映画界を席巻した大ヒット作『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』がついに舞台化を果たした。2026年1月9日(金)には公開ゲネプロと取材会が行われ、W主演を務める鬼太郎の父役・鈴木拡樹と水木役・村井良大、龍賀沙代役・岡本姫奈(乃木坂46)、そして演出の中屋敷法仁が登壇した。
2026年の幕開けと共に上演される本作。キャスト陣が語る「舞台ならではの見どころ」や「隠されたテーマ」について、熱気あふれる会見の様子をレポートする。

鈴木拡樹、村井良大が語った初日前の高揚感

会見冒頭、「あけましておめでとうございます」と晴れやかな笑顔を見せた鬼太郎の父役・鈴木拡樹。「2026年、めでたい中でこうして舞台を打たせていただきます。僕自身も今年初舞台。この作品が一発目で本当によかったという思いを噛み締めて、千秋楽まで駆け抜けたいです」と、新年の抱負と共に力強く挨拶した。

続いて水木役・村井良大は、「ようやく初日の幕が開くということで興奮しています」と語りつつ、初日から実施されるライブ配信に言及し、「ミスができない緊張感と、初日の高揚感が混ざって不思議な状態です」と率直な心境を吐露。「舞台は進化していくものですが、配信を見た後に『生の舞台も見たい!』と思っていただけるよう、この機会を楽しみながら演じたい」と意気込んだ。

グループを離れて初の舞台出演となる沙代役・岡本姫奈は、「今年一番緊張しています」と少し震える声で挨拶。「素晴らしいキャスト・スタッフの皆様に助けていただき、すごく成長できた期間でした。今日から千秋楽まで、沙代ちゃんとして一生懸命生きたいと思います」と、ひたむきな決意を語った。
映像とのバトル、そして「アンサンブルの謎」?

本作の注目ポイントについて問われると、鈴木は「人間関係の複雑なヒューマンドラマの中に、妖怪族として異物感=スパイスを出せるところ」と役柄の面白さを挙げる。さらにアクションについては「映像と戦うシーンもあります。人物同士の戦いはもちろん、巨大な妖怪が出てきたりと、迫力をいろんな見せ方で表現しています」と、舞台ならではの演出に自信を覗かせた。

これに村井も同調。「狂骨ってこんなにデカかったのか!というのを目の当たりにできる、またとないチャンスです」とアピールし、個人的な“謎”としてアンサンブルキャストの凄さに言及。「水木もずっと出ずっぱりで喋っているんですが、実は一番すごいのはアンサンブルの皆さん。一瞬ではけて、一瞬で着替えて出てくるんです(笑)。その早着替えの謎がいまだに分からない!人力でやっているその凄さも劇場で楽しんでほしいです」と裏話を明かし、笑いを誘った。

岡本は自身の役柄について、「静かなシーンでも、沙代の中では大きな感情が動いています。水木さんに対する気持ちなど、沙代目線で観ていただけると楽しんでいただけるはず」と見どころを語った。
毛利亘宏の脚本で「憎しみ」の物語から「愛」の物語へ

演出の中屋敷法仁は、稽古場の様子を「笑いと悲鳴と涙が止まらない、非常に慌ただしい稽古場でした」と振り返る。
そして、映画版と舞台版の違いについて、「今回の舞台版の脚本を手掛けられた毛利亘宏さんは、非常に演劇愛・人間愛に溢れる方。原作映画は憎しみや悲しみを感じる素晴らしい作品ですが、憎しみと悲しみにまみれたこの作品が、劇場空間では『喜び』や『慈しみ』といった幸せなメッセージを内包するものに変わっている気がします」と非常に興味深い解釈を語った。
「お正月からこの作品を観ていいのか?と思っている方もいるかもしれませんが、怖いだけの作品ではなく、とても愛おしい作品です。ぜひ劇場でお客様と分かち合いたいです」と、本作が持つポジティブなエネルギーを強調した。

これを受け、村井も「新年早々、血だらけになるような話なんですが(笑)。見終わった後に『あれ?これってもしかして愛の話だったんじゃない?』と感じる作品になっています」とコメント。
一見、おどろおどろしい因習村の惨劇を描いた物語だが、鬼太郎の父と水木の間に生まれる信頼感や、父が家族を想う要素は、誰かと分かち合いたくなる普遍的なテーマだ。村井は、「ぜひ、家族や大切な人と一緒に観ていただければ嬉しいです」と結んだ。

鈴木も、「シンプルに『鬼太郎誕生』の物語として楽しんだ後、深く考察してみるといろんな部分が見えてくると思います。SNSなどで考察をあげて盛り上がっていただければ」と、リピート鑑賞の楽しみ方を提案した。

そして「我々にとっても待望の公演がいよいよスタートします。『時が、そして血が、彼らを出会わせた』――。鬼太郎の二人の父親の物語を、どうぞ見届けてください」と会見を締めくくった。
鈴木拡樹と村井良大の俳優としてのコントラストと共鳴

幕が上がると同時に、薄暗い照明の中、悲劇の引き金が引かれる。とたん、劇場は逃れられない因習の渦へと引きずり込むブラックホールのような空間に変容する。

本作の最大の求心力は、やはり鈴木拡樹と村井良大という二人の役者が放つコントラストだ。鈴木演じる「鬼太郎の父」は、人間ドラマの中に混じる「異物」としての存在感が際立つ。普段は柔和な鈴木の眼差しがぎょろっと見開かれる瞬間や、掴みどころのない浮遊感。「ゲゲ郎」という人ならざる者の存在を、ことさら強調するわけでもなく成立させている。

対する村井演じる「水木」は、昭和の男のエネルギーと、出世欲、そして生きることへの執着を、大量の汗と泥にまみれながら体現していた。原作映画をまったく知らない方にとっては、ストーリーテラーとしての信頼も大きいだろう。村井という俳優が紡ぐ言葉には、地に足の着いた重力を感じる。

物語序盤、相容れない二人が、互いの利害や心の奥底にある孤独を通じて共鳴していく。鈴木の静謐さと村井の熱量。言葉以上に、その背中で二人が語り合う瞬間、物語に血が通う様が見えた。

沙代を演じる岡本の好演も光る。閉鎖的な村で彼女が抱えていた諦念と、水木に出会って灯った微かな希望・・・その揺れ動く感情が痛いほど伝わってきた。また、所作がとても美しい。指先まで行き届いた表現力が余韻を感じさせる。このほか、龍賀一族を演じる手練れの俳優たちが物語を深めていた。

アンサンブルの妙!中屋敷法仁が仕掛ける「人力」×「映像」の怪奇幻想

演出の中屋敷法仁が仕掛けたのは、最新の映像技術と、演劇ならではの「人力(アナログ)」の融合だ。会見でも話題に上ったアンサンブルキャストの活躍が光る。不気味で統率の取れた動きながら、生身の人間だからこそできる表現がそこかしこに散りばめられていた。
本作はストレートプレイだが、確認したところスタッフクレジットには振付として井田亜彩実(ダンスカンパニー“Arche”主宰)の名前があった。彼女のエッセンスが、舞台で本作を表現する上で非常に効いていると感じた。

原作映画は、素晴らしい作りで大ヒットした。この名作を、俳優、クリエイター、そして観客という「時」と「血」の通った人間たちが、劇場で再構築する。生身の人間が目の前で汗を流し、涙を流し、生きている。「演劇」という表現媒体のおもしろさを改めて感じさせてくれる作品となっていた。
劇場を後にしながら、また、映画を観たくなった。

舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、1月9日(金)から1月25日(日)まで東京・サンシャイン劇場で上演後、大阪・佐賀を巡演する。上演時間は約1時間50分。
なお、動画配信サービス「U-NEXT」にて3公演のライブ配信が実施されるほか、全国の映画館でライブビューイングも予定されている。
配信・ライブビューイング情報
ライブ配信
配信サービス:U-NEXT
配信公演:2026年1月9日(金)19:00公演(東京初日)/2026年1月25日(日)17:00公演(東京千穐楽)/2026年2月8日(日)13:00公演(佐賀大千穐楽)
ライブビューイング
開催日時:2026年2月8日(日)13:00開演
会場:全国の映画館
※佐賀大千穐楽公演を生中継
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』公演情報
| 公演情報 | |
|---|---|
| タイトル | 舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』 |
| 公演期間・会場 | 【東京公演】2026年1月9日(金)~1月25日(日) サンシャイン劇場 【大阪公演】2026年1月29日(木)~2月1日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ 【佐賀公演】2026年2月7日(土)~2月8日(日) 鳥栖市民文化会館 |
| スタッフ | 原作:水木しげる 原案:映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」 脚本:毛利亘宏(少年社中) 演出:中屋敷法仁(柿喰う客) 音楽:川井憲次 |
| キャスト | 鈴木拡樹 村井良大 岡本姫奈、沢海陽子、しゅはまはるみ、岡内美喜子 コッセこういち、加藤啓、中田翔真、橋本偉成 三上市朗、良知真次 ほか |
| チケット情報 | 【東京・大阪公演】 土日祝公演:12,000円(税込) 平日公演:10,800円(税込) ※全席指定 ※未就学児入場不可【佐賀公演】 10,800円(税込) ※全席指定 ※未就学児入場不可 |
| 公式サイト | https://www.kitaro-tanjo-stage.com/ |
| 公式SNS | @kitaro_tanjo_st |
(C)映画「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」製作委員会 主催 舞台「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」製作委員会


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