2025年の笑い納め、そして2026年の笑い始めにぴったり!
日本初演から7年。日本のミュージカル界を牽引するトップスターたちを巻き込み、抱腹絶倒のパロディと溢れんばかりのミュージカル愛で包み込んだ、福田雄一演出のミュージカル『サムシング・ロッテン!』が帰ってくる。
初日前日には、開幕前取材会が行われ、中川晃教、加藤和樹、石川禅、大東立樹、矢吹奈子、瀬奈じゅん、そして演出の福田雄一が登壇し、開幕に向けた意気込みを語った。

『サムシング・ロッテン!』あらすじ・見どころ:シェイクスピアד世界初のミュージカル”を描く痛快コメディ

ミュージカル『サムシング・ロッテン!』は、1595年のロンドンを舞台に、当時の“ロックスター”的な人気を誇るシェイクスピアに対抗すべく、売れない劇作家のニック&ナイジェル兄弟が起死回生の新作舞台を模索する姿を描いたコメディ・ミュージカル。
「未来の演劇界では、歌って踊る『ミュージカル』が大ヒットする」という予言者の言葉を信じ、世界初のミュージカル制作に挑む彼らの奮闘劇が、数々の名作ミュージカルやシェイクスピア作品への愛あるオマージュとパロディを交えて展開される。
ブロードウェイでトニー賞10部門にノミネートされたこの傑作を、日本では福田雄一が演出・上演台本を手掛けて2018年に日本で初上演した。
中川晃教、7年ぶりの福田組でアップデートに刺激

会見では、まず本作の主人公であり、売れない劇作家ニック・ボトムを演じる中川晃教が「7年ぶりの上演になります。僕は、必ずまたこの作品でトップになりたいと思っていました。しかし、名前はボトム(底)。(トップに立ちたいボトムという)こんな洒落もあるんですけれども(笑)。とっても楽しい作品です。全身全霊で挑みたいと思います」と朗らかに挨拶した。
7年前の初演時から、その圧倒的な歌唱力とコミカルな演技で観客を虜にした中川。その時以来の「福田組」参加となるが、「稽古場初日から通し稽古をしたんです。いきなり行くよ、と(笑)。僕は久しぶりだったので、(瀬奈に)『最近の福田さんはこんな感じなんですか?』と聞いたら、『そうだね』とおっしゃっていたので、監督も常にアップデートされているのだなと感じました」と稽古を振り返った。
新シェイクスピア・加藤和樹は色気全開のロックスター!

加藤和樹は、本作が福田組にも初参加ということで、「緊張感を感じながらも、みんなで力を合わせて稽古を重ねて参りました。監督は『とにかく自由に演じて欲しい』とおっしゃられていました。どうしたら面白くなるか、自分だったらどうするか。役者自身が考えて動く。みんなこの作品が好きで、福田さんを信頼しているからこそできることだと思いました」とその感想を語った。
シェイクスピア役は初演では西川貴教が演じ、その強烈なカリスマ性とコミカルなキャラクターで話題をさらった役どころ。「前回この役を演じた西川さんのインパクトの大きかったので、どう自分らしくするかを意識しました。僕とあっきーさんは、別の作品で共演させていただいたりしているので、阿吽の呼吸と言いますか、あっきーさんとだからこそできる関係性の新しいチームになったと思います」と静かに意気込んだ。
シェイクスピアの歌う「ウィルパワー」は、劇中でも屈指のビッグナンバー。福田が、加藤の稽古姿を撮影しSNSに掲載したところ、ファンからは「こんな加藤和樹はデビュー作以来だ」といった声が寄せられたという。クセの強い役に、加藤がどのように立ち向かっているのか、注目が集まる。
大東立樹&矢吹奈子が挑むピュアな恋と掛け合い!

フレッシュな若手キャスト、ニックの弟ナイジェル役の大東立樹と、清教徒の娘ポーシャ役の矢吹奈子のトークも、負けじと盛り上がった。
大東は「あっきーさんの弟役を演じられるとは思っていませんでした」と目を輝かせ、「矢吹さんとは掛け合いのシーンも多いんですが、矢吹さんがリードしてくださいました。思いついたことはすぐ共有したりして・・・。本番もめちゃくちゃ楽しみです」とにっこり。
対する矢吹は「(私の方が)年上なので。(大東さんは)『僕は何もふざけないから』って言うわりに、結構いろんなアドリブをやり出したりするんですよ(笑)。普段のやり取りが役の関係と近しい感じもするので、舞台上のナイジェルとポーシャの関係にも表れていたらいいなと思います」と語った。
石川禅、瀬奈じゅんらベテラン勢が語る福田組の洗礼

予言者ノストラダムス役の石川禅も今回が福田組初参加。「私、あんまりこういうこと言わないんですけど・・・チケットはお早めに!」 とアピール。「(ノストラダムスの曲が)めちゃくちゃ長いんですよ・・・(笑)。これ、みんなにも分かってもらえると思うんだけど、口を開けっ放しで歌い続けていると、唾を飲み込もうとした瞬間吐きそうになるんです・・・(笑)。楽しいナンバーなんですけど、一回一回が本当に大事です」と、とんでもないコメディリリーフを任された苦労を明かした。

一方、ニックの妻・ビー役を続投する瀬奈じゅんは、「あっきーの“ダメダメさ”が増していて・・・(笑)。それが、なんだかすごく愛おしいんです。可愛いダメさへの『母性』が増しました。でも、母性増しすぎるのも気をつけなきゃいけないなと思うので、ちゃんと妻でいよう、姉さん女房でいようと意識しています」と、7年という月日がもたらした変化について語った。
中川晃教「今年あった嫌なことも笑いで吹き飛ばして!」

会見の終盤、演出の福田は 「今回、再演にあたって気づいたことがあるんです」と切り出した。「初演(2018年)の時は、ドラマ『今日から俺は!!』が終わった直後で、僕自身も『楽しければいいじゃん』みたいなノリだったんです。でも、ここのところ10億円規模の映画を立て続けに撮らせてもらって、多くの人の思いを背負うことの重さを知った。今の自分だからこそ、ニックの『苦悩』をリアルに感じることができた気がします」と、改めて作品と向き合って得た気づきを教えてくれた。
幕が開けば、福田は観客と共に楽しむだけだと言う。「僕、幕が開いたら基本的に何も言わないんですよ。足すことはあるかもしれないけど(笑)」と、作品の一ファンとしても、開幕を心待ちにしていた。
最後に、座長・中川が「いよいよ幕が開きます!ちょうど年末から年始にかけて上演されますから、今年あった嫌なことも笑いで吹き飛ばしていただいて。そして、新しい年は「馬(午)」年です。“馬”というキーワードも、物語の中に探していただいたりなんかして。 皆様に楽しんでいただけるよう、心を尽くして頑張ってまいります!どうぞよろしくお願いいたします」と会見を締めくくった。
【ゲネプロレポート】中川晃教vs加藤和樹!『サムシング・ロッテン!』観劇レビュー

物語の主軸は、売れない劇作家ニック・ボトム(中川晃教)と、時代の寵児ウィリアム・シェイクスピア(加藤和樹)の対立構造だ。
中川晃教演じるニックは、ヒット作が出ない焦り、シェイクスピアへの嫉妬、弟ナイジェルへの過干渉・・・あらゆる感情を、あの伸びやかなハイトーンボイスで軽やかに歌い上げる。誰よりも演劇を愛し、空回りする姿は愛おしさ満点。中川の持つピュアな熱量が、ニックの憎めないキャラクターに見事にハマっていた。
対する加藤和樹のシェイクスピアが登場すると、劇場の空気はさながらライブ会場に!革パンで包んだ長い脚を見せつけ、ウィンク一つで女性たちを失神させる。“ロックスター”としてのシェイクスピア像は、説得力が半端ではない。中川と加藤、タイプの異なる二人の「歌唱力お化け」が対峙するシーンは、火花散るコメディの戦場となっていた。二幕には驚きの変化も待っている。
本作最大のハイライトと言えば、予言者ノストラダムスが「未来にはミュージカルというものが流行る」と予言するナンバー『A Musical』だ。会見では苦労を語っていた石川だが、そんなことは微塵も感じさせないパワフルさで、約10分間にわたりショーストッパーとしての役割を全うした。
濃厚な大人たちの中で、ナイジェルとポーシャのカップルは一服の清涼剤。大東と矢吹のフレッシュさが光り、詩を愛する二人が惹かれ合うシーンはまるで『ロミオとジュリエット』のよう。二人のデュエット『I Love the Way』は、このカオスな舞台の中で唯一、時間がゆっくり流れるような美しい瞬間だった。
ニックの妻ビーを演じる瀬奈の頼もしすぎる「男前」なサポート、アンサンブルキャストによる一糸乱れぬタップダンスや、随所に散りばめられた小ネタなど、見どころを挙げればキリがない。
次々と飛び出す古典から新作まで、様々なミュージカルの要素が詰め込まれている。いくつ気がつけるだろうか?中川ニックを中心に、舞台上が祝祭空間へと変わっていく様は、まさに「ミュージカルへのラブレター」。
2025年の締めくくり、2026年の幕開けを飾るにふさわしい、最高のエンターテインメント。理屈抜きで笑って泣ける瞬間に浸れる作品だ。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
ミュージカル『サムシング・ロッテン!』公演情報
| 公演情報 | |
|---|---|
| タイトル | ミュージカル『サムシング・ロッテン!』 |
| 公演期間・会場 | 【東京公演】 2025年12月19日(金)~2026年1月2日(金) 東京国際フォーラム ホールC 【大阪公演】 2026年1月8日(木)~1月12日(月・祝) オリックス劇場 |
| スタッフ | 作詞・作曲:ウェイン・カークパトリック、ケイリー・カークパトリック 脚本:ケイリー・カークパトリック、ジョン・オファレル 演出:福田雄一 翻訳・訳詞:福田響志 振付:上島雪夫 |
| キャスト | 中川晃教、加藤和樹、石川禅、大東立樹(CLASS SEVEN) 、矢吹奈子、瀬奈じゅん
岡田誠、高橋卓士、横山敬、植村理乃、岡本華奈、岡本拓也、神谷玲花、小山侑紀、坂元宏旬、髙橋莉瑚、高山裕生、茶谷健太、横山達夫、吉井乃歌、米澤賢人、小林良輔(スウィング)、七理ひなの(スウィング) |
| チケット情報 | <料金(全席指定・税込)> 【東京公演】 S席:15,000円/A席: 10,000円 U-25券:7,000円(当日引換券) 【大阪公演】 <昼公演> S席:15,000円/A席:10,000円/B席:7,000円 U-25券:6,000円(当日引換券) <夜公演> S席:14,000円/A席:9,000円/B席:6,000円 U-25券:5,000円(当日引換券) |
| 公式サイト | http://www.s-rotten2526.jp |
| 公式SNS | 公式X(Twitter):@s_rotten2526 |


\月額550円でアニメ、映画、ドラマ見放題!まずは14日間無料体験/
\新規登録なら31日間無料!/
掲載日時点での情報です。 最新情報は各公式サイトをご確認ください。





