鴻上尚史のプロデュースユニット「KOKAMI@network」(コーカミネットワーク)の第20回公演として、舞台『朝日のような夕日をつれて2024』が開幕した。出演は、玉置玲央、一色洋平、稲葉友、安西慎太郎、小松準弥。新たな顔ぶれで、10年ぶりの上演を迎える。
『朝日のような夕日をつれて』のあらすじは?
『朝日のような夕日をつれて』は、鴻上尚史が結成した劇団「第三舞台」の旗揚げ公演として、鴻上が22歳の時に書いた作品。1981年に初演され、鴻上の代表作として時代と共に内容をアップデートしながら再演され続けてきた。上演回数は、今回で8回目を数える。1985年には初めて紀伊國屋ホールで上演され、1987年には紀伊國屋演劇賞も受賞した。
物語は、サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』を下敷きに、新製品の開発に狂奔するオモチャ会社「立花トーイ」の物語が交差。さらにもうひとつの世界が描かれる。
「立花トーイ」という玩具会社にいる男たちは、会社存続をかけた新商品を作ろうとしていた。登場人物たちは何かを待ち続けている。それは「ゴドーを待ちながら」の世界における「ゴドー」であり、「立花トーイ」においては世の中を変えるような新商品であり、メンバーが心を奪われた女性「ミヨコ」であった。
最終的に、「立花トーイ」は“究極の存在”を完成させる。しかし、この「究極の存在」は必ずしも彼らに救いをもたらすものではなかった。男たちは、実体を無くし存在そのものに変容し、「朝日のような夕日」が沈む世界で救いを待ち続ける。
『朝日のような夕日をつれて』歴代キャスト紹介
『朝日のような夕日をつれて』は、これまで初演から同作に出ている大高洋夫、再演から出演の小須田康人と共に作られてきた。これまで「新しい朝日が見たい」といろんな人に言われながら、「朝日はとても演技的に難しい作品だから、簡単には、できないんです」と答えてきたという鴻上。
【歴代キャスト】
『朝日のような夕日をつれて』(1981年/第三舞台旗揚公演)
出演:大高洋夫/森下義貴/岩谷真哉/名越寿昭/松富哲郎
『朝日のような夕日をつれて’83』
出演:大高洋夫/小須田康人/岩谷真哉/名越寿昭/安田雅弘
『朝日のような夕日をつれて’85』
出演:大高洋夫/小須田康人/池田成志/名越寿昭/伊藤正宏
『朝日のような夕日をつれて’87』
出演:大高洋夫/小須田康人/勝村政信/筧利夫/伊藤正宏
『朝日のような夕日をつれて’91』
出演:大高洋夫/小須田康人/勝村政信/筧利夫/京晋佑
『朝日のような夕日をつれて’97』
出演:大高洋夫/小須田康人/筧利夫/松重豊/松田憲侍
『朝日のような夕日をつれて2014』
出演:大高洋夫/小須田康人/藤井隆/伊礼彼方/玉置玲央
今回、満を持して5人すべてを20代、30代の俳優とし、「新しい朝日」創りが実現した。ニューメンバーは皆、鴻上が「この人と一緒に創りたい。この人たちとなら新しい朝日が創れる」と確信した俳優たちだという。
作・演出:鴻上尚史
『朝日のような夕日をつれて』を好きな人にも、初めて見る人にも、共に満足できる作品を目指しました。
ニューメンバーである若い俳優たちは、みごとにその期待に応えてくれました。
はやく、みなさんにお見せしたいです。
部長=ウラヤマ:玉置玲央
10年経ってまた『朝日のような夕日をつれて』の舞台に立つことになるとは思ってもいませんでした。
思えば立つということ、立ち続けるということを噛み締めて過ごした10年のような気がします。
またこの先の10年を立ち続ける為に、あなたの力が必要なのです。
どうか立ち続ける我々を劇場で目撃してください。
最高の座組みでお待ちしております。
医者=少年:一色洋平
冒頭のダンスシーン。
「朝日といえば」な有名なシーンのひとつで、僕も学生の折、深夜に早大劇研のアトリエで何度も何度も真似をしました。
演じる側になることが叶った今、この振付が「ひとりで立とうとするところから始まる」ことに改めて気付かされ、本当に感動しているんです。ひとりで立とうとした瞬間から、人は美しく気高い、はずだと、信じたい。
今作で、何者にも似ていない体験をあなたに与えられますように。
マーケッター=ゴドー2:稲葉友
マーケッター・ゴドー2・Dを演じます稲葉友です。
長年作品を愛し焦がれている皆様にも、今回初めて朝日と出会う皆様にも楽しんでいただけるよう座組一丸となって準備してまいりました。
心強い座組の皆様と楽しみながら全身全霊の熱と敬意を持って、足を運んでくださる皆様のご来場を心よりお待ちしております。
研究員=ゴドー1:安西慎太郎
まずは「朝日のような夕日をつれて2024」のキャスト・スタッフと出会えた事、
そして一緒に作品を作れた事を心から幸せに思います。
カンパニー全員で魂込めて、気持ちを込めて、この作品に挑み作って参りました。
だから今は、沢山のお客様に早く観て頂きたくて仕方がありません。
どうぞ、「朝日のような夕日をつれて2024」をよろしくっー!
社長=エスカワ:小松準弥
遂に初日を迎えます。胸の高鳴りが止まりません。稽古場から“朝日のような夕日をつれて”の凄まじいパワーを感じ、日々鳥肌が立っている状態で稽古してきましたが、いよいよお客様と共にこの世界を過ごせることに更に高揚しています。
長年愛されてきた歴史を、そして沢山の思いを胸に、素敵なキャスト、カンパニーの皆さんと共に毎公演大切に、全身全霊で板の上に立たせていただきます。
紀伊國屋ホール開場60周年記念公演 KOKAMI@network vol.20『朝日のような夕日をつれて2024』は、8月11日(日)から9月1日(日)まで東京・紀伊國屋ホール、9月6日(金)から9月8日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。
(撮影/田中亜紀)