中川晃教の”天然”炸裂で加藤和樹ら仰天?!ミュージカル『サムシング・ロッテン！』稽古場取材会レポート

2025年12月19日（金）より東京・東京国際フォーラム ホールCにて上演されるミュージカル『サムシング・ロッテン！』。「トニー賞10部門ノミネート」という輝かしい実績を持ちながら、その実態は「とんでもなくバカバカしく、とてつもなくミュージカル愛に溢れた」抱腹絶倒のコメディ作品だ。

2018年の初演以来、約7年ぶりの再演となる本作。開幕を目前に控えた11月某日、稽古場にて囲み取材が行われ、中川晃教、加藤和樹、石川禅、大東立樹、矢吹奈子、そして演出の福田雄一が登壇した。作品の雰囲気をそのまま反映したような稽古場の模様をレポートする。

「またやりたいです」言い続けていた中川晃教、7年越しに念願叶う！

取材会では、まず劇中歌より「ミュージカル」「ボトムがトップに立つ」「希望がみえた」「ウィルパワー」の4曲が披露された。

主人公の劇作家ニック・ボトムを演じる中川晃教は、初演からの続投。「福田さんとご一緒する現場がある時には『またやりたいです』とずっと言っていました。ようやく実現して、動き始めた喜びに浸っています」と、7年越しの念願が叶った喜びを噛みしめる。

ニックのライバルとなるシェイクスピア役には、新キャストの加藤和樹。加藤は福田組にも初参加となる。加藤は「ご覧いただいた通り、完璧です！」と歌唱披露した「ウィルパワー」の勢いそのまま、自信満々のシェイクスピアを降臨させたように言い切った。

しかし、じわじわと素の表情に戻っていくのを見逃さなかった中川から「言っておきながら照れるのはやめてください（笑）」とツッコまれると、「一番できてないから（笑）」と照れ笑い。

改めて、福田組に初参加してみて「稽古の進むスピードに驚きました」と語った。「ダンスナンバーの仕上がりなど、圧を感じていて･･･」と明かすと、福田が「みんな、先にダンスと歌を仕上げて、この後『ふざける』んです。普通にふざけるだけでは僕が許してくれないと分かっているから（笑）。ここから毎日『何するか』ばっかり考えるようになるんです（笑）」とそのワケを暴露。その言葉に、加藤は「僕も早くその境地に行きたいです」と意気込んだ。

ちなみに、加藤のお気に入りの楽曲は一幕ラストに歌われる「ボトムがトップに立つ」とのこと。「あそこの場面、あっきーさん演じるニックの、すごく幸せそうで、晴れやかな顔が、すごく素敵だなと思って。いつも（稽古場の）自分の席からニコニコしながら見ています」と語った。

“死ぬほど大変”!? タップで歌い踊る「ミュージカル」

本作の白眉とも言えるのが、ミュージカルの歴史と“あるある”を詰め込んだビッグナンバー「ミュージカル」だ。この日披露された稽古でも、アンサンブルキャストを含めた圧巻のタップダンスが炸裂していたが、新キャストとして予言者ノストラダムスを演じる石川は「聴いているお客様は心が弾むようなナンバーですが、やっている方は死ぬほど大変なんです･･･」と告白。

「耳で聴いた時は涙腺が緩むくらい感動したけれど、実際にやってみたら死にそうになる（笑）」と苦労を語りつつも、「お客様にとっては心地よいナンバーがたくさん揃っています」と太鼓判を押した。

また、会見中に福田から「誰か好きなシーンある人！」と無茶振りされたアンサンブルの茶谷健太も、この曲を挙げ、「歴史あるミュージカルのフレーズがいっぱい詰め込まれていて、僕らでも気づかないようなものもあります。全部分かった方は“本当のミュージカルファン”だと思います。SNSで答え合わせをしながら広めていただけたら」と、完璧なコメントで作品をアピールした。

12年越しの“営業”が実った？ 新キャストのキャスティング秘話

大東と矢吹も、今回から参加の新キャストだ。ニックの弟・ナイジェル役の大東と、清教徒の娘ポーシャ役の矢吹は、「希望がみえた」という楽曲で、恋する二人の息の合ったダンスを見せてくれた。

大東について、福田は「りっきーは子どもの頃から知っているんです。息子（翻訳・訳詞・タップ振付・演出補・振付補で参加している福田響志）が『ピーターパン』に出演した時、弟役をやっていたんですね。当時からかわいかったけど、かわいいまま育った」と目を細める。「あっきーやあさこさん（ニックの妻・ビー役の瀬奈じゅん）がナイジェルを見つめる目は、下手したら親（笑）」と、その愛されぶりを明かした。

また、ポーシャ役の矢吹についても「小学生の時から知っている」と福田。「HKTに指原莉乃がいた頃、『奈子を使ってあげてください！』と毎日写真が送られてきていた（笑）」という驚きのエピソードを披露。「そこから12年経って、プロデューサーから名前が挙がった時に『お、奈子だ！』と。指原の営業が12年越しに実りました」と感慨深げだった。

中川と瀬奈以外が新キャストとなったことについて、福田は「初演は初演でやりきったので、役者さんを変えたら全く別のものになるのでは？と思って、プリンシパルキャストは変更させていただきました」と説明した。その影響は、稽古の初日からはっきりと出たようで「まったく違うものになって、より分かりやすくなった」とのこと。

中川晃教は「ミュージカル界の宝」だけどポンコツ？「人間味感じる」

会見中、終始話すキャストの方に向き直り、ニコニコと話を聞いていた中川。今年の中川は、ミュージカル『フランケンシュタイン』、『ジャージー・ボーイズ』に続いての本作と、振り幅がすごい。

そんな中川を、福田は「ミュージカル界の宝」と称えつつ、「でも、案外ポンコツなところもあって（笑）。好き勝手やるんですけど、ちゃんと『面白』を用意してくれる。フランキー・ヴァリ（『ジャージー・ボーイズ』）をやっているあっきーからは想像できないくらい、ものの見事に『売れない劇団の座長』になっているんです。この作品では、初演の時からずっとあっきーの人間味をすごく感じています」と、役との親和性を絶賛。

中川自身は「今回、先輩の禅さんとコンビを組むにあたって、福田さんから『初演から出ている先輩になるんだから、全部受け止めるんだよ。あっきーが引っ張っていくんだよ』というお言葉をいただきました。なので、僕はしっかりと脚本の中に書かれていることを演じて、何が起きても動じず、流れを作る準備はしております！」と、劇中でもリアルでも、座長としての責務を全うする覚悟を見せた。

その言葉どおり、ファンへのメッセージで取材会を締めくくろうとした中川。

「年末年始の忙しい時期かもしれませんが、一年の締めくくりに笑いは必要なんじゃないでしょうか。舞台は、エネルギーをお客様にお届けできる場所だと思います。この作品にはシェイクスピア作品へのオマージュが散りばめられていますが、シェイクスピアも当時は時事ネタをたくさん織り込んで一般大衆を楽しませていたそうです。そういう意味でも、初演をご覧になった方、初めてご覧になる方、ミュージカルをまったく観たことがない方も、全ての人をどんどん引き込んでいく、そんなミュージカルになっていると思います。歌にダンスに、そして笑いの要素。福田さんのマジックにかかりに、ぜひ劇場にお越しください。お待ちしてます！･･･せーの！」

突然の「せーの！」にキャスト一同が「（何のせーの）？！」と戸惑う中、会見は終了。福田が「本当にこういう座長なんです（笑）！」と笑う通り、愛すべき座長を中心としたカンパニーの雰囲気が伝わる取材会となった。

中川演じるニックと、加藤演じるシェイクスピアの“文芸バトル”。そしてキャスト全員で作り上げるハッピーな空間は、年末の笑い納め、年始の笑い初めにぴったりかもしれない。

ミュージカル『サムシング・ロッテン！』は、2025年12月19日（金）から2026年1月2日（金）まで東京・国際フォーラム ホールＣ、1月8日（木）から1月12日（月・祝）までオリックス劇場にて上演される。

（取材・文・撮影／エンタステージ編集部 1号）

ミュージカル『サムシング・ロッテン！』公演情報

	公演情報
タイトル	ミュージカル『サムシング・ロッテン！』
公演期間・会場	【東京公演】 2025年12月19日（金）～2026年1月2日（金） 東京国際フォーラム ホールC 【大阪公演】 2026年1月8日（木）～1月12日（月・祝） オリックス劇場
スタッフ	作詞・作曲：ウェイン・カークパトリック、ケイリー・カークパトリック 脚本：ケイリー・カークパトリック、ジョン・オファレル 演出：福田雄一 翻訳・訳詞：福田響志 振付：上島雪夫
キャスト	中川晃教、加藤和樹、石川禅、大東立樹(CLASS SEVEN) 、矢吹奈子、瀬奈じゅん 岡田誠、高橋卓士、横山敬、植村理乃、岡本華奈、岡本拓也、神谷玲花、小山侑紀、坂元宏旬、髙橋莉瑚、高山裕生、茶谷健太、横山達夫、吉井乃歌、米澤賢人、小林良輔（スウィング）、七理ひなの（スウィング）
チケット情報	＜料金（全席指定・税込）＞ 【東京公演】 S席：15,000円／A席: 10,000円 U-25券：7,000円（当日引換券）【大阪公演】 ＜昼公演＞ S席：15,000円／A席：10,000円／B席：7,000円 U-25券：6,000円（当日引換券） ＜夜公演＞ S席：14,000円／A席：9,000円／B席：6,000円 U-25券：5,000円（当日引換券）
公式サイト	http://www.s-rotten2526.jp
公式SNS	公式X（Twitter）：@s_rotten2526

＼月額550円でアニメ、映画、ドラマ見放題！まずは14日間無料体験／

詳細>>