演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家を表彰する菊田一夫演劇賞。その第41回の授賞式が2016年4月18日(月)、都内にて行われ、今回の大賞受賞者である花總まりをはじめ、梅沢昌代、駒田一、ソニン、小川絵梨子、竜真知子らが出席し、受賞の喜びを熱く語った。以下、受賞者のコメントを紹介。
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演劇大賞:花總まり
(『エリザベート』エリザベート役の演技に対して)
あまりにも大きな賞なので、昨日まで実感がなかったんですけど、今あらためて大変な賞をいただいたんだと実感しております。私は宝塚を退団してからしばらく舞台を辞めておりました。そんな私がこんな大きな賞を頂いて……、言葉には表せない想いで一杯です。エリザベートという役は私にとってかけがえのない役で、ちょうど20年前に宝塚でエリザベートの役を演じさせていただきました。そして、20年が経った今、再び『エリザベート』という作品に出会え、エリザベートという役で再チャレンジすることが出来ました。このような立派な賞を頂き、これからも演じる道を頑張っていかなくてはいけないと実感しております。
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演劇賞:梅沢昌代
(『ピアフ』トワーヌ役の演技に対して)
大好きな『ピアフ』の再再演。トワーヌの貧しさ、品のなさ、逞しさ、情のなさそういった点を更に細かく演じられればと努力したつもりです。なので、評価していただけたことを大変嬉しく思っております。細かい演出をつけてくださった栗山民也さん、毎回いろんな球を投げてくれるピアフ役の大竹しのぶさんと9人の仲間達、バンドさん、スタッフさんと何十人からの良い“気”を頂いて毎回楽しく舞台に立てました。この賞を誇りにまたひとつひとつの役を愛して大切に演じていくつもりです。ありがとうございました!
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演劇賞:駒田一
(『ラ・マンチャの男』サンチョ役、『レ・ミゼラブル』テナルディエ役、『ダンス オブ ヴァンパイア』クコール役の演技に対して)
ミュージカルをしている人間にとって「菊田一夫賞」は一番欲しい賞です。いつも妄想を抱いていました。こうやって賞を取ってスピーチする姿を。16才の時にミュージカルの世界に飛び込み、36年いろんなことがありました。20代の頃は演出部にいましたが、『ラ・マンチャの男』に出演したく早20年役者をさせていただいております。僕の大好きな松本幸四郎さんの言葉「夢は想うものではなく、語るものでもない。夢を叶えようとする人の心意気だ」という言葉に胸を打たれて、俳優として色んな芝居を演じております。名前を挙げだしたらきりがありませんので、すべての方々に感謝をしながら、今夜は美味しい酒を飲もうと思います。
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演劇賞:ソニン
(『RENT』モーリーン役、『トロイラスとクレシダ』クレシダ役、『ダンス オブ ヴァンパイア』マグダ役の演技に対して)
役者は作品の力とカンパニーの力がなければ輝かないと思っていますので、すべての作品に関わったすべての皆様に感謝を表すとともに、それぞれの作品の代表としてこの場に立っている気持ちでいます。世の中たくさんの立場の人々がいて、マイノリティーを持っている方もたくさんいると思うんです。しかし、負けずに精進して、諦めなければ…見ていてくださる方もたくさんいらっしゃって、こうやって認めていただける日もあるんだと思います。なので、私を通じて少しでも励みになる人がいてもらえたら嬉しいです。私はこれからも謙虚に精進して頑張っていこうと思います。
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演劇賞:小川絵梨子
(『夜想曲集』、『RED』、『スポケーンの左手』の演出に対して)
受賞しました3作品のキャスト、スタッフ、プロデューサーの皆様に感謝を申し上げます。皆様おっしゃる通り、演劇は一人では出来ないと、毎回作品を作る度に思います。芯は持ちつつ謙虚に、これからも演出をしていければと考えています。今、たくさんの方の目の前に立っていてとても緊張しているんですけど、これが役者さんがいつも感じていることなんだなと実感しております。「(緊張している俳優に)大丈夫だよ~」なんて口で言うのは簡単なんだなって(笑)。人間的にも演出的にも弱いところばかりの私ですが、これからも精進して参ります。ありがとうございました。
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演劇賞:竜真知子
(永年のミュージカルにおける訳詞の功績に対して)
本日はこのような映えある賞をいただきありがとうございました。私は裏方として携わってきましたので、このような光栄な賞とは全く無縁だと思っていました。ですから受賞のお話をいただいたときは耳を疑ってしまいました。表に出なくてもたくさんの方々が演劇を愛し、舞台を支え情熱を持ってお仕事をしていらっしゃる。この度はそのような黒子の一人として賞をいただけることを嬉しく思っております。これからもどうぞよろしくお願いします。
登壇した受賞者の言葉はどれも興奮と強調に溢れ、賞の権威と受賞の喜びが伺える感動的な授賞式となった。
また受賞式後の会見で、「私のなかで『エリザベート』はなくてはならない作品」と語った花總。6月28日(火)から帝国劇場で幕を開ける再演に向けて「すごいプレッシャーはあるんですけど、もう一度エリザベートのすばらしさを見つめ、去年よりもっと自然にエリザベートの奥深さを表現したい」と決意を新たにしていた。