舞台『メサイア ―悠久乃刻―』井澤勇貴&杉江大志インタビュー!「心を開いてからは本当に最強のメサイア」

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過酷な戦いに身を置く男たちの絆を描いたストーリーが女性の心つかんでいる「メサイア」シリーズの新作舞台『メサイア ―悠久乃刻―』(※ゆうきゅうのとき)が8月31日(木)より上演される。新作舞台では、卒業ミッションを目前に控えたサクラ候補生の有賀涼と加々美いつきに非情な運命が待っているという。今回のインタビューでは、その有賀涼役の井澤勇貴と加々美いつき役の杉江大志に、お互いに関してや、本シリーズの魅力、新作への意気込みなどを楽しく語ってもらった。

舞台『メサイア ―悠久乃刻―』井澤勇貴&杉江大志インタビュー

――前回公演『メサイア ―暁乃刻―』では、加々美の過去を絡めた有賀との熱い友情が見どころでもありましたが、改めて「メサイア」というシリーズについてどう感じていらっしゃいますか?

杉江:前作で主演を務めた燈くん(白崎護役の赤澤燈)は、死にかけていましたね(笑)。でも、舞台上では一切そんな姿を見せなくて、かっこよかったですよ。大阪の大千秋楽に、出演していなかった大ちゃん(悠里淮斗役の廣瀬大介)が駆けつけてくれて。カーテンコールで、メサイアである燈くんに花束を渡してくれたんですよ。その時に「いいよなあ、メサイアって・・・」って思いました(笑)。皆が本当に愛して、心の底からぶつかっている、一つの作品という枠を超えたものだなと思いましたね。

井澤:本当にそうだよね。

杉江:メサイアの良いところを聞かれた時に、よく「少年漫画のような設定」と言っていたんですよ。いわゆる、青春バディものとして絆を描いているところという意味で言っていたんですけど、そういうところを一歩超えた“演劇”になってきていると感じています。一つの演劇として、身を削って役を生きる。それは役者冥利に尽きることだし、やっていて楽しいだけでなく、やりがいがある。それがお客さんにも伝わっていればいいなと思いますね。

井澤:毎回テーマも違って、しかも重いんですよね。これまでも考えさせられるようなことがたくさんあったので、全編を通して、この作品から学んだことがたくさんあったなと思いますね。メサイアって、もう一人の自分だなと思っているんです。「メサイア」って、一見すると派手だし、アクションも多いから、そっちに目がいきがちかもしれないんですけど、もっと奥深く観ると、友情や愛情を毎回違った形で描いているんですよね。各々が抱いている感情は違うかもしれないけど、ベクトルは同じで、「人間ってあったかいな」と思わされます。

杉江:そうそう!「派手なアクションがメサイアでしょ」と思っている人にほど、観に来て!と思ってます(笑)。体もですけど、心も削って全身全霊で挑んでますので。本当に削ってるよね。

井澤:削りまくってるね~。

――お二人の「メサイア」初共演は映画第3作『メサイア ―深紅ノ章―』でしたが、ここまで共演してきて、お互いの印象に変化はありましたか?

杉江:勇貴は同い年なんですけど先輩なんです。「同い年だから、タメ口でいいよ」って言ってくれたんですけど、風格があるから、なかなか敬語が抜けなくて。しかも「いいよ」がとっても偉そうで(笑)。しばらくずっと敬語でした(笑)。『深紅ノ章』が、僕にとって初の映画出演ということもあって、二重の緊張がありましたね。

井澤:がんばってタメ口にしているのが伝わってきたてたんですよ。それがまた、かわいくてね(笑)。

杉江:僕からしたら、仕事の先輩であり、メサイアとしても先輩なので、追いつかなきゃいけない存在だったんですよ。勇貴個人としての、お芝居への向き合い方も好きだし。共演も続いて、今ようやく肩を並べて、背中を預けられるところまで来たんじゃないかなと思っています。「やっとここまで来れたな」とも思っていますね。

井澤:大志は、映像の仕事が初めてと言っていたので「そりゃあ緊張するよな」と思っていました。とはいえ、僕もその現場に入って間もなかったので、まだ人のことを見ている余裕がなかったんですよね。ここまで3年もやらせていただいて、「メサイア」のスタッフさんともキャストとも仲良くさせていただいてきたんですけど、当時は、ほぼ全員初めましてでしたし。しかも、当時はドラマと映画を同時に撮影していて、ドラマでの有賀のメサイアは間宮(染谷俊之)、映画は大志が演じる加々美がメサイアだったんです。いろんな不安と戦いながらやっていたところに、大志がやって来たんですよね。

それから3年、その成長を見てきた身としては親心とまではいかないんですけど、兄弟みたいな感じがしますね。当時の初々しい大志を思い出すと、ここまでの成長というか、分かりやすく変化してきているなと思いますね。現場での振る舞いとかもそうですけど、芝居に対しての向き合い方とか、芝居そのものといったところの違いを感じますね。

舞台『メサイア ―悠久乃刻―』井澤勇貴&杉江大志インタビュー_3

――役柄とは、お互い近いものはありますか?

井澤:大志は、そのまんまという気はするなあ(笑)。あそこまでずうずうしくはないけど、頭が良いんですよ。

杉江:そうなんですよ!頭が良いんです(笑)。

井澤:こういうところは、ちょっとおバカなんですけどね(笑)。

杉江:(笑)!

井澤:だけど、上手いと思うんですよね。例えば、学校の授業中にふざけまくっていて、これ以上やったら先生が怒るなという時を見極められるような感じ。

杉江:それはさんざん怒られてきたからやめ時が分かるだけだよ(笑)。

井澤:僕は私生活では、仲が良い人としかあまりしゃべらないんです。しゃべらないというか、閉ざしちゃうタイプで。でも、大志はそこを開けて、歩み寄ってくれるタイプ。あまり僕の周りにいないタイプなので、好きなんですよね。おもしろいなと。

杉江:そこさあ、「好きなんです」とか言ったら、ガチみたいじゃん(笑)!

井澤:いや、ガチだもん。本当だよ(笑)。

杉江:照れるよ~。あんまり言いたくないけど、素直に嬉しい(笑)。有賀と勇貴は・・・比べると、最近の有賀はだんだん勇貴に寄ってきている印象ですね。

井澤:柔らかくなってきてるよね。

杉江:心を開いてきたのかな。閉ざしている時の勇貴が、昔の有賀なのかも。

井澤:そうかもしれない。閉ざしていると、本当にしゃべらないからね(笑)。

杉江:でも、そうは言っても勇貴はおちゃめだから、周りにかわいがられるんですよ。僕もそうだけど、後輩気質、年下気質だよね。

井澤:そうだね。

杉江:お互いに似たタイプだったから、初めはちょっと接し方が分からなかった(笑)。でも、お互いがちゃんと心を開いてきたんだと思います。そうじゃないと、この距離にはなっていないと思う。そういう関係になれるまでちょっと時間はかかったと思うんですけど、心を開いてからは本当に最強のメサイアだと思っています。

――『メサイア ―暁乃刻―』の苦難を乗り越えて、今回は二人の卒業ミッションになりますね。

井澤:「ついに僕たちの番が来たか!」という感じですね。この作品に関わっている以上は、過去の先輩方もそうでしたが、必ず卒業というものが来るんですよ。ただ、僕はお客さんと同じ目線で考えていこうと思っているんです。もちろん台本を読んで、稽古をして、結末は分かっているんですけど、あえて、卒業できるかどうか分からないという有賀の気持ちと同様に演じていけたらいいなと思います。果たして、卒業ミッションを無事に成功できるのか?もし、できなかったら留年もあるのかもしれない・・・。今まで留年ということはなかったですけど(笑)。

杉江:『メサイア』という作品は、本当に大きくて、皆が時間をかけて紡いできたものなんですよね。だから、そこで「卒業」をやらせていただけるというのはすごく嬉しくて、楽しみなことだし、ワクワクするんです。だけど、それと同じくらい、むしろ、それ以上に重さと責任感を感じています。この作品を背負いきって、ちゃんと演じて、次につなげて「卒業」していきたいなと思っています。後輩たちにもそういう同じ気持ちになってほしいなと。それがある意味、僕らの本当の卒業ミッションだと思うんですよね。

井澤:確かにそうだね。

舞台『メサイア ―悠久乃刻―』井澤勇貴&杉江大志インタビュー_2

――『メサイア ―暁乃刻―』から新キャストも追加されており、小星鉄役の西野龍太さん、東間遠矢役の豊嶋杏輔さんは舞台初出演になるそうですが、他のキャストの皆さんの印象は?

杉江:(キャストビジュアルを見ながら山沖勇輝さんを指して)若天パ(笑)。(大塚公祐さんを指して)親父天パ(笑)。宮城紘大くんとは初めてですね。そして(山田ジェームス武さんを指して)井澤勇貴(笑)。(スマホアプリの)SNOWで二人の顔をひっくり返してもあんまり変わらないんだよね。

井澤:(山田ジェームス武さんとは)顔が似ているとよく言われるんですよ(笑)。

杉江:「メサイア」シリーズはキャスティングが上手というか、当て書きなのかと思わせるぐらいのキャラクターを掴んだ人間性が魅力の一つにあると思うんですよ。

井澤:当て書きなのかもというのは感じる。本当にそのまんまだもんね。

杉江:新しく入ってくる西野くんと豊嶋くんにも、『メサイア』という作品を愛してほしいね。僕も初めて『メサイア』に入った時は、さっき話したような『メサイア』への思い入れはあまりなかったんですよ。オーディションに受かった時も「イェーイ!『メサイア』に入ったぜ!」というぐらいの感じだったから(笑)。今となっては「イェーイ!」なんて、そんな軽いこと言えないよね。

井澤:そうだね。「よし!やるか・・・」という感じだよね(笑)。

杉江:でも、こういう思いになれたのは、ちゃんと背中を見せてくれた先輩たちの姿を見てきたからだから。今回、僕たちは自分たちのことで手いっぱいだと思いますけど、これから入ってくる方たちにも、メサイアを好きになってもらえるよう、精一杯僕らも背中を見せたいと思います。

井澤:そうだね。

杉江:大人組にも頼りながら、皆で力を合わせてね。

井澤:(村田)充さんは味方だとものすごく強いんですよ(笑)。作品内では敵対しますけど、一緒に作品を作るという意味では味方ですからね。

杉江:作品を作るという意味では最強の味方だよ。

井澤:これ直接言ったら、たぶん充さんはすごい照れると思うけど。

杉江:(笑)!

――最後に、観に来て下さる方へメッセージをお願いします。

杉江:『メサイア』という作品は大きな存在で、たくさんの愛が詰まっていて、たくさんの愛がつないできた物語だと思います。そのような作品を背負えるということはとても光栄で名誉なことなんですが、その重さもすごく感じております。これまで、その重圧にしっかり立ち向かって、卒業していった先輩方の背中を見てきました。だから、僕らも後輩たちにその姿を見せて、このメサイアという作品がずっと続くようにしていきます。精一杯背負って、そしてメサイア・シリーズを応援してきて下さった方に、今後も応援していただけるような最高の作品にしたいと思います。

井澤:今までどおりにやります。卒業ミッションというのが『メサイア ―悠久乃刻―』のHOTワードになっていますが、卒業ミッションの前に、まず作品の構築を大志と一緒にしっかりやっていけたら。その上で、そこに卒業という要素がプラスされれば良いと思っています。大志と二人で、上手くバランス良くやれればと思いますね。仮に僕たちが卒業したとしても、この作品は進んでいきますし、観てくださる皆様にそれを見届けて欲しいなと思います。この作品の中で僕たちは生き続けますし、何より素敵なキャラクターがどんどん登場して、魅力と実力のあるキャストの皆さんが入ってきてくれるなど、毎回サプライズがあると思うので、これからもメサイア・プロジェクトをよろしくお願いいたします。ぜひ『メサイア ―悠久乃刻―』を楽しみにしていて下さい。

舞台『メサイア ―悠久乃刻―』井澤勇貴&杉江大志インタビュー_4

◆公演情報
舞台『メサイア ―悠久乃刻―』
【東京公演】8月31日(木)~9月10日(日) 天王洲 銀河劇場
【大阪公演】9月22日(金)~9月24日(日) サンケイホールブリーゼ

(衣装協力:株式会社クレヨン、H>FRACTAL)
(撮影/櫻井宏充)

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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