舞台『チック』公演直前対談!篠山輝信×特別ゲスト・成河「むちゃくちゃ面白い本に出会えた!観に行くのが楽しみです」

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2017年8月13日(日)より、世田谷パブリックシアター開場20周年プログラムの一つとして、東京・シアタートラムにて上演される舞台『チック』。柄本時生演じる主人公チックと共に旅に出るマイクを演じるのは「役と同じく人を惹きつける魅力がある」と演出家小山ゆうなが期待を語った、篠山輝信だ。今回は、その唯一無二の存在感で観客を魅了し、篠山自身も絶大なる信頼と尊敬を寄せる、所属事務所の先輩でもある俳優・成河をゲストに、本作の魅力と演劇への思いを語ってもらった。普段のインタビューではなかなか聞けない、役者の胸の内。新しく、赤裸々な白熱の特別対談です。

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目次

読んでまず感じるのは、演出家の作品愛

篠山:今日は来ていただいて、ありがとうございます!

成河:こちらこそ!僕はおしゃべりなので、もうどんどん聞いちゃうし、話しちゃうね!

篠山:成河さんは本当に尊敬する方なので、念願というか・・・こうしてお話しできてめちゃくちゃ嬉しいです。

成河:僕こそ、本当ありがたいですよ。対談はもちろん、こういう機会にこんな本に出会わせていただいたことも。僕は僕でやっちゃおうかなって思うぐらい、むちゃくちゃ面白かったですよ!(笑)

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篠山:正直なところ、成河さんの『チック』は観てみたいって思います・・・(笑)。でも、成河さんにそんな風に言ってもらえると、なんかすごく嬉しいです。読まれてみて、どういったところに惹かれましたか?

成河:まず、翻訳と演出を兼ねている小山さんの、作品への愛情をものすごく感じました。普段、本だけであんまり泣いたりしないけど、泣きそうになったよ。ほとんどの人がまだ知らない物語だろうから、そういう部分でも、お楽しみにしてほしいって思う。最後のシーンとか・・・あ、これは言っちゃダメですね!

篠山:(笑)

成河:僕はこういう世界観が大好きなんですよ。童話的であり、寓話的。そうでありながら、リアルで現代的な描写を入れたり、そういう語り口で喋ったりもするでしょ?それらが物凄く有機的に混ざってるし、そこにまた風刺も効いていて・・・。あと、少年が非日常の冒険に出て、成長して帰ってくるっていう、この王道のプロット!やっぱり、いいですよね。

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篠山:14歳って、自分の中の理屈や正論が形成されつつある歳だし、“少年の冒険モノ”っていうようなひとつのジャンルになってると思うんですよ。だから、僕はすごく素直に「分かるよ、マイクくん!」って思ったし、自分自身が14歳の頃に思っていた事って、わりと今にも通じてたり・・・。

成河:そうだね。いわゆるマイノリティとされる人がたくさん出てくるところもすごく素敵。窮屈な日常を過ごしているマイクが色んな人達と触れていく中で、格差社会の風刺もすごく感じるんだけど、それが過多じゃない。こんな風に翻訳されたこと自体がものすごく素敵なこと。同時に篠山くんは大変だと思うよ。作品の重みもあるし、モノローグも多いしね。

古典的な様式と現代的な試みが融合する『チック』

篠山:そうなんですよ。演劇の経験が豊富な成河さんにぜひお聞きしたかったんですけど、こういう小説の地の文みたいな語りが続く本って、よくあるんでしょうか?

成河:作品自体、もともとは児童文学の小説なんですよね。そこからきっちり拾って立ち上げてるんだね。篠山くんが言ってるのは、そういうことだよね?文学的な語りというか・・・。

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篠山:そうです。今まで経験したことがなかったから、台本をもらって、最初に読んだときはびっくりしちゃって。

成河:モノローグとしては、奇をてらったものではないと思うけど、会話との境界がないところは面白いよね。モノローグかと思っていたら、急に二人で会話しだして、その繋ぎ目が限りなくゼロに書かれていて。それはすごく現代的な試みだし、興味深い。これがプロットに馴染んでいけばおもしろいし、やりがいがあると思う。文学的な気もするけど、だいぶ口語的に書かれているから読みやすいのかなって。

篠山:うんうん、そうですね。書いてあるものを見ているよりもわかりやすい。

成河:僕はチェルフィッチュ(演劇カンパニー/主宰:岡田利規)が大好きなんです。『三月の5日間』とか、彼らが試みてきたことのひとつにもなんとなく通じる部分がある気がして。「~という話をこれからします」みたいなこと言うでしょ?

篠山:言いますね。「僕の言ってることわかります?」みたいな客席への語りとか。

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成河:役と客席とを完全に断絶して、別世界の夢物語をやりますよ、じゃなくて、わりと等身大な目で入っていくというかね。例えばだけど、「ここは世田谷パブリックシアターで、今対談をしてる、っていう芝居を始めますね」みたいな感じで、ひと芝居から始まるスタイル。

篠山:はいはい。

成河:そういうのって、大昔からあったものだと思うんです。語りの芸としては日本の古典にだってあったし、落語的でもあるし、西洋にもいくらでもあったものだから。そういう古くからある様式と、現代的な感覚っていうのを有機的に混ぜ合わせた、やさしい作品だなぁと思いました。どうですか?僕の分析は!(笑)

篠山:いやぁ、さすがです。本当にそうですね!

成河:稽古はいつからやってるんだっけ?

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篠山:本読みは6月からでした。そうそう、2ヶ月くらい前に稽古場のエレベーターですれ違ったじゃないですか?丁度あの頃が台詞を覚え始めたぐらいの時です。

成河:あー会った会った!僕も『子午線の祀り』の稽古中で。

篠山:本当にありがたい貴重な役をいただいたんですけど、覚える量が半端なく多かったから「覚える台詞が多くて大変なんですよ」って言ったら、成河さんが笑顔で「台詞が沢山あって幸せじゃない!」って。それで、たしかにその通りだな、と思いました。

成河:あの頃くらいから動いていたんだね。セリフはどうやって覚えたの?だいたい覚え方って“書く、音読、黙読”の3パターンだけど。

篠山:僕は書いてみました。

成河:これ全部書いたの?超大変だね(笑)。

篠山:ノート一冊埋まりました(笑)成河さんは普段どうやって覚えるんですか?

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成河:ものにもよるから、一回、3パターンともやってみますよ。でも、一番黙読が難しくて覚えづらいかな。でも、音でインプットされない分、後々ものすごく応用が効くっていうメリットがあるけど、これを黙読で覚えようと思ったら2、3ヶ月かかると思うよ。僕は音から入る人間だから、一番性に合うのは音読ですね。

篠山:それ、僕も演出の小山さんにも最近言われていて・・・。ひたすら書いた後に声に出して覚えてたんですよ。立ち稽古になった時に対応出来るように、極力色を付けないでやっていたつもりなんですけど、やっぱり音にすると自分の癖が反映されちゃって。どうすれば良かったんだろうって思ってましたね(笑)。

成河:難しいよね。音で一回入っちゃうと、自分一人で読んだときの音でやっちゃうんで、人の影響を受けづらくなっちゃうんですよ。でも、そのことを意識的に気を付けていれば、自覚的に変えることは絶対に出来るから。

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篠山:具体的な方法とかってありますか?

成河:僕は、自分一人で読んでた時には出なかったセリフの音を感じた時はそれを軸にしてる。そういう音が出てきたから、このシーンはOKってことにしよう、とか。正解か不正解かはわからないけど。

篠山:たしかに、一人で本読みしていた時から稽古に入ったり、演出を受けたりすると、自分の中のある種の変化を感じることはありますね。いい変化なんだって今思えました。

翻訳・演出を兼ねているからこその作品の深み

成河:演出の小山さんって、どんな方ですか?

篠山:先ほど、成河さんが仰ったように、作品への愛情をすごく感じる真摯な方ですね。愛があるから、演出も丁寧にしてくださるんです。今回、共演者の方は経験豊富ですし、引き出しもある方々なので、稽古で僕が演技に変化をつけず固めちゃったりすると絶対見逃さないというか。

成河:やっぱりそうなんだね。本からも伝わってきます。

篠山:「そこはもっとこういうのがあるんじゃない?」とか「こういう反応が抜けてるんじゃない?」とか、物凄く丁寧に演出してくださって、本当にありがたいです。小山さんご自身、ドイツで生まれ育った方なんですよ。

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成河:恥ずかしながら行ったことがないんだけど、ドイツってすごく進んでるからね。ポストドラマ演劇にしたって、演劇に関するいろんな実験的な行為がすごく進んでいるから、すごく行きたいと思うんだけど・・・。そういう、小山さんが生きてきた中で触れたドイツの演劇の面白い部分をしっかり伝えようと、翻訳がされて、台本が書かれている気がして・・・。

篠山:そういえば、小山さんと雑談した時に「成河さん、すごく素敵ですよね」って仰ってましたよ。

成河:ふ、ふぅーん(ニヤリ)

篠山:めっちゃ嬉しそうじゃないですか!(笑)

成河:いやいや、本当にお会いしてみたいです。僕、翻訳と演出を兼ねてやれる方って、日本で翻訳劇やるときにめちゃくちゃ必要だと思ってるんです。翻訳だけでもひとつの仕事ですし、大変なスキルだから、多くはいらっしゃらないと思うんですけど。でも、兼ねてやれるからなりの愛情を一文字一文字に映し出せるし、それを役に、役者にダイレクトに伝えられる。

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篠山:役といえば、僕、舞台に立つ成河さんの姿がすごく好きだっていうのもあるんですけど、今回このマイクって役をやるときも、成河さんだったらどうやってやるんだろうなって、すごい勝手に想像しちゃうんですよね。

成河:本当に!?(笑)。この役は無限に可能性があるよね。役だけじゃなくて、どういう風に演出するのかも、いろんなやり方が出来ると思うし。でも、5人でやるんだからそれはもう最高だよね。ドイツのオリジナルでも5人くらいでやってるの?

篠山:ドイツでは二人芝居でやることもあるって仰ってました。

成河:二人芝居バージョンもあるんだ!じゃあ、いつかやろう!ひとつの役を掘り下げて、役の履歴書を書いて、これはどういう人物でっていうのを込めて役をやるのもきっと面白いと思うけど、こういうのって、ひとつの大きな連なりになってる気がして。変な言い方だけど、僕だったら、役に一生懸命にならないでやりたいなって思う。

篠山:なるほど。

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観客の一人を見つめて語るモノローグ

成河:あと、役っていうより“お話をしてる役者さん”っていう地続きから進めていくのが、こういう世界観にはすごく合うのかなって思う。そのために、観客に目線を合わせていくようなモノローグなのかと。

篠山:稽古していて、一人語りのところには苦戦してました。これは共演の大鷹明良さんにも言われたんですけど、情景描写を伝えようとしすぎて頑張りすぎちゃうと逆に損するよって。情報量も多いし、サービス精神が逆に邪魔になることもあるから、敢えて淡々とやるとこもあってもいいんじゃない?とか、いろんなアドバイスをいただいています。たしかに文量も多いから、全部全力でやり過ぎてもお客さんも疲れちゃうだろうなとか。こういう語りの時に、成河さんが気を付けている事とかってあるんですか?

成河:もちろんあるよ、絶対!小山さんにはなんて言われてる?

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篠山:あんまり大人数に話しかけるっていう意識じゃなくて、もっと個人的に、一人ひとりに話しかけてるみたいな風にはしてほしいって言われてて。

成河:ズバリそう!だと、僕も思います。小山さんがそうなら、僕も賛成なのでどんどん言える!(笑)絶対そうですよね。ジョン・ケアードも言いますよ、「シェイクスピアのモノローグは、虚空を絶対に見つめるな。人を、お客さんを見て」って。モノローグと演説は違うっていうのは、徹底的な基本だと思うよ。

篠山:今なんか、すごく安心しました。

成河:こんなのは言い古された言葉ですけど、役者なんて不安じゃないと嘘じゃないですか。虚空を見ると安心するんですよ。自分に入ってくる情報を遮断すればするほど安心できる。でもそこに異物が入ってきた時に気をとられる=不安になる=芝居が崩れる、でもそれが面白いじゃないですか、本当は。そういうお芝居でしょ?

篠山:お客さんもがっつり目が合うと、あれ?って思ったり、ちょっと不安になったりするじゃないですか、目線をパッと逸らしたり。そういうことですもんね。

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成河:そうそう、こっちだって目が合ってると、心がざわっとする。でもそれがOKサインだってこと。今もこうやって話しててもさ、たまに目がふっと合ったときに少しずつ温度があがっていく感じがあるじゃない。それが一定の低温で続いていくとお芝居はやっぱりつまらない。それじゃVRと4DXには勝てない。

篠山:そうですよね。それが最たるところですもんね、コミュニケーションの。

成河:100人200人相手でも、一人の目を見て(篠山と視線を合わせながら)「え、分かります?そう、さっき北の丸公園あたりで事故渋滞にはまったんですよ」っていうことをちゃんとやるってことに尽きるよ。

篠山:すごいですね。この演出の攻略法と今日の移動のトラブルを上手くまぜて・・・こんな上手なトークの仕方あんのかな(笑)。

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成河:人生は演劇だからね!いや、でも絶対小山さんの言ったことを信じてやったら良いと思う。それだけがコツだよ。止まっていいんだよ。お客さんがちょっと分かんないような顔したら、絶対止まった方がいい。止まらずツルツル言えちゃったりお客さんの顔が見えなくなった時は、自分の中で黄色信号を点滅させたほうがいい。

篠山:さっき成河さんが言ったように、「すみません、俺の話わかりにくいですよね?ちゃんとまた後で話しますから」ってセリフがちゃんとあったりもするんですよね。

成河:そうだよ、もう、そんなのスラスラ繋げたら怒るよ!(笑)きちんと相手のいるモノローグだから。お客さんに台詞がないだけで、お客さんにも台詞が分担されてるって思って喋らなきゃだめじゃない?

篠山:「コミュニケーションをその場でとる」ということを第一にやるってことですよね?

成河:そう。そういう意味では、これはモノローグというよりは、もうお客さんとの会話だと思うべきかもね。

4DXには出せない、生の演劇だからできること

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篠山:そうですね。すごいなぁ、本当にためになることばかりです。それが全編しっかり続けられるかってことですよね。一人ひとりにって意識していくと、稽古場でも目が合うものだもんなあ。

成河:絶対それでいい。稽古場だとつい、演出席とかも近いところにあるし、劇場サイズを想定してやっちゃうから遠くを見たりさ。ひとつの正論ではあるよ。でもね、僕は・・・大嫌いだよ!
<一同爆笑>

成河:語りから地続きでお客さんを連れていくって、演劇だからできること。映画でこんなモノローグがナレーションで流れたら、他人事で終わっちゃう。主人公たちの年齢もそう。大人の役者が14歳を出来るのってやっぱり演劇だけなんですよ、結局。映像だとその差違に目を瞑らざるをえなくなりますから。でも演劇では、その差が面白くみえるはずだもの。

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篠山:柄本(時生)さんと僕で、14歳が成立するんですもんね。

成河:僕が特別自分で考えて言ってることじゃないですけど、演劇って、どこで行われているかってことなんですよね。舞台上で行われているものを観客が見るものだけど、でも本当はそうじゃない。

篠山:想像力の中ってことですか?

成河:そう、要するに頭の中。脳みその中で行われているから無限だし、絶対に勝てないんです。だから、目に見えるものだけに囚われるとつまらなくなる。だから、大人が14歳をやる。緩やかなカーブを描きながら、会話とモノローグを行き来して、それであの結末を描けたら、もう絶対泣いちゃうよ・・・。

篠山:あぁ、本当にいい対談を企画してもらったなぁ。

成河:そういうところまで“語り”で連れてってもらうっていうのが、劇場体験としては4DXにもVRにも勝るんですよ。というか、それだけが勝るんです。『チック』って作品には、そういうエッセンスが詰まりに詰まってると思う。篠山くんは、会話のところとモノローグどっちが好き?

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篠山:僕はこのモノローグ結構好きなんですよね。お客さんとここまでコミュニケーションを取るっていうのはやったことがないですし、これだけ全編にわたるモノローグっていうのも初めてのことで。小山さんも言うんですけど、これって、旅を終えたマイクくんが「いい夏だったよ」って自慢してるんですよね、ずっと。語りの部分は、お客さんに自慢せずにはいられないっていうマイクくんがずっといて、それを述懐して、具体的にお芝居のシーンになっていくっていうような構造なんです。

成河:えー、それすごい素敵ですね。

篠山:だから、お客さんに語ることでしっかりコミュニケーションが取れればいいなって思います。

成河:そこは、バラエティで培ったものがあるからきっと大丈夫!(笑)。今日話してても、篠山くんすごく視野が広いなって思うし、それが今回きっと生きると思う。

篠山:嬉しいなあ。演説にならないようにだけは、気を付けないと!

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成河:演説になった瞬間にお客さん寝ちゃうもんね。技術的にはゴールのない役だとは思うけど、でも今の話すごく良かった。(バシッと篠山の肩を叩きながら)絶対面白くなるじゃん!

篠山:あ、ありがとうございます!

成河:そういう枠をしっかり作れるって役者としてすごいことだし、尊敬できる。役の設定に入っていくことも大事ですけど、大きな枠できちっと捉えられるっていうのがね。今のまんまの篠山くんがきっと出来ることなんだろうから、是非そのままやってるのを僕は見てみたい。「新しい自分を見せよう」とか力まなくていいって思うよ。

篠山:いやー、いい、本当にいい話を聞かせてもらってます。今、僕が志してる方向性はやっぱりこうなんだなって思えたし、本当に心強いです。

成河:勿論理想論だし、言うのは簡単ですよ。こんな僕が!

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篠山:いやいや、話をさせてもらうタイミングも今で良かった。稽古も残ってて(※7/31対談時点)、色んなことを稽古場でやってる中で、素直に成河さんに聞きたいことを聞けたので。

成河:・・・演助(演出助手)とか空いてないの?

篠山:ごめんなさい、残念ながら!

成河:ああ、うらやましいよ。こんな、まだあんまり知られていない面白さに触れられるって。戯曲だけじゃない演劇の様式の面白さをゼロから創っていく喜びって、そうそう体験できないですよ。

篠山:小山さんにもお聞きいただきたかったですね、今日の対談!

成河:観客として観に行った時にお会いしますから!

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◆『チック』公演情報
8月13日(日)~8月27日(日)
東京・シアタートラム
9月5日(火)・9月6日(水)
兵庫・兵庫県立芸術文化センター

(撮影/エンタステージ編集部)

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