世田谷パブリックシアター企画制作の演劇公演『炎 アンサンディ』が、2014年9月28日(日)、シアタートラム(三軒茶屋)にて初日を迎えた。
『炎 アンサンディ』は、レバノンに生まれたワジディ・ムワワドの作品。レバノン内戦の最中フランスへと亡命し、のちにカナダ・ケベック州に移住。そんな作者ならではの視点により、戦争に翻弄される人々の激動の人生と、連綿と続く憎しみの連鎖を断ち切る“家族の絆”と“愛”が描かれている。
物語は、現在と過去を行き来する。母親の遺言に導かれ、死んだと聞かされていた父と、存在すら知らなかった兄を探すために旅に出た双子の姉弟の“現在”と、中東の地で戦火をくぐり抜けながら生き別れた子どもを探し求める母親・ナワルの“過去”。双子は、幾層もの謎につつまれた母親の過去をたどりながら父と兄の行方に迫っていくが、やがて、あまりにも受け止めがたい驚愕の真実へと導かれていき――。
本作の演出を担当した注目の若手演出家・上村聡史と、母親ナワルの10代・40代・60代を一人で演じた麻実れい、そしてナワルの若き日の恋人役岡本健一が、初日公演を終えたばかりの心境をコメントした。
<上村聡史>
重い作品ですのでどのように受け止められるかが気になっていましたが、終演後、お客様がかみしめるような表情で帰っていくのを見て、本当に今、上演できてよかったと感じました。キャストも良いアンサンブルになっていますし、力強く、かつ感情にも訴えかける作品になったのではないかなと思います。充実した、満足のいく仕上がりですので、ぜひ、たくさんの方にご覧いただきたいです。
<麻実れい>
作品が素晴らしいので演じる責任を感じていましたが、大変良い初日を迎えられてほっとしました。公演を通して、私たちもお客様に支えていただきながら、明日からも頑張りたいと思います。老若男女の皆様に観ていただきたいですし、特に若い方々にも、この作品を観て感じていただきたいです。
<岡本健一>
初日は明けましたが、この作品はまだこれからも続いていきます。お客様が入ることによってどんどん深くなっていく作品だと思います。このような役を与えられたこと、このような作品に関われたことは本当にありがたいことだと感じています。誰もこの作品の登場人物たちのような人生を送らない世界になってほしい。観ていただいた方が、ささやかでも良いので愛を見つけてほしいと思っています。
『炎 アンサンディ』は、10月15日(水)まで、東京・シアタートラムにて上演される。その後、10月18日に兵庫にて上演される。