【劇場へ行きたい!】今月も盛りだくさん!選りすぐりの 11月オススメ舞台10本

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ある都会から離れた山に暮らすお年を召した方が、「生涯5本だけ観た舞台の思い出が宝物」と言っていました。なんども記憶を反芻しては「素敵だったなぁ」と楽しさにひたるのだそうです。ああ、そうだよなぁ・・・と思います。素敵な舞台に出会えたら、大切に心の宝箱にしまって、何度も蓋をあけては眺めたくなります。舞台にはその力があり、また宝物に出会いたくて劇場に通うのかもしれません。

11月も数ある公演のなかから10作品をご紹介します。
あなたの宝物に出会えますように。

※掲載は上演・開催順です

(ライター/河野桃子)

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ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』〝飛翔〞

【東京公演】2019年11月1日(金)~11月4日(月・振休) TOKYO DOME CITY HALL
【大阪公演】2019年11月9日(土)~11月16日(土) メルパルク大阪 ホール
【宮城公演】2019年11月22日(金)~11月24日(日) 多賀城市民会館 大ホール
【東京凱旋公演】2019年12月6日(金)~12月15日(日) 日本青年館ホール
公式サイト:http://www.engeki-haikyu.com/autumn2019/

これまでのメンバーに代わり、醍醐虎汰朗さんと赤名竜之輔さんを中心とした、新生“烏野”が誕生しました。2015年に須賀健太さん主演で舞台化された際の衝撃は、今も忘れられません。キャラクターの再現度もさることながら、バレーボール試合の臨場感に興奮しました!ダンス、映像、演技、群舞、音楽、漫画・・・さまざまなエンターテイメント要素があいまって、熱い思いが競りあがってきたことを思い出します。人気シリーズとして公演を重ね、4年目。新生烏野メンバーは、予想を上回る配役バランスを持ち、新たな演劇「ハイキュー!!」のフォーメーションを生み出しました。これまでのファンも、これからのファンも楽しめる演劇「ハイキュー!!」が、まさに飛翔する公演です。1ヶ月半かけて東京で凱旋公演をする頃には、また一回り大きく飛び立つ姿が見られることでしょう。

関連記事:【動画】ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』〝飛翔〞公開ゲネプロ

ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season1

2019年11月6日(水)~2020年1月13日(月・祝) IHIステージアラウンド東京
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/stagearound/wss360_1/

大人気ミュージカルの日本人版キャストによる公演がついに実現!主人公トニー役は宮野真守さんと蒼井翔太さん。宮野さんは、過去にもIHIステージアラウンド東京の舞台に立った経験をお持ちなので、より劇場と親和性のある演技を見せてくれるのでは・・・と期待。蒼井さんは「ステージアラウンドの舞台に立ったことがないので、どういうふうに動くのか、未知というかまだ想像できないんです」とプレッシャーを吐露していましたが、その初々しさが佇まいや声質から新しいトニー像を作り出してくれるのでは。今回はSeason1なので、Season2、まだ情報が発表されていないSeason3の続報も待たれます!

関連記事:【動画】宮野真守&蒼井翔太のWトニー!ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season1製作発表ダイジェスト

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』

11月7日(木)~11月24日(日) 神奈川芸術劇場・ホール
公演詳細:https://www.kaat.jp/d/DrHoffman

もしフランツ・カフカの4作目の長編小説が発見されたら・・・?ということで、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)さんが書き下ろした舞台。おかしみと哀しみと毒を、繊細かつ大胆に舞台作品にするKERAさんの新作ということだけで期待してしまうのですが、キャストも力強い。舞台上に自然に自由に存在する多部未華子さん、初めて出演したKERAさんの舞台『陥没』で強烈な印象を残した瀬戸康史さん。そして音尾琢真さん、村川絵梨さん、大倉孝二さん、犬山イヌコさん、緒川たまきさん、渡辺いっけいさん、麻実れいさんと、すべての俳優が魅力的。しかも振付は『キネマと恋人』でもKERA作品を美しく彩った小野寺修二さん!カフカの不思議な世界観と小野寺さんの怖くも美しい振付は相性が良さそうです。KAATという劇場は奥行きもあり、アーティストの劇場の使い方にはかなり自由度が高いので、最近は映像を使うKERAさんの演出の世界に飛び込むのが楽しみです。上演時間は3時間30分(休憩あり)。

ミュージカル『ハムレット』

11月8日(金)~11月18日(月) 東京・銀座 博品館劇場
公式サイト:http://theater.hakuhinkan.co.jp/pr_2019_11_00.html

デンマークの王子・ハムレットの物語は、いわずとしれたシェイクスピアの人気作。それを土台としながら、荻田浩一さんの演出、矢田悠祐さんの主演でミュージカルとして上演されます。ハムレットは自問自答する内省的な場面も多く、復讐、友情、恋、家族・・・様々な要素が含まれています。ミュージカルとして音楽で表現すれば、とてもドラマティックな物語になりそうです。さらにはその中でも友情を際立たせ、『ハムレット』の元となった北欧伝説「アムレート」のイメージを織り込むというので、新たな『ハムレット』となるでしょう。古今東西のアーティストが手がけてきた『ハムレット』像を、荻田さんの演出と矢田さんがどう生まれ変わらせているのか・・・ほかの『ハムレット』をご覧になった方ともぜひ感想をシェアしたい作品です。

『カリギュラ』

11月9日(土)~11月24日(日) 新国立劇場 中劇場
公式サイト:https://caligula.jp/

菅田将暉さん主演、そして高杉真宙さんとの共演、演出は栗山民也さん・・・インパクトのアルビジュアルイメージもあって、発表当時から話題になっていたこの作品。カリギュラといえば、素晴らしいローマ皇帝でしたが、愛し合っていた妹が急死してから暴君に豹変した男。アルベール・カミュが描いた戯曲カリギュラには哀しみも、冷淡さも、愛も、強さも、弱さも掬い取ることができる自由さがあります。そこから菅田将暉さんらがどんな人物像を立ちあがらせているのでしょう。特に、高杉さん演じる年下の友人シピオンとの関係がカリギュラがほかの人には見せない一面を浮かび上がらせるでしょうから、数年前ぶりに共演する2人の関係も見どころです。

大駱駝艦 天賦典式『のたれ●』

11月21日(木)~11月24日(日) 東京・世田谷パブリックシアター
公式サイト:http://www.dairakudakan.com/rakudakan/2019/notare.html

麿赤兒率いる舞踏カンパニー・大駱駝艦(だいらくだかん)。客層が広いなぁ!とよく思うのですが、老若男女に深く愛されている印象があります。しかもジャンルを越えていて、私のまわりでも、舞台は観ないけど大駱駝観は大好きという学校の先生や、ふだんは熱狂的な宝塚ファンの女性など、いろんな人を惹き付けています。天賦典式(てんぷてんしき)とは、「この世に生まれ入ったことこそ大いなる才能とす」との意。

今回は新作『のたれ●』で、俳人・種田山頭火をモチーフにしています。苦難続きの人生ののち、日本を歩いて旅をし続け、季語や五・七・五にとらわれない「自由律俳句」を詠んだ山頭火。彼の生き様を、人類、人生、世界など大きな視点で踊り続けてきた麿がその身体でどのように表現するのか、自分の身体で受け止めたいです。

劇団東演『獅子の見た夢~戦禍に生きた演劇人たち』

11月16日(土)~11月28日(木) 東演パラータ
作品情報:http://www.t-toen.com/play/157.htm

堀川惠子さんの『戦禍に生きた演劇人たち』を舞台化した本作。原爆投下で被爆しながらも、演劇を愛する人たちが「芝居がしたいんです」と焼け野原になった広島で公演をうち続けた・・・そんな実在の移動劇団「桜隊」の物語です。まだ戦争は終わらない。むしろより激しさを増していく。自由もなく、いつ警察に連行されるとも知れなくても「芝居がしたい」と願い続けた人たちのこと。現代の演劇を愛する人たちもきっと、胸に火がともるはず。50年以上実直に演劇をつくり続けてきた劇団東演にて、脚本・シライケイタさん、演出・松本祐子さんが立ち上げる一作に、演劇が好きな観客としてもぜひ脚を運びたいです。そして共に演劇と向き合う時間になれば嬉しいと、期待します。

きゅうかくうしお『素晴らしい偶然をちらして』

11月22日(金)~12月1日(日) 横浜赤レンガ倉庫1号館

辻本知彦さん、森山未來さんのユニット・きゅうかくうしお。近年はそれぞれ、辻本さんは米津玄師『LOSER』『パプリカ』などの振付家として。森山さんはNHK大河ドラマ『いだてん』など映像や舞台への出演などで活躍しています。二人がダンサーとして立ち上げた「きゅうかくうしお」は、メンバー9名のうちスタッフ7名で、その全員が「出演者/表現者」と明言しているスタイルが興味をひきます。というのも、舞台監督、照明、音響、映像、宣伝美術、制作、制作助手・・・どの立場からもそれぞれがプロフェッショナルとして一つの作品を作っているのはどの現場でも同じ。けれどもそれを明確に打ち出し、「制作は現場で米を炊くか?」という案まででているそう。創作過程もSNSなどで配信していて、オープンなクリエーションが心がけられています。公演はステージで見せるもの、ではなく、ダンスという枠を越えて「表現」そして「生きる」ということを体現しようとしていると感じます。きっと彼らにとってこの公演は、生きることそのものなのでしょう。

二兎社『私たちは何も知らない』

【埼玉】2019年11月24日(日) 富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ
【東京・池袋】2019年11月29日(金)~12月22日(日) 東京芸術劇場 シアターウエスト
【東京・亀戸】2019年12月28日(土) 亀戸文化センター
【兵庫】2020年1月4日(土) 兵庫県立芸術文化センター
【長野】2020年1月8日(水) まつもと市民芸術館
【三重】2020年1月10日(金) 三重県総合文化センター
【愛知・豊橋】2020年1月13日(月・祝) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT
【滋賀】2020年1月18日(土) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
【愛知・名古屋】2020年2月1日(土) ウインクあいち
【石川】2020年2月8日(土)・2月9日(日) 能登演劇堂
公式サイト:http://nitosha.net/nitosha43/

永井愛さんが、雑誌「青鞜」にまつわる青春群像劇を書き下ろす・・・と聞くと、永井さんの人気作『見よ、飛行機の高く飛べるを』を思い出します。少女が大人になる過程で、友情を知り、権利をもって闘うことを知り、恋を知る、私も大好きな作品です。それは「青鞜」を志した女学生達の青春群像劇でしたが、今回の『私たちは何も知らない』は完全に「青鞜」編集部の話。女性の権利を女性の手に入れようとした女性たちの物語。それを、Metooやフェミニズムが注目されてきたまさに今、書き下ろそうという。永井さんの目に世の中がどう見えているかとも気になります。

劇団朱雀 復活公演

【東京】2019年11月26日(火)~12月15日(日)  紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
【岐阜】2019年12月19日(木)~12月30日(月)  ぎふ葵劇場
【大阪】2020年1月4日(土)~1月7日(火)  サンケイホールブリーゼ
【札幌】2020年1月18日(土)  道新ホール
公式サイト:https://www.gekidan-sujaku.com/

多くの方が待ち望んでいたのではないでしょうか・・・2015年に解散した劇団朱雀。二代目座長の早乙女太一さんがその舞台に立つことを・・・!満を持して復活した朱雀には、様々なジャンルから多彩な面々がそろいました。早乙女友貴さん、富岡晃一郎さん、喜矢武豊さん(ゴールデンボンバー/大阪公演・札幌公演のみ)、木村了さんなども。また、脚本は中島かずきさん、横内謙介さん、中屋敷法仁さんなどこれまた豪華。そもそも大衆演劇は芝居、歌、踊りなど盛りだくさんで、いろんなテイストの見せ場が詰まっています。それを大舞台で思いきりやろうというのですから、華々しいショーが大衆にむけて行われるような、美しく豪華なおもちゃ箱のような時間を期待してしまいます。

※おまけ(舞台ではないですが・・・)

【展示】早稲田大学演劇博物館 秋季企画展
「コドモノミライ 現代演劇とこどもたち」
11月2日(土)~12月25日(水) 早稲田大学演劇博物館
公式サイト:https://www.waseda.jp/enpaku/ex/9247/

上演ではないのですが、演劇に関わる展示です。演劇やエンターテインメントの歴史などにも触れられる常設展もおすすめ。また同時期に、すぐそばの早稲田大学歴史館での企画展「人形劇やばい!」もあわせてどうぞ!(11月14日~12月24日 https://www.waseda.jp/enpaku/ex/9268/

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ほかにも『ふるあめりかに袖はぬらさじ』(明治座)、ABKAI『SANEMORI』(bunkamura シアターコクーン)など、日本伝統の古典と現代の表現者たちが融合するエンターテインメントが上演されているのも注目。日本の舞台芸術を未来に明るく繋げたいと、多くの方の願いを感じます。

日々ぐっと寒くなってきましたが、心を熱くする瞬間に、劇場で出会えることを願っています!

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この記事を書いた人

高知出身。大学の演劇コースを卒業後、雑誌編集者・インタビューライター・シナリオライターとして活動。

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