小澤廉インタビュー!『SHIRANAMI』で踏み出す“俳優”の一本道

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2019年1月11日(金)に東京・新国立劇場 中劇場にて幕を開ける音楽活劇『SHIRANAMI』。幕末の動乱を駆け抜けた5人の盗っ人たちを描いた歌舞伎『青砥稿花紅彩画』(通称『白浪五人男』)を原案に、殺陣、ダンス、映像などエンターテイメント満載の音楽活劇として大胆にアレンジする。

盗っ人5人を演じるのは、早乙女太一、龍 真咲、伊礼彼方、喜矢武豊、松尾貴史。そして、5人とはまた違う立ち位置で物語を大きく動かすのが、小澤廉が演じる将軍・徳川家茂(いえもち)だ。

小澤は昨年12月21日にメンズアイドル「B2takes!」を卒業。これからは俳優の道一本を歩んで行く。新たな一歩を踏み出した小澤廉に、俳優としてのこれからの思い、そして次回作『SHIRANAMI』について聞いた。

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目次

2.5次元から、初めてのオリジナルストレートプレイへ

――俳優として一本道を歩くと決め、一作目が『SHIRAMANI』ですね。どんな気持ちで舞台に臨んでいますか?

役者一本に決めたので、その覚悟を『SHIRANAMI』でお見せできたらと思っています。でも「俺はこれを見せる!」と言いきると変に力が入りそうなので、具体的な覚悟は心の奥底に秘めてやっていきたいな。『SHIRANAMI』で演じる将軍・家茂も、親しみやすいながら心の中では強く民のためを思っている役です。家茂の胸の奥の強さと自分の心の中の思いを重ねて、この作品に臨んでいます。一つ課題と思っているのは、『SHIRANAMI』は僕がずっとやってきた2.5次元の舞台と違って、お手本となる原作がないことです。そのため役作りがより重要になってくるので、演出のG2さんと共に積み上げていくという初体験であり、挑戦が、、皆さんにお見せする小澤廉の一番新しい姿だと思っています。

――俳優一本と決められたきっかけはあったのでしょうか?

小澤廉としては、役者もB2takes!も大きな仕事で、これまでは周りのスタッフさんやマネージャーさんやメンバーが協力してくれて両立できていたんです。どっちも僕にとってはとても大事な仕事だったんですが、やっぱりどうしてもスケジュールが難しくなってしまった。すごく悩みましたが、「僕が最初に思い描いたのは、映画に出るということ。それを捨てたら何のためにこの業界入ったんだ」と思って、役者一本の道を選びました。もう逃げ道もなくなりましたし、頼るところもなくなった。これからグループではなく一人で生きていくことは相当な決心なので、これからの僕を見守ってほしいです。

――この先、どんな俳優になって行きたいですか?

一人の人として魅力がある役者になっていきたいです。演技の実力もあるし人としても芯があって物腰柔らかな人が僕の目標。愛される人になりたいんですよ。「誰も見てないからいいや」とゴミの分別をしないような人にはなりたくない。そういう些細なところからダメ人間になっていくと思うんです。日々の積み重ねを大事にして、誰にでも好いてもらえる、男らしい小澤廉になっていきたいな。

――この先、やってみたい役は?

理想は、主演になりたいです!でも、単純な勧善懲悪のヒーローではなく、良いことも悪いことも美化せずにそれぞれの視点があるんだと描けるような作品がいいですね。ものごとには善悪じゃなくていろんな見方があるんだって、見た人が考えられるような作品に出たいなと、ほんのりと思っています。

――12月には単独初主演となった『新宿パンチ』が公開されました。先ほど、映画への夢を語っていただきましたが、映画と舞台、それぞれへの想いは?

舞台は生モノなので毎回違うものができるのはおもしろいですし、お客様と一緒に楽しんでいる感覚を大事にしています。一方、映像はいつでもどんな場所でも観ることができるから、たくさんの人に見ていただける素晴らしいものだと思います。限界が来るまでは、舞台と映像を両立していきたいですね。

――俳優という仕事の魅力ってなんだと思いますか?

見てくださった人たちの心を動かせた時が一番嬉しいんですよね。お客さんから「最近悪いことがあって落ち込んでいたけれど、廉くんのお芝居を見てすごく元気をもらえました」って感想をいただいた時は、役者をやってて良かったなあと思う瞬間です。その積み重なりが僕の未来に繋がっていくんだろうな。だからお客さんの喜びの声を聞けると、役者冥利に尽きますね。

――小澤さんの舞台を観ていると、生だからこそ生まれるお客さんとのコミュニケーションを楽しんでいるように感じます。

やっぱり、観てくださる方がいないと僕らなんて存在する意味がない。お客さんやスタッフさんがいなかったら、僕らは仕事ができない。それは忘れずにいたいですね。

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将軍役というプレッシャー

――小澤さんにとって『SHIRANAMI』が初のオリジナル脚本、ストレートプレイになりますが、出演が決まった時の気持ちは?

僕にできるのかという不安がよぎりました。でも経験しないと、人としても役者としても成長できない。一皮も二皮も剥けたいです・・・が、今はかなりビビっています(笑)。いろんなジャンルのトップスターの方々が集まっていろんなことをする舞台なので、そこで僕がやれることは何なのか、見つめ直していかないと、と思っています。

――どんな将軍像になるのか楽しみです!

不安ですよ。初のオリジナルストレート作品ですし、しかも将軍ですし!人の上に立つ役ということで、緊張しています。楽しみの方が強いですけれどね。

――演出のG2さんからどんなことを期待されていると感じていますか?

人に愛される空気を醸し出して、かな(笑)。家茂は、みんなに愛されている将軍なので、きっとプライベートの僕の立ち居振る舞いも役に繋がると思います。普段から人としてのあり方を考えながら、G2さんの期待を裏切らないようにがんばりたい。初めて台本を読んだ時から、家茂に気持ちがグッと動かされたので、大事な役なんだなと実感しています。

――家茂は将軍として、周りから助けられ、守られながらも、自分は愛を育てて大切な人を守る。小澤さんと似ているところはありますか?

感情移入しやすいんですよね。「将軍」という立場からはイメージしづらい“親しみやすい人物”をG2さんが書いてくださっているからかな。正義感を振りかざす青くさいところは、僕にも覚えがあるし、若い頃に目指した理想を崩さない姿勢はきっと大事なこと。そんな正義感や、優しさや、大事な本質を分かっているところはちょっと自分と似てるかも。家茂は、天皇家から来たお嫁さんが本心では嫌がっていることもちゃんと分かっていて、政略結婚だけれども心を通わせたいと思っている。だからまず「話し合いをしようか」と寄り添うんです。男らしいですよ。

――いろんな要素が詰まった舞台になりそうですが、どんなところが楽しみですか?

今回は“音楽活劇”なので、将軍も歌って踊ります。将軍というイメージ図を崩さずにどうやって歌って踊るんだろう?というとろこを見せるのが、楽しみの一つです。かなり自由度の高い音楽活劇になりそうですよ。ショー演出・LEDディレクションを担当される市川訓由さんはB’zさんのライブを演出している方なので、音楽LIVEの爆発力みたいなものが『SHIRANAMI』でも感じられるのかなと楽しみです。

――稽古にはどんな準備をして臨みましたか?

まずは、漢字を調べました!実は、タイトルにもなっている原案の『白浪五人男(しらなみごにんおとこ)』も最初は読めなかったので・・・(笑)。時代物はけっこう好きなので、演じるのも好きになりたいんです。今回モチーフになっている『白浪五人男』は5人組の戦隊モノのみたいな歌舞伎なんですよ!歌舞伎の“口上”とか“見得”を一回やってみたいなあ。

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個性豊かなメンバーから、いろんなことを学びたい

――共演者の方も、俳優、ミュージシャン、宝塚出身者など、豪華な顔ぶれですね。

谷水力くんだけ共演していますが、その他の皆さんは初めてです。力くんの役はけっこう台詞が多くて大変そう・・・。でも、一人でも知っている人がいると、気の持ちようが全然違いますね!公演中、精神的に崩れてきたら、互いに支え合えるかも。

早乙女太一さんに殺陣を教わりたいなあ。それから、喜矢武さんから思い切りの良さも学びたいです。皆さん、それぞれの魅力を持っているので、その魅力を理解して吸収して、小澤廉としてもいろんなものを身につけていきたいです。

――その中で、小澤さんご自身の武器は何だと思いますか?

うーん・・・ダンスや、お客さんの盛り上げ方でしょうか・・・。よく「どこでどうすればお客さんは盛り上がるの?」と聞かれるんですけれど、僕は「煽りたい時が煽り時だから、自由に盛り上がったらいいよ」って言うんです。やっぱり、自分が盛り上がらないとお客さんに伝わらないですから。「こういうシーンなんだから行っちゃえ!」みたいな勢いはあるのかなと思います。

花がバッと開くような時が一番いい時だと思っているんです。その瞬間を、お客様に見せたい。ダンスと歌は、飛び抜けてできるわけではないですが、これまでやってきたことを踏まえて、僕なりのエンターテイメントをお見せしていきたいです。

――舞台上も個性豊かなので、客席も個性豊かになりそうです。きっと、新しい出会いがたくさんありますね。

お客様に観ていただいて、作品としてどう変化していくのか楽しみです。もうすでに、役者だけでも化学変化を起こしていますし!幕が開いた時の反応が、いい意味で想像できないんですよ。だから、生の空気を楽しんで、毎日違う公演をやりたいなと思っています!

――小澤さんの新しい一歩を楽しみにしています。

ありがとうございます!未開拓の世界に飛び込んでいます。ミュージカルでもなく、いわゆる音楽劇でもない、新しいエンターテインメントな作品です。キャストの顔ぶれだけでも、そうなること間違いなしなので、楽しみに劇場へお越しください!

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◆公演情報
音楽活劇『SHIRANAMI』
2019年1月11日(金)~1月29日(火) 東京・新国立劇場 中劇場
【脚本・演出】G2
【ショー演出・LEDディレクション】市川 訓由

【出演】
弁天小僧菊之助:早乙女太一
赤星十三郎/小夜:龍 真咲
南郷力丸:伊礼彼方
忠信利平:喜矢武豊(ゴールデンボンバー)
日本駄右衛門:松尾貴史

鈴木壮麻
加納幸和
小澤廉
入来茉里

小林大介
谷山知宏
谷水力
安田桃太郎
有川マコト
越塚学
熊倉功
伊藤教人
南誉士広
加藤学
高橋玲
小川夕姫
森田万貴
横山祥子
米島史子

ほか

【公式HP】http://www.shiranami.net
【公式Twitter】@shiranami_stage

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この記事を書いた人

高知出身。大学の演劇コースを卒業後、雑誌編集者・インタビューライター・シナリオライターとして活動。

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