝心なことは、ある人間が強くなるために、たまたまボクシングという手段を選ぶ、というところなんですよね。それぞれのアプローチで“強くなろう”とする、そんな人間ドラマが描かれていないと、試合の部分に感情移入ができないと思っていたんです。だから、すでにスキルを持っているということはあまり重視していなかった。それよりも、こちらに舞台版のイメージを喚起してくれる何かを持ってる人の方が、「こういう方法もあったのか!」と気づけるだろうし、そういう期待感に賭けたかったという思いがありました。

松田:僕は、オーディションで「千堂武士がやりたい!」と顔に書いていたと思います(笑)。オーディションでは違う役の台詞を読んだりもしたんですけど、千堂しか見ていなかったです。その気持ちは今も変わりません。駅からオーディション会場に行くまで、ずっと眉間にしわを寄せて「役をかっさらってやる!」と思っていたら、あっという間にオーディションが終わっていました(笑)。

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――喜安さんから見たオーディションでの3人はどうでしたか?

喜安:オーディションに呼ばれている時点で、俳優としてのスキルはある程度お持ちなのだろうと考えていましたし、だから表面的な個性や似てる似てないはさほど気にしませんでした。決まれば、それぞれの技術でどんどん役に近づいていくと思いますから。本質的にその人の中に感じたものが、キャラクターとシンクロしていくといいなと考えて選ばせていただきました。

滝澤くんは飄々としてたんですよ。絶対に宮田という役を取ってやるんだという思いを表現される方はいっぱいいらっしゃって・・・もちろんそういうのもいいんですが、宮田というキャラクターは、ちょっとアンビバレントなところがあって、熱さとクールさの矛盾に本人も振り回されているというところがチャームポイントだと僕は考えているんです。分かりやすくて分かりにくい人。そういう、ミステリアスなところが欲しかった。その点、俳優がすべてを素直に表現するだけだと、どうもミステリアスにならないんですね。全貌が見えないからこそいいんだろうなと思っていたので、底の見えない滝澤くんに興味を引かれたんです。

滝澤:このようなお話をガッツリと聞かせていただけることはなかなかないですから、嬉しいですね・・・。今のお話を聞いて、宮田との共通点が見つかりました。彼の魅力って、ストイックさだと思うんです。スマートで何でも基準以上のことができる、非の打ち所がない人という印象も強いですから、そういう部分にはあまり共通点が見つけられない感じだったんですよ。でも、感情の矛盾や葛藤って、僕も感じる時があるんです。そういうパーソナルな、言葉で表現できないモヤモヤした感じが宮田との共通点になっていたら嬉しいなと、今思いました。

喜安:宮田は「すごくできるヤツ」という感じで原作に登場するじゃないですか。それがもう、すでに宮田の自己評価とはズレているんですよ。もちろん物語上、自信満々なライバルとして登場はするんですけど、すべては「父さんのボクシングを証明するため」なんですよね。でもそのことは、会場で応援する女の子たちにはきっと伝わってない。それを抱えながら戦うやりきれなさが、彼を魅力的にするんだろうなと思います。それはもしかしたら、俳優さんにもあることかもしれないですね。表現しようとしていることとリアクションの間にある本当の自分のイメージを、少しでも届けたいと思うからこそ、俳優という仕事をしているのかもしれませんから。

松田くんはオーディションで対面してお話をさせていただいた時に、非常に素直だったんです。その素直さは宮田とは真逆で、「お前と戦いたいんだ!」と、思いをすべてちゃんと言葉にして表現する正直さが千堂には一番必要だと思っていたんです。ワイルドさやヤンキーっぽさよりも、お芝居ではそちらの要素の方が重要だと思っていて。対話の中でそれを感じたので、とてもいいなと思ったんですよね。

松田:なんだか照れますね・・・(笑)。僕は、なるべく“伝えたい”と思っているんです。言えないこともいっぱいあるし、言っちゃいけないこともありますけど、それ以上に言うべきこと、伝えなきゃいけないこともあると思うんですよ。言っても大丈夫なのかなと思うことさえも、もったいないと思っていて。できるだけ言葉で残せたらいいと思いますし、このインタビューを読んでくださって、観に行きたいなと思っていただくためなら、何でも話します(笑)!それが格好悪くても、クサイなと思っても、言いたいなと思ったことは言いますし、それがオーディションの時に届いていたのならば本当に嬉しいですね。

喜安:オーディションの中では、一歩が一番大変でしたね。大変だったのは、どうやって普通の子を探すか、ということでした。一歩は“できない”ということが大前提としてあるじゃないですか。舞台の上で試合をする時に、それが本当のことに見える人がいいなと思っていたんです。でも、オーディションに来る人たちは皆さんできる人なんですよ(笑)。その中で、後藤くんがあまりにも飾らない素直なお芝居をされていて。もちろん本当にボクシングができるというアドバンテージはあったんですが、お芝居になるととても不器用で素直。それを見て、全員「これはもしかすると・・・」という気持ちになったんですよね。

後藤:そう見えていたんですね(笑)。審査される方が何を見ているのか、あまりそういったお話を聞く機会がないので、おもしろいですし、勉強になりました。

――それぞれ、演じる役の魅力をどう捉えていますか?

後藤:一歩は、真っ直ぐで、ピュアで、思いやりがあるところが魅力だと思います。内向的で、いろいろ考えて言葉に出せないところや心配性なところ、強くなりたいと思っているところとは、僕と似ているかなと思います。

滝澤:一歩って、背中で引っ張っていくタイプだと思うんですよ。本人はそんなつもりないかもしれないですけど(笑)。でも、一歩という人間が成長することに対して、みんなが刺激を受けて、あいつに負けないように俺もがんばる、と登場する全キャラクターが思っているんですよね。そういう意味では、本人が気づいていないリーダーシップみたいな一面も持っているんだろうなと思います。

宮田について語る上で欠かせないのは、やっぱりストイックさですね。どんな時も、自分を甘やかさない。一歩が宮田を追いかけているように見えて、宮田が一歩を追いかけている描写も好きです。それから、一人でモヤモヤしている描写を見ると、人間らしいなと思います。宮田は、口には出さないけど葛藤や苦しみをストレートに感じているので、そういうところに、宮田一郎という人間を支えたくなるような、彼のチャーミングな人間性を感じます。

松田:僕は千堂の甘ったるくないところが好きですね。試合で、倒した相手に対して優しい言葉を少しでもかけてあげればいいのに、「お前とは二度と会うことはないだろうから言っとくけど、こんなもんや」みたいなことを言って去るという。そういう部分に男として憧れを抱きます。人情的な部分も含めて、少し昭和の香りがするんですよね。僕は昭和を生きていないので、あんまり語れないんですけど、昭和という時代に憧れるんですよ。だから、僕よりも僕の親父の方が千堂に似ているなと思います。それもあって、少し親父を見ている気持ちになるんですよね。・・・ただ、親父のことはあんまり好きではないんですけど(笑)。

一同:(笑)。

松田:でも息子だからこそ、そんな親父みたいな人に憧れちゃってる部分もあるんでしょうね。だから千堂は、僕の中にある男の理想像の一つでもあります。そういうタイプの役を演じられるのは光栄なことですし、今の自分よりも成長しなければ表現できないことも多いと感じています。負けん気が強くて、力もある役柄というのは演じた経験がありますが、千堂武士みたいな役は、もしかしたら初めてかもしれないですね。

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――皆さんは、ライバルとして舞台というリングで戦うことになりますが、お互いの印象を教えてください。

後藤:滝澤くんと初めて会ったのは、ビジュアル撮影向けに身体を作るトレーニングの時でした。その時の滝澤くんは、まだ僕より体が細かったんですけど、ビジュアル撮影で会ったら僕より身体が大きくなっていて驚かされました。そういうストイックさが見えるところに、宮田くんを感じました。

滝澤:僕は恭路くんのことを、“恭路”と“一歩”で「きょっ歩」と呼んでいるんですけど(笑)。身体を鍛えられたのは、きょっ歩がいてくれたからなんです。僕はもともとガリガリでもなかったですし、ダンスの経験から体幹もあるので、そんなに見劣りしないだろうという気持ちでトレーニングに行ったら・・・、きょっ歩はトレーニング初日から十分に身体が仕上がっていたんですよ(笑)!それを見て「撮影までに時間ないのにどうしよう・・・」と思ったのが、僕の中でトレーニングをやることに火が付いたきっかけでした。トレーニングって、自分一人だとなかなか踏ん張れないんですけど、自然ときょっ歩の姿が頭に浮かんできて、腕を組んで「やれよ」と言ってくるんですよ(笑)。

一同:(笑)。

滝澤:僕の中にきょっ歩がいてくれるので、トレーニングも限界からあと3回ぐらいがんばれた(笑)。

松田:その3回は大きいよね(笑)。

滝澤:きょっ歩とは出会ってから日が浅いけど、いい関係を築いていけそうだと思っています。

――一歩と宮田との関係みたいですね。

滝澤:僕は宮田とは違ってちょっとおしゃべりなので、僕が無口だったら完璧にシンクロしているんですけどね~(笑)。

一同:(笑)。

喜安:滝澤くんが無口だったら、怒っているのかな?ってみんな心配しちゃうよ(笑)。

滝澤:そうですね(笑)。凌さんとは以前に取材でご一緒させていただいたことがあって。凌さんは、本当に人としてのできあがり方が全然違うんです!

松田:それは単純に、僕が30歳手前だからだよ(笑)。

滝澤:いえいえ!見た目以上に大人っぽくて、口調は穏やかなんですけど、背中を預けたくなるような懐の深さもあって、広い海のような方だなと思っていますね。

松田:もったいないお言葉をありがとうございます(笑)。

後藤:僕は、取材などでもあまり上手くしゃべれないんですが、そういう時、松田さんがすごくフォローしてくださるんです。舞台が始まることに対して「ちょっと心配」と発言した時に、松田さんが「何かあったら、俺が力になるよ」と言ってくださったんです。その言葉が力強くて、男気を感じて、そういうところが千堂みたいなんだなと思ったんです。

喜安:カッコイイね。

松田:滝澤くんは、宮田に選ばれる人という想像とまったく違っていました。取材でもお話が上手くて、僕なんか聞き入っちゃう。でも、それは宮田との違いかというとそうではなくて、裏腹に隠している気がするんです。考えていないと言えない言葉ばかりだし、軽い雰囲気に見せて、実は誰よりも考えを持って行動したいと思っている人なんじゃないかなと思っています。稽古が始まったら、本当の滝澤くんはどれなのかもっと知りたい(笑)。どう宮田を演じるのかも含めて、滝澤くんの内面のことも知りたくなっています。今から楽しみです。

滝澤:そんな風に言ってもらえるなんて、嬉しいです・・・。

松田:恭路とは、話す中で幕之内一歩そのままと感じています。「選ばれるべくして選ばれた」という、先ほどの言葉そのものです。今は、取材とかに慣れていない分、少しおどおどしているように見えるんですけど、核となるシーンでは強いものを見せてくれると思えるし。そうじゃないと、格闘技に取り組まないと思うんです。なおかつ、格闘技の試合を経験していながら、俳優という道に飛び込んできていますから。今回ご一緒させていただきますが、「千堂と一歩との試合の時、どんな目をするんだろうか」と楽しみにしています。ギリギリのところでやり合うと思うので、原作のような雰囲気が出るかもしれない。それぐらい、たまにすごいものを感じる時があるので、怖くもあり、楽しみでもあり。早くお二人と一緒にリングに上がりたいですね。

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――喜安さんは、現時点で本作に対してどのような演出プランを考えていますか?

喜安:引き受けてすぐにリクエストしたのは、普通のプロセニアムの演劇(※観客席と舞台を区切る額縁型の壁面を通して観る演劇)の舞台ではなく、後楽園ホールのような囲み型の客席が再現できる劇場でやりたいということでした。後楽園ホールって、入場時、選手は客席の間を通ってくるんですが、そういった観客と役者との距離感も、何らかの形で再現したいと思っていて、そういう舞台装置を目指しています。もちろん、できないこともいっぱいあるんですけど。一番分かりやすい部分は、そこかな。それって単純に、原作の物語を追って再現するだけではないよという意思表示でもあるんですが、「皆さんが観るものは“リアルファイティング”なんだ」ということを念頭に置いて作っていこうと考えています。

――原作は、ボクシングシーン以外にも日常のシーンやギャグなども魅力的ですが、その点については?

喜安:そうですね。もちろんご期待ください・・・と、100%で言いたいんですが、漫画と舞台ではできることも違いますからね。当然再現しようとは思っていますが、原作のボリュームがすごいので、いろんな取捨選択をしなければいけない。そこが脚本を書いていて一番難しいところですね。あの原作のどこの部分をこの舞台のために抽出するのか、これは非常にタフな仕事です。

――演出家が、アニメで声優を務めた方というのも珍しいケースですよね。

松田:僕は、喜安さんが演出されるということが、今作に出演したい一番の理由でもあったんです。喜安さんって、「はじめの一歩」を最も愛しているお一人だと思うんですよ。実際にアニメで演じられていただけでなく、舞台化に関する脚本と演出まで引き受けてくださるなんて。その思いに乗せていただけるなんて、これ以上の血湧き肉躍る瞬間はないですよね。それは自分を奮い立たせる要素にもなっています。作家、演出家、そして一歩としての目線で見られるのは、本当に楽しみですね。

滝澤:実は、演出面で一つ不安なことがありまして・・・。鷹村(守)さんの下ネタはどうなるのかなと(笑)。

一同:(笑)。

松田:それはあるね。祝勝会のシーンなんてあったら・・・もう大変だよね(笑)。

滝澤:そうですよ。脱ぐところを間違えているんですから(笑)。「はじめの一歩」のおもしろさには、そういうところも含まれていますから。試合のシーンとのギャップがどうなるのかが、僕としては楽しみであったりもします。

後藤:「はじめの一歩」を知り尽くしている喜安さんが見ている世界観がどんなものなのか、早く知りたいです。それから、僕は一歩役なので、何かあったら一歩のことはズバッと教えてくださるんじゃないかと期待しています。

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――演出家としての喜安さんは、そういう質問に対してズバリ答えるほうですか?自分で考えることを促すタイプですか?

喜安:どうでしょう・・・、分からないな(笑)。実は、舞台化のお話をいただいて、引き受けようかどうしようか考えていた頃、ちょうど原作で一歩が引退したんですよ。引退してトレーナーになるという展開になっていったんです。その、「もう僕は無理です」と一歩が引退したタイミングと、一歩を演じていた私が裏方を担うタイミングが重なるなんて、奇妙な運命だなと思ったことを覚えています。今の原作の中には、トレーナーとして下手くそなりに後輩にボクシングを伝える一歩がいるんです。勝手ながら、僕が演出を引き受けることになると、森川先生に見透かされていたような気がします(笑)。演劇はアニメとはまた違う良さがありますから、後藤くんの作る一歩で、アニメとはまた違った正解の道を貫いていただくのが一番いいと思いますね。ただ、アニメで一歩を演じていた時に、多くの人からいろんなことを教えていただいた記憶があるので、そのことは今回伝えていきたいですね。

後藤:ぜひよろしくお願いします!

――最後に今作を楽しみにされている方へメッセージをお願いいたします。

松田:お芝居の新しい“はじめの一歩”を踏み出せる作品になると思っています。この瞬間を見逃すのはあまりにも惜しい、と思ってもらえるように、稽古場から積み上げていきます。僕たちがリングに上がる瞬間を楽しみにして来てください。それから、鴨川会長を演じるのは高木渉さんです。注目です(笑)。

滝澤:今回は14公演です。言うなれば同じ試合を14回やるんですが、全公演観ても泣けると思います。なぜかというと、僕も原作を10回以上読んで10回以上興奮しているからです。結末は分かっているんだけど、それでも熱くなっちゃう熱量がこの作品にはあるんです。それを120%出せるようにがんばっていきたいと思っていますので、ぜひ観に来ていただきたいです。それから、大事なことなのでもう一回言いますが、鴨川会長を演じるのが高木さんなので、そこも見どころですね(笑)。

一同:(笑)。

喜安:重要なのは、彼らがリアルに身体を作り込んで、実際に14回ステージを繰り返すということです。舞台上では本当に殴り合うことはできない。にも関わらず、まるで本気で雌雄を決するかのような熱い表現へチャレンジすることは、なかなか他の作品では観られないものだと思っています。
ボクシングという競技の厳しさや切実さ、キャラクターの背負っている思いを、リングで拳を交えることで表現する。これは、単に物語を追えば済むような、やわなステージにはならないと考えています。試合会場で実際に選手たちがしのぎを削っているのを観た時の感動が格別であるように、舞台に登場する俳優たちがしのぎを削る様子を生でご覧いただくこと、それが何よりもこの企画の目指すところを感じ取っていただける方法だと思うので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらと思います。

後藤:すごく人気のある原作なので、観に来てくださる方の期待もすごく高いと思っています。その期待を裏切らないよう、リアルな戦いを見せていきたいです。精一杯がんばりますので、よろしくお願いいたします!

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◆公演情報

リアルファイティング『はじめの一歩』The Glorious Stage!!
2020年1月31日(金)~2月9日(日) 東京・品川プリンスホテル ステラボール

【原作】森川ジョージ「はじめの一歩」(講談社「週刊少年マガジン」連載)
【作・演出】喜安浩平
【音楽】和田俊輔
【振付】HIDALI
【ファイトコーディネイト】冨田昌則

【出演】
幕之内一歩:後藤恭路

宮田一郎:滝澤諒
千堂武士:松田凌

鷹村守:滝川広大
伊達英二:松本寛也
間柴了:岡本悠紀
青木勝:塩田康平
木村達也:高橋奎仁
速水龍一:橋本真一
冴木卓麻:山口大地
ヴォルグ・ザンギエフ:才川コージ
梅沢正彦:神坂優心
間柴久美:未来
幕之内寛子:久下恵美

鴨川源二:高木渉

<アンサンブル>
久保雅樹 アブラヒム・ハンナ 竹内健史

【公式サイト】https://ippo-stage.com
【公式Twitter】@ippo_stage

(C)森川ジョージ/講談社・ネルケプランニング

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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