KOKAMI@network vol.19『ウィングレス(wingless)―翼を持たぬ天使―』が、2023年5月1日(月)に東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて開幕した。初日前には会見とフォトコールが行われ、主演の福田悠太(ふぉ~ゆ~)、大野いと、田畑智子、渡辺いっけい、演出の鴻上尚史らが登壇した。
本作は、これまで数多くの演劇作品の作・演出を手がけている鴻上尚史がプロデュースする「KOKAMI@network」の第19弾公演。「KOKAMI@network」としては約3年半ぶり、鴻上自身としては約2年ぶりに書き上げた新作で、恋をして翼を捨てた元天使が、人間を救う戦いに挑む姿を描く新感覚ファンタジー作品だ。
主演にはふぉ〜ゆ〜の福田悠太。人間の女性に恋をして翼を捨てるも即失恋。もう一度天使に戻るために人間を救う戦いに挑む元天使・榊原一郎役を演じる。榊原が恋をする女性・絹田玲菜役に大野いと、スピリチュアルグループの秘書・岩波大介役を小南光司、玲菜の元恋人である芝隆太役に鈴木康介、家を追い出された小学3年生の森川麻衣役を三上咲良/中川陽葵がWキャストで務める。
また、麻衣の母親でスピリチュアルグループにはまってしまう森川彩子役を田畑智子、榊原が対峙する物語のキーとなるスピリチュアルグループの代表・神山秀雄と神様の2役を渡辺いっけいが演じる。
フォトコールでは、ただ“見守る”ことが仕事だった天使が、恋をすることで感情をあらわにしていく様子が展開された。
好きな人を救いたい。そう願う天使(福田)は、とても優しく玲菜(大野)に微笑みかける。天使として超えてはいけない一線(見守ること以外をしてはいけない)を、どうしても彼女を救いたい!という思いが超えさせてしまう。神様(渡辺)に全てを見透かされ、困惑するも“人間になりたい”と訴えかける。
一方、娘を放ってぶつぶつと公園で何かを唱える森川(田畑)。翼を捨てた元天使・榊原が挑む戦いへの不穏な空気が物語を包みこみ始めていく・・・。
会見で主演の福田が「ずっと天使役をやってみたいな、という思いがありましたので、今回天使役をいただけて光栄です!」と第一声を放つと、演出の鴻上から「本当かー(笑)?!」と間髪入れずにツッコミを入れられた。「本当です!僕、嘘つきませんから!」とかぶせ気味に返答をして笑いを生み、会場の雰囲気を一気に和らげた。
鴻上は「とてもいいメンバーが集まっていただいて、今回特におすすめだと自信を持っております!」と話す。以前から福田の演技には注目していて“上手い俳優がいるな!”と思っていたそう。
その話を聞いて福田は、「鴻上さんのお芝居にはいつか必ず出たいな、と思っていたんですが。オファーをいただいて“本当に上手い役者さんが・・・”って言われた時に、ちょっと勘弁してくれって思ったんです(笑)。お芝居が上手いって言われるより・・・。料理も美味しくないって言われてから食べて、美味しい方が感動が大きいじゃないですか!そのハードルが上がっちゃっているのが自分的には気まずいなと、でもそのハードルを乗り越えてお客様に感動をお届けしたいと思います!」と照れながらも福田流の例えで気持ちを表した。
今回、全員が鴻上作品初出演となるそうで、35年前に鴻上の劇団のオーディションを受けて落ちた、と吐露した渡辺は「今回呼んでいただけて非常に嬉しく、シャカリキにがんばりました!“ベテランだからあんまりダメ出ししないからね”なんて言われていたんですが、どうしてもダメ出しを受けたくて色んなことをやりました(笑)。その結果が今日披露されるのが個人的に嬉しいです。もう福ちゃんとか関係ないです!僕は僕のために、この芝居をがんばります!よろしくお願いいたします」と並々ならぬ思いを熱く語った。
また、鴻上からもらった課題に苦戦していたと緊張気味に話す大野は「普段私は話すスピードがゆっくりなので、“テンポ感の速度を上げて”とか“気持ちを高めて”ということに苦戦して。でも・・・なんとか今日無事“いる”ので!!見ていただけたら嬉しいなという思いです!」と初日を無事に迎えられた高まりを見せると、登壇者全員が「確かに“いる”ね!」と笑顔で答える場面も。
自身が母になってから初の母親役を演じる田畑は「去年から鴻上さんの作品は絶対にダンスがある!と聞いていたので、いざ!お稽古場で蓋を開けたら、私だけ踊らないんです!!」と少し嬉しそうに話すも、シリアスな母親のシーンを演じるにあたって踊っている場合じゃない設定だったと語った。
また、今回楽屋が一緒の福田と渡辺。芝居の話はほとんどせずに“舞台上で会話している感じ“だそう。それがまさにわかるシーンがあるらしく、劇中に出てくるスピリチュアルグループのリーダー(渡辺)と榊原(福田)との丁々発止はかなりの見ものだ!と鴻上も太鼓判を押した。
取材会では始終、福田を中心に軽妙なトークが繰り広げられ、稽古場での仲の良い様子や、劇中の掛け合いの雰囲気がそのまま伝わってきた。
天使の衣装が似合う!と記者に言われて満面の笑みを見せた福田は「今日からずっとこれで行こうかなと思っています♪ふぉ~ゆ~のメンバーにもね、羽を生えさせてもらって・・・みんなが天使になって世を救ってふぉ~ゆ~にしていこうかなと思っています!」と、独特な福田節で所属グループふぉ〜ゆ〜への絡みも忘れないチャーミングな場面も。
最後に「生で天使が見れる。生で神様が見れる。鴻上さんの脚本、演出により濃密なドラマがこの紀伊國屋サザンシアターの舞台上で繰り広げられます。この演劇はこの瞬間、ここでしか見られないので、見た方がいいと思います!」と福田がファンへの挨拶で締め括った。
KOKAMI@network vol.19『ウィングレス(wingless)―翼を持たぬ天使―』は、5月21日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて、5月27日(土)・28日(日)大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。
(取材・文・撮影/カヤシマヒデミ)
KOKAMI@network vol.19『ウィングレス(wingless)―翼を持たぬ天使―』
上演スケジュール
【東京公演】2023年5月1日(月)~5月21日(日) 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
【大阪公演】5月27日(土)・5月28日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
スタッフ・キャスト
【作・演出】鴻上尚史
【出演】
福田悠太(ふぉ〜ゆ〜)
大野いと、小南光司、鈴木康介、三上さくら/中川陽葵(Wキャスト)
渡辺芳博、辻㮈々、湯浅くらら、古谷睦
田畑智子 渡辺いっけい
公式サイト
【公式サイト】https://www.thirdstage.com/knet/wingless/
【公式Twitter】@wingless2023