2016年7月に上演された朗読劇『俺とおまえの夏の陣』が、11月13日(日)と11月25日(金)にCSチャンネル衛星劇場にてTV初放送される。本作は、映像界の新星・吉田恵里香の脚本と、小劇場の奇才・中屋敷法仁の演出で贈る新しいタイプの朗読劇シリーズで、2015年に初演。約1年ぶりの再演となった今回も、須賀健太をはじめ、染谷俊之、黒羽麻璃央、猪塚健太といった活きの良い若手俳優たちが集結した。
一般的なイメージとは違い、俳優たちが台本を片手に動き回る画期的な朗読劇である本作について、伊達政宗役を演じた須賀に、演じる上で心掛けたことや苦労したエピソード、役どころについて振り返りながら語ってもらった。
――今回が初挑戦となる朗読劇にはどんなイメージを持っていましたか?
僕の中では座ったまま読むイメージでした。だから、稽古場で前回上演された映像を観た時に、すごく動く演出だなと思いました。台本を持ってはいるけど、まるで普通の演劇のような感じ。実際、演じていくうちに朗読劇をやっているという感覚はなくなってきました。
――本を読みながらのお芝居ですけど、台詞は覚えているんですか?
何となく頭には入っています。本番中にページから目を離すとどこまで読んだか分からなくなることがあって。きっちり覚えることはなかったですけど、いろいろな動きの中できっかけの台詞になるような部分は本を見なくても出るように準備していました。
――通常の朗読劇にはない動きが新鮮ですよね。
どこでどう動けばいいのか、そのタイミングが結構難しかったです。稽古中に「あれ?ここで動いていいんだっけ?」って不安になったり。段々自分が信じられなくなっていきました(笑)。でも、役の感情だけではなく、どう動くのかを台本に書き込む作業はとても新鮮で、独特だなと思いました。相手の動きを感じながらの演技もおもしろかったです。
――朗読劇に出演する上で、心掛けたことはありますか?
とにかく読む練習をして、いつも以上に台詞を噛まないよう気を付けました(笑)。朗読劇は“文字”を意識しながら観る舞台なので。僕自身もお客さんとして観ていた時は、活字や文字を思い浮かべていましたから。だからこそ、台詞をはっきり伝えることを意識しました。
――本作は戦国末期を駆け抜けた武将たちの姿が描かれていますが、時代の“風雲児”伊
達政宗を演じた感想は?
政宗は、自分の国を守るために何をすればいいのかを常に考えていた武将なので、その重みのようなものを出すにはどうすればいいか。幼少期から老年期までが描かれているので、イントネーションや言い回しなど、声で伝える芝居を心掛けました。中屋敷さんからは、あまり作り込まなくていいと言われたので、そのバランスが難しかったです。
――中屋敷さんとはハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」でも一緒にお仕事されていますよね。
演劇「ハイキュー!!」の時は脚本を担当されていました。中屋敷さんは、言葉をとても大事にされている方です。でも、朗読劇だからといって役者たちに朗読させすぎないところがあって。そのさじ加減が中屋敷さんらしいです。演じる僕らは、その微妙な感覚を表現しないといけないから大変ですけど(笑)。
――本作では、側近である染谷俊之さん演じる小十郎との関係も見どころの一つですね。
武将としての活躍はもちろん、政宗と小十郎の関係もおもしろく描かれている作品ですよね。二人の会話のやりとりは、僕も好きです。政宗の日常的な部分が多かったので、昔の武将のゴツゴツとしたイメージにとらわれず演じられたような気がします。
――コミカルなシーンもありますけど、舞台ならではのアドリブも多かったんでしょうか?
稽古中に浮かんだアイデアを本番でやってみたり・・・ということはありました。政宗が寝転がっている時に、小十郎が政宗の台本を閉じようとするシーンは最後の通し稽古で生まれたものです。僕としては、台本を閉じられたら読むところが分からなくなるので必死に抵抗していましたよ。あれはホントにドキドキした!あのシーンに限らず、染谷さんは本番中にいろいろ仕掛けてくるから油断できませんでした(笑)。
――では、放送に向けて最後にメッセージをお願いします。
劇中では遊べる部分がたくさんあったので、自分なりの政宗をのびのびと演じられました。自由に想像してもらいながら、戦国時代を生きた人々の壮絶な人生と、その一方にある何気ない日常生活の様子を楽しんでいただけたらと思います。
☆朗読劇『俺とおまえの夏の陣』放送情報
【本編尺】120分
【製作年】2016年
【演出】中屋敷法仁
【作】吉田恵里香
【出演】須賀健太、染谷俊之、黒羽麻璃央、猪塚健太
【放送日】11月13日(日)午後4:15 /11月25日(金)午前7:00
公式サイトはこちら
http://www.eigeki.com/special/theater