毎年1月~2月は、いわゆる「アワードシーズン」。
映画の祭典アカデミー賞(今年は現地時間2月22日に開催)をはじめ、ゴールデングローブ賞、放送映画批評家協会賞、SAGアワードといった「アカデミー賞の前哨戦」も1月~2月中旬に集中。世界最高峰の音楽祭グラミー賞と英国の音楽賞ブリットアウォーズも2月…と、この時期のエンターテインメント界はビッグイベントが目白押し。
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そんな中、日本の演劇界もアワードラッシュを迎えている。
今月20日に贈呈式が行われた「紀伊國屋演劇賞」、1月末に発表される「読売演劇大賞」、2月決定の「岸田國士戯曲賞」など、2014年の演劇界を振り返りつつ総決算する催しが続々。
そこで今回は、日本はもちろん海外のメジャーな演劇賞について、それぞれの特徴や開催時期などをざざっとまとめてご紹介。
まずは、ショウビズ大国=アメリカから!
トニー賞
舞台好きなら(おそらく)知らない人はいない「アメリカ演劇界最高の賞」。
創設は1947年。映画のアカデミー賞・音楽のグラミー賞・テレビのエミー賞と並ぶ、パフォーミング・アーツの代表的アワード。
舞台芸術と芸術教育の支援団体:アメリカン・シアター・ウイング(ATW)とブロードウェイ連盟が授与。ノミネート選考委員が各部門のノミネーションを決定し、ATW・連盟・演劇関係の組合員・評論家など業界関係者の投票で受賞者を決める。
その年の4月下旬頃までの1年間に初日を迎え、ブロードウェイを中心とする対象地区の大劇場(500席以上)で上演された作品が対象。基本的には「そのシーズンに初めてブロードウェイで公演を行った新作」がノミネートされる(以前に海外やオフで上演されていてもエントリー可)が、過去にブロードウェイで上演されていて今シーズンに再演初日を迎えたものは、演劇/ミュージカル部門の「リバイバル」にカテゴライズされる。
例年、4月下旬~5月上旬にノミネートが発表され、6月上旬の授賞式で決定。セレモニーは米CBSでテレビ中継され、日本でもBS(去年はWOWOWが生中継。それまではNHK-BSが数週間後に録画されたものをオンエアしていた)で観ることができる。
アメリカのアワードらしく授賞式そのものがひとつのショーになっていて、ノミネート作品をよく知らなくても楽しめる。観客の厳しい目に長期間さらされ、「舞台慣れ」している俳優たちのパフォーマンスやスピーチは、他のアワードとは一味違うクオリティ。見どころ満載だが、ブロードウェイやハリウッドの内輪ネタもあるので、アメリカのエンタメにまったく興味がない場合は「?」となる部分が多いかも。
個性的な顔ぶれをまとめ、3時間にも及ぶ授賞式を退屈させない魅力的なショーとして成立させられるかどうかはホストのウデ次第。第68回授賞式は去年6月8日(現地時間)にラジオシティ・ミュージックホールで行われ、ヒュー・ジャックマンが4度目のホストを務めた。
昨年のトニー賞授賞式はWOWOWで放送されました。こちらでおさらいをどうぞ!
ドラマ・デスク・アワード
1955年に設立された、ニューヨークエリアの演劇とミュージカルの賞。ブロードウェイだけでなく、オフやオフオフまで広くカバー。演劇評論家・ジャーナリスト・編集者・メディア関係者などが投票・選出する。
ノミネート発表は例年4月下旬、授賞式は5月後半~6月初め。
ドラマ・デスク・アワードの受賞者は、かなりの高確率で、後日発表されるトニー賞も獲得しており、まさしく「トニー賞の前哨戦」。毎年のように、この賞に選ばれた作品や人物がトニー賞を賑わせている。
去年も、作品賞(ミュージカル部門『A Gentleman’s Guide to Love and Murder』、演劇部門『All the Way』、ミュージカル部門リバイバル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』)のほか、ブライアン・クランストン(『All the Way』のジョンソン大統領役で演劇部門主演男優賞)、ニール・パトリック・ハリス(『ヘドウィグ~』でミュージカル部門主演男優賞)、オードラ・マクドナルド(『Lady Day at Emerson’s Bar and Grill』ビリー・ホリデイ役で演劇部門主演女優賞)など、多くの部門がトニー賞とのダブル受賞となった。
オビー賞
無料の週刊新聞:The Village Voiceの主催で1956年に始まった(2014年からはATWと共催)。今年で60回目を数える。
授賞式は例年5月半ば。去年5月19日にグリニッチ・ヴィレッジのウェブスター・ホールで開催された前回のセレモニーでは、海外ドラマ『ニュースルーム2』のハミッシュ・リンクレーターと映画『フライト』のタマラ・タニーがホストを務めた。
ニューヨーク市内の劇場、主にオフ&オフオフ・ブロードウェイでの上演作品が対象。トニー賞に比べるとどうしても地味な感じは否めないが、この賞で注目されてブロードウェイに進出するケースもあり、演劇ツウならチェックしておきたいアワードのひとつ。
また、アル・パチーノやデンゼル・ワシントン、ジョン・マルコヴィッチ、フェリシティ・ハフマンなど、オビー賞受賞後に映画やテレビでブレイクした俳優も少なくない。ここから未来の世界的スターが誕生する可能性も!?
ブロードウェイを擁するニューヨークを中心に、アメリカには上記以外にも数えきれないほど演劇関連の賞がありますが、とりあえずコレを押さえておけば大丈夫!(?)
次回はイギリスをはじめとするヨーロッパと我が国=日本の著名な演劇賞を取り上げます!