ダンスエンターテインメント集団「梅棒」の次回公演、『クリス、いってきマス!!!』。タイトルからも分かるように、クリスマスシーズンにぴったりの物語を、2024年末に上演する。
1年振りの梅棒完全新作、笑って泣けて心あたたまるクリスマスファンタジー作品に、今回も多彩なゲストが参加。今回は、梅棒初登場となる元乃木坂46の生駒里奈、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』でスーパー戦隊シリーズ初の21世紀生まれのヒロインを務めた志田こはくと、梅棒より天野一輝と多和田任益に話を聞いた。
生駒里奈&志田こはく、梅棒初登場!
――今回の公演は「クリスマス」がテーマということで、ちょうど上演時期にぴったりな作品ですね。以前、梅棒さんでは「出てほしい人」について会議されていると伺ったのですが、生駒さんと志田さんにお声がけされたきっかけを伺ってもよいでしょうか。
天野:実は、生駒ちゃんにはずっと前からお声がけさせていただいていて。まだ乃木坂46にいらっしゃった頃からかな。
生駒:ほんとですか!
天野:実は何度もお話はしていて。ずっと出てほしかったんです。だから「今回こういう作品だから出てほしかった」というよりは、「常に」出てほしかったという感じで。
生駒:嬉しい!嬉しいけど、なんかすみません・・・!!
天野:いやいや、近々のスケジュールにも関わらず無謀なオファーをしていただけなので(笑)。最近は、いろいろ整えて少し先のスケジュールで劇場が取れるようになり、やっと無謀じゃないお話ができるようになって、念願叶って嬉しいです。
――志田さんは、多和田さんご推薦だったそうですが?
多和田:推薦というか、ゴリ押しです。ゴリゴリに、鬼押しです。
志田:鬼だけに(笑)。
※志田さんは『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』で鬼頭はるか/オニシスター役を演じていたため
多和田:今回の会議とかをする前から、今人さん(伊藤今人)には先に言ってたんですよ。『曇天ガエシ』の稽古をしている頃だったかな、「志田こはくちゃんっていう子がいて、観てほしいんですよ!」って変顔してるこはくちゃんの動画を見せたりしていたんです(笑)。
今人さんも「勢いのある子でおもしろそうだね」って言ってくれたので、『曇天ガエシ』を観に来てもらって、一輝さんたちにも会ってもらったりして、なんやかんや1年ぐらいかけて出演してもらうことが叶いました。
――お二人ともグッドタイミングだったんですね。
生駒:(志田さんを見て)推しなので・・・。
多和田:そう、決まったら生駒ちゃんも絶対喜ぶだろうなと思ってたから、固まった時に一番に教えました。
生駒:呼んでいただく身なのに、たぶん一番喜んでいました(笑)。
志田:そうだったんですか・・・!ありがとうございます。
――その話だけで、ほっこりしますね。お二人は、梅棒さんの公演を最初にご覧になったのはどの公演でしたか?
志田:私は、姉(志田音々)と多和田さんが共演していたことをきっかけに知って、『曇天ガエシ』を観に行きました。
生駒:私は、実際に公演を観に行けたのは前回の『シャッター・ガイ』だったんですが、ずっと前から知っていて。私が秋田にいた頃に通っていたダンススクールのやり方が、梅棒さんと似ているなってずっと思っていたんですよ。だから、いつか出られたらいいなって思っていたんです。実際に見て、想像どおりで懐かしい気持ちになったので、今回出演できることがますます嬉しくなりました。
――久しぶりにがっつり踊る生駒さんを観られるのが楽しみです。
生駒:はい、私も。でもちょっと怖いです(笑)。すべてにおいて衰えているから・・・。だって(乃木坂46を卒業して)もう6年ですよ!在籍していた期間と同じぐらいになっちゃった。
天野:我々に比べたらピチピチですから(笑)。
生駒:いやいや。男の子役っていうのが救いです(笑)。
4人の役どころをちらっとご紹介!出演に向けて思うこと
――ビジュアルが発表されましたが、すごく可愛い少年が・・・。
生駒:ありがとうございます。
天野:今人さんがプロットあげてきた時に、みんな「この役は生駒ちゃんのイメージが湧くね」って言ってたんですよ。まだ、誰がどの役をやるかは一切決めていない状態で話してたんですけど、この2人(生駒さんと志田さん)は割とすんなり物語にハマった感じで。
生駒:そうだったんだ・・・!
――梅棒さんの公演は、いつも幕が開いてからお客様は配役を知ることになると思うんですが、今回は一部先に分かるということで、少しお聞きしてもよろしいですか?
天野:時系列としては30~40年ぐらい前から物語が始まります。当時は、サンタクロースが大人気で。若者たちの中から一人だけがサンタクロースの後継者になれるんです。優秀だったけど、いろいろあって選ばれなかったのがたわでぃの役・ビクター、そんなに優秀じゃなかったけど選ばれたのが僕の役・ニコラスだったんですね。
時が経って、サンタクロースの弟子として家にあがりこんでるのが生駒ちゃんの演じる役・クリスです。でも、サンタ文化が以前より廃れてしまっているんですよ。その原因を作っているのはビクターなんですが、その娘のアンバーはひょんなことからサンタが大大大好き。アンバー役がこはくちゃんになります。こんな感じでいかがでしょう(笑)?
――ありがとうございます!生駒さんと志田さんは、それぞれの役どころについて聞いた時どうお感じになりましたか?
生駒:実際の生駒ちゃんは、ここ最近はクリスマスを無視しています。
一同:(笑)!!
生駒:そんな現実主義な私ですが、クリスという役は、サンタさんを信じていない子どもたちが多くなっている、当のサンタクロースもやる気ないし、いい年だしみたいな中で、そういう環境を変えたいって想いを持っているんですね。そんな純粋な子なので、大人になってしまった自分の心を、稽古をしながらどんどんクリスに近づけていけたらいいなって思っています。
志田:明るく元気で活発なだけでなく、無邪気さをどう表現しようかな、と思っています。少女の役ですが、実際には20歳ですし、子どもにしては身長も高いので、難しいと思うんですが、徐々にちゃんと役に合ったかわいらしさを出せたらいいです。
――多和田さんは、前作、梅棒さん加入後初めて出演されていませんでしたが、久しぶりに外から梅棒さんを見てどんなことを感じていましたか?
多和田:初めて梅棒を観たのが『Shuttered Guy』で、それに感銘を受けて出演を希望して、メンバー加入にまで至ったを希望したのに、思い出のタイトルの再演に出れなかった(笑)。もしかしたら「お前は、『シャッター・ガイ』は客席から観ろ!」ってことなのかもしれないんですけど、やっぱりメンバーという意識で観ると視点が変わることに気づきました。
個々にレベルアップしているだけでなく、当時から考えると梅棒としての表現の幅もすごく広がっているし、メンバーの個性も際立つようになったんだなと思いました。そんなことが頭をよぎっていたので、めっちゃ楽しかったんですけど、以前のような純粋な感じではなかったです。結構冷静に観てた気がする。でも、自分もちゃんとメンバーになったんだと感じられて新鮮でした。次があるからがんばらねば!と思っていました。
――今回はまた、屈折した役どころのようなので、梅棒から離れた場所でされていた舞台やドラマへの挑戦で多和田さんに興味を持った方を、いい意味で裏切れそうですね。
多和田:そうかもしれない。おっしゃっていただいたように、僕を知って今回初めて梅棒を観に来てくださる方や、生駒ちゃんやこはくちゃんのファンで初めて来てくださる方もたくさんいるだろうから、そういう方々に「梅棒ってめっちゃええやん!」ってシンプルに、僕が初めて体感したように思っていただけるのが一番だなって思います。
梅棒に推しが出てくれて嬉しい!って思ってもらえたら最高なので、ゲストの皆さんの個性を輝かせるために、僕らも一生懸命やっていかねばという気持ちです。梅棒おもしろい!っていう人を一人でも増やしたくて僕は梅棒に入ったので、がんばりたいと思います!
――天野さんは、二作連続で女性役をされていて、梅棒の新たな女形として開花されていたように思うんですが・・・お母様似でいらっしゃいますか?
一同:(爆笑)!!
天野:僕、父親の顔を全く知らないもので比較するのが難しいんですけど、でも、お母さん似ってよく言われます(笑)。
生駒:もしかして、今回も期待していました?!
――(笑)。サンタさん役というのも、また天野さんの新境地を観られそうです。
天野:僕、今までこういうポジションの役あんまりやってなかったんですよね。僕ももういい歳なんですが、梅棒の中では一応若手の方なので。守る側というか、お父さんや師匠的なポジションの役はまだあんまり自分の中でピタッとイメージできていないんですけど、どんな感じになるかな?という楽しみも大きいので、がんばります。女性役をやった時もそうですが、新境地開拓ということで。
――ほかのゲストさんや梅棒の皆さんの役どころも楽しみです。
多和田:やっぱりクリスマスと言えば!なキャラクターとかも登場するので、誰がやるのか、楽しみにしておいてほしいです。あとは、今人さんと鶴さん(鶴野輝一さん)がWキャストっていうところもね!
天野:梅棒を知ってくださっている方には分かると思うんですが、まず二人の体格がすごく違うじゃないですか。でも、そういう二人の違いがうまく出る役なんじゃないかなと思っているので、それも楽しみにしてほしいなと思います。
梅棒を知らない人へ
――生駒さんと志田さんは、梅棒さんの公演を最初にご覧になった時、どんな感想を持たれましたか?
生駒:めっちゃ面白い!これこれこれ!これだよー!!っていうのが、率直な感想です(笑)。ほぼ台詞なしで目から入る情報だけで分かる、心で通じ合えているってすごい!と思って。
私はアイドルとして歌って踊ってという表現をやってきたけれど、グループでは決まったことをやり抜くことが大切だったので、梅棒さんの舞台でそれぞれの役が自分の人生を生き生きと踊っているのを見ていたら、小学校の頃、単純にダンスが好きだった頃の自分が心の中で顔を出した気がしました。
梅棒さんを初めて観た方は、きっと私と同じようなことを感じるんじゃないかなと思うし、生駒ちゃんファンの方には「お待たせしました!」って言えるぐらい、自由な私を観てもらえるようにがんばらないといけないなと思いました。
志田:私も、一緒に踊りだしたくなるような、本当に素敵なダンスだなと思って、自分も出てみたいなと思っていたんです。なので、こうやって声かけてくださった時は本当に嬉しくて。
多和田:こはくちゃんは、『曇天ガエシ』を観てくれた時に「なんかすごいものみた!」みたいな顔をしてくれていた印象がありました。そのあと『シャッター・ガイ』を観てくれた時はめっちゃ笑ってて。「私もああいう役やりたい!」って挙げたのが、借金取り立て屋の舎弟役だったので「そこなの?!」と思いつつ(笑)。そこに着目する子は、梅棒に適していると改めて思いました。
――ちなみに、梅棒さんをご存じない方に説明するとしたら、どう表現します?
天野:我々、舞台をやりはじめて10年以上が経ちますが、未だに最適解に辿り着けていません(笑)。誰か教えてほしいです。
多和田:(笑)!でも、2人の話を聞くと「1回観てくれたら分かる」ということですよね。でも、舞台はその1回までのハードルが高いから。
生駒:「初見さんにもってこい!」だと思います。ほんとに舞台を一回も観たことがない方、劇団の公演とか慣れていない方にこそ、もってこい。
志田:確かに。最初に経験って大事だと思うから、ぴったりだと思います。
生駒:あと、お祭りに参加する感覚に近いかも!お祭りって、みんな経験や記憶があるじゃないですか。あの感覚の感じだから、身近に感じてもらえるんじゃないかな。
サンタクロースにまつわる思い出・・・
――ちなみに、皆さんはサンタさん、信じてました?
志田:私、サンタさんを信じていたのは7歳の頃までだったんです。
多和田:なんで信じなくなったの?
志田:お家にホームセキュリティがあって、映像を巻き戻したらお母さんが大きなプレゼントを持って家の中を歩いている姿が映っていて(笑)。
多和田:あ~!お母さんサンタさんの格好しておいて~(笑)!!
天野:現代の弊害だ(笑)。
生駒:私は、日本って煙突ないけど、どこから来るんだろう?って思ってた。幼稚園児ぐらいの頃って、「サンタさんが来るまで寝ない!」って言ってて秒で寝るじゃないですか(笑)。朝、起きたら枕元にプレゼントがあって、お父さんに聞いたら「昨日、お父さんが晩酌してたらサンタさん入ってきたんだよ。サンタさんも一緒にちょっとビール飲んで、がんばってねって寝室から送り出したんだ」って言ったんです。
小学校3年生ぐらいまではわりと楽しく信じてたかな。サプライズが嬉しかったから。でも、小学校高学年になるとほしいものがなくなっちゃって、お金がいいなって思っちゃった(笑)。
――ファンタジーとリアルが交錯する瞬間ですね・・・!
多和田:生駒ちゃんの話を聞いていて思い出した!僕も小さい頃、「寒いから風邪ひいちゃうかもしれないけど、窓を開けていないとサンタさん入ってこれない!」って言って、網戸にして寝てた。寝落ちたら親が閉めてくれていたと思うんですけど、眠いのにギリギリまでがんばって起きていようとしてたなあ。
あと、親から「サンタさん見ちゃったら来年来ないよ!」って言われて、夢か現実か分からないけど人の気配がしても一生懸命見ないふりをしてたことを急に思い出しました。
生駒:何もらったの?
多和田:特撮のおもちゃ!DXロボットシリーズのでっかいやつ。でも一つしか入ってなくて、弟と2人で1個?!って鬼喧嘩した(笑)。
生駒:割と近い!我々、オタク要素あるから(笑)。
多和田:一輝さんは?
天野:僕はですね、枕元にちゃんと靴下(プレゼントを入れてもらう袋)を用意していた気がします。ある時からは、なんとなくサンタさんの正体は知ってるけど置いてる状態。形式的にね。置かなくなったきっかけは・・・記憶が合っていれば、スーパーファミコンをもらった時。靴下に入らないサイズのプレゼントになった時に、一緒に買いに行ってすぐ渡される現物支給になりました(笑)。
一同:(笑)!!
――梅棒さんの公演で、2024年のクリスマスと1年の締めくくりができるのを楽しみにしております!
生駒:生駒ちゃん的には、今年最後の出演作品です。純粋にクリスマスを考えることもなくなっていた、私を含む現代社会の皆様に、2024年の締めに選んでいただけたらと思います。そして、次へのステップになるよう、私自身もがんばりたいと思いますので、劇場に応援しに来てください。
志田:一からみんなで作り上げていって、いい舞台にできるようにがんばります!ぜひ、たくさんの方に足を運んでいただきたいです。よろしくお願いします。
多和田:改めて、この2人は梅棒にぴったりだと思うし、役柄的にも、この4人は物語の中でも深く関わることになるので、一役者としてもすごく楽しみです。そして、梅棒に出たからこそ輝くご本人の魅力があると、僕は思っていて。2人にもそれをぜひ体感してほしいし、ファンの方にも観ていただきたいです。
特に、舞台を観たことがない方は、ほんとにマジで騙されたと思って一度来てみてください。責任取ります!僕が!それぐらいの気持ちです。エンタメ感満載、クリスマス感満載の作品なので、1年の締めくくりにご家族、ご友人と一緒に来ていただけたら楽しいと思います!よろしくお願いいたします。
天野:基本的に、何も知らなくて大丈夫です。劇場に足を運んでいただいて、2時間座っていただければ、必ず「楽しかった!」って思ってもらえる作品づくりをいつも目指していますし、今回もそういう作品になると思います。
12月にいいことがあると、今年いい年だったなって気持ちになれると思うんですよ。2024年がいい年だったなって、2025年を気持ちよく迎えられるような2時間をお届けしたいなと思っていますので、気軽に遊びに来てください。
梅棒『クリス、いってきマス!!!』公演情報
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)