「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて15年にわたり連載された岸本斉史原作の人気漫画「NARUTO」。このほど、同作を歌舞伎化した新作歌舞伎『NARUTO-ナルト-』が、2018年8月4日(土)に東京・新橋演舞場にて幕を開けた。
うずまきナルト役の坂東巳之助と、うちはサスケ役の中村隼人は、2015年と2016年に上演されたスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』(2017、2018年に再演)でも共演。さらに、世界を揺るがす強大な敵として、ナルトとサスケの前に立ちはだかる”うちはマダラ”を、市川猿之助と片岡愛之助が交互に演じるという、類を見ない豪華キャストが揃った。
脚本・演出は、数々の話題作を手掛け、新作歌舞伎『東雲烏恋真似琴(あけがらすこいのまねごと)』で大谷竹次郎奨励賞を受賞し、「嵐が丘」や「ガラスの仮面」の舞台化など、上演が難しい長編作品をその巧みな構成と演出力により成功させたG2が担当。音楽は新感覚ロックエンタテインメントバンド「和楽器バンド」が楽曲提供するなど、上演前から多くの注目を集めていた。
初日を翌日に控えた8月3日(金)にはゲネプロと囲み会見が行われ、衣裳に身を包んだ巳之助と隼人が登壇。見所について巳之助は「『NARUTO』はバトルによってストーリーが展開していくんです。舞台化にあたっても、バトルはただの立ち回りの場面でなく、物語にとって不可欠で、芝居の流れの中の一つです。そういう意味でも、アクションシーンが大きな見どころですね」とコメント。
加えて隼人が「普段の立ち回りよりテンポの速い、歌舞伎ではなかなかないようなアクションも多くあります。刀を振る動作でも足を踏み出したり引いたりするのがいつもと逆で、とまどう事もありました(笑)」と稽古場での日々を振り返った。
続けて、再現率の高さで注目されている衣裳について「サスケの衣裳の帯は古典歌舞伎で使う縄を、お兄さんたち(市川猿之助、片岡愛之助/交互出演)が演じる“うちはマダラ”のカツラは歌舞伎の演目『連獅子』で使っている獅子の毛を工夫を重ねて使うなど、実際に歌舞伎で使用している素材も使っています。漫画とは違う魅力が出たかなと思います」と解説した。
会見後に行われたゲネプロでは、狐の化け物“九尾(きゅうび)”が、生まれたばかりのナルトの中に封印されるシーンからスタート。成長したナルトがサスケ、春野サクラ(中村梅丸)、忍者学校の恩師・はたけカカシ(嘉島典俊)ら仲間と共に、木ノ葉隠れの里を狙う大蛇丸(市川笑三郎)と闘う場面や、力を求めて自ら敵の手中へと堕ちるサスケ、サスケと兄“うちはイタチ”(市瀬秀和)との確執など、原作の中でもナルトとサスケのエピソードに特化したストーリーが展開していく。
序幕・中幕・大詰の3部構成・3時間半超の大作だが、「ここぞ!」という場面で披露される“見得(みえ)”“宙乗り”といった歌舞伎ならではの演出が、2.5次元を見慣れた目には新鮮に、そして大胆に美しく映る。テンポの良さとシリアスな展開の中で随所に出て来る笑えるシーンがスパイスとなっていて、あっという間の3時間半となることだろう。
特に、大詰の4分半にも及ぶナルトとサスケの対決シーンは圧巻!頭上から擦り注ぐ大量の水の中、和楽器バンドのロックなサウンドと拍子木の力強いリズムが、手に汗握るスリリングな場面をさらに盛り上げていた。
新作歌舞伎『NARUTO-ナルト-』は、8月4日(土)から8月27日(月)まで東京・新橋演舞場にて上演。
【公式HP】https://naruto-kabuki.com/
【公式Twitter】@narutokabuki
(C)岸本斉史 スコット/集英社・『NARUTO -ナルト-』歌舞伎パートナーズ
(取材・文・撮影/近藤明子)