1969年の初演時から現在まで、単独主演の上演数が1207回を数える松本幸四郎主演ミュージカル『ラ・マンチャの男』が、10月4日(日)から東京の帝国劇場で3年ぶりに再演となる。また、公演に向けて公開稽古が行われ、招待された73人の観客とともに、一足先に『ラ・マンチャの男』を体験することができた。
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本作はスペインの国民的小説「ドン・キホーテ」を原作とした作品。セビリアの牢獄では教会を侮辱した罪で「ドン・キホーテ」の作者であるセルバンテスが投獄されようとしていた。新入りであるセルバンテスを小突きまわす囚人たちで牢内は騒ぎになり、聞きつけた牢名主が裁判をやろうと言い出すが、セルバンテスは即興劇の形で申し開き、囚人全員を配役した劇を行うのだった…。
日本では1969年に日本初演となり、当時26才だった松本幸四郎が以降、約50年かけて共に歩み続けてきた幸四郎のライフワーク的作品でもある。
この日の公開稽古は、教会を差し押さえた罪で捕らえられたセルバンテスが、裁判で得意の即興劇を申し開きするシーンから始まった。松本は舞台上で羽交い締めにされたり、剣を突きつけられるが、年を感じさせない堂々とした演技を披露。また、楽曲「ラ・マンチャの男」の歌唱シーンでは、太い声量で観客に勇猛果敢なセルバンテスの姿を印象付けた。
続いて公開となったのは、腹を空かせたラバ追いたちや下働きのアバズレ女たちに、霧矢大夢演じるアルトンザが食事を配る場面。アルトンザのセクシーかつ、肝の座ったキャラクターを楽曲「同じことさ(It`s all the same)」に乗せて観客を魅了。霧矢の可愛らしさと力強さが合わさったアルトンザで観客を釘付けにした。
その後、突如、松本の73才の誕生日を祝うサプライズが行われ、ロウソクの付いたバースデーケーキを吹き消すと、招待された73人の観客から1輪ずつ赤いバラを手渡された。最後に霧矢からバラを渡されると、松本は満面の笑み。
「私の37歳の誕生日にお集まりいただき…ちょっと違いましたね」と笑わせ、「悲しみを悲しみのままにせず、苦しみを勇気に、悲しみを希望に変えてお客さまに感動という形でお届けしたい。素晴らしい舞台を、と思い稽古に励んでいます」と自身の俳優としての考え方と、本作にかける意気込みを語った。
最後は、招待された観客と出演者全員で「見果てぬ夢」を熱唱。松本が人生をかけて培ってきた芸とお客さんの思いが詰まった、感動的な一場面となった。
ミュージカル『ラ・マンチャの男』は、2015年9月2日(水)~21日(月・祝)に大阪・シアターBRAVA!、9月26日(土)~28日(月)に長野・まつもと市民芸術館を経て、10月4日(日)~27日(火)に東京・帝国劇場にて上演される。