2023年8月4日(金)に、ブロードウェイミュージカル『ビートルジュース BEETLEJUICE』が開幕する。初日前日にはフォトコールと取材会が行われ、出演者より主演のジェシー(SixTONES)をはじめ、勝地涼、愛加あゆ、清水美依紗、吉野圭吾、瀬奈じゅん、そして演出・上演台本の福田雄一が登壇し、作品について語った。
『ビートルジュース』は、ファンタジックなストーリーと独特の色彩美で知られるティム・バートン監督(『チャーリーとチョコレート工場』『スウィーニー・トッド』など)の映画作品を原作としたミュージカル作品。2019年春にブロードウェイで初演され、同年のトニー賞では8部門にノミネートされた。また、TikTokを中心にZ世代の、普段演劇のチケットを買って劇場に足を運んだことがなかった層に大いに刺さり、一大ムーヴメントを巻き起こしたという。
日本初上陸となる今回は、作品が持つ固有の魅力を生かしながらも、日本オリジナルのノンレプリカ版として上演。主演のジェシーは、本作がミュージカル初主演となる。
ジェシーが演じるのは、死後の世界の厄介者であるバイオエクソシストのビートルジュース。不慮の事故で命を落とし幽霊となったアダム(勝地)とバーバラ(愛加)の夫婦は、自分たちの死後に家に引っ越してきたチャールズ(吉野)と後妻のデリア(瀬奈)、娘のリディア(清水)を追い出すべく、ビートルジュースの力を借りることに。
ビートルジュースの荒唐無稽なアドバイスを元に、アダムとバーバラは住人を脅かすが、なぜか幽霊が見えるリディアが、亡き母への想いと両親への反抗心で協力を申し出る展開に。リディアは家に幽霊がいると訴えて家を手放すよう説得を試みるが、チャールズは降霊術でアダムらを呼び覚まそうとしてしまう。
このままでは朽ち果ててしまうアダムとバーバラを助けるため、リディアはビートルジュースに協力を求めるが、現世への生き返りを企むビートルジュースが暴走し・・・。
フォトコールでは、「The Whole “Being Dead” Thing」「Say My Name」「Creepy Old Guy」の3曲が披露された。
ジェシーは、「え~、ビートル役をやらせていただきます、ジュースです」としょっぱなから飛ばした挨拶で攻める。芝居の中でも「とにかくずっとふざけています。テンションはずっと高め。どこで笑わせられるかということを常に考えながらやらせていただいています」と、作品に染まっている姿を見せた。作りこんだビジュアルの準備時間を聞かれた時も「これはまぁ・・・4日くらい。わはははは!」と勝地と顔を見合わせ大爆笑(実際は30分くらいとのこと)。
佇まいからビートルジュースにぴったりなジェシーだが、「僕でいいのか?という想いと、僕に似た部分もあるという考えではありました。(ブロードウェイ版と同じようにやるわけではないので)違いを出そう、より面白くしようという気持ちで、福田さんやキャストの皆さんと取り組んできました」と語る。
その違いについて、福田は「ブロードウェイ版よりもふざけてると思います」とコメント。ジェシーは「だから、テンションが下がらないように。あとは、やりすぎないようにって思ってます。今までお客さんが入っていない中でもふざけてたんですけど、お客さんを目の前にすると、もっともっと!ってなっちゃうので。気をつけながら、誰かに止めてもらわないと(笑)」と笑った。
そんなジェシーに感化されたように、勝地も「勝地涼役のアダムです!」と自己紹介。「僕と愛加さんは夫婦役なんですが、ビートルジュースに巻き込まれていきます。(ジェシーが)本当にずっとふざけているので、本番で笑わないようにしなきゃと(笑)」と、引っ張られすぎることを心配していた。
会見中も、何かと掛け合いを見せ、仲が良さそうな姿を見せていたジェシーと勝地。楽屋も、ジェシーは自分の楽屋ではなく勝地の楽屋にずっといると暴露していた。しかし、ジェシーは最初、勝地のことを怖い人かと思っていたそうで、「だから、いろんな人に連絡して『どういう人?』って聞いていました。皆さん『いい人』と言ってました」と、探りを入れていたことを告白。
勝地が「俺、菜々緒さんに『ジェシーがこんなこと聞いてきたよ』って言われました(笑)」と言うと、「俺も、鈴木福くんに言われたよ」と福田。すると、ジェシーは「みんな優しいです。いいカンパニーですよ」と心配が杞憂だったと明かした。
勝地は、今回がミュージカル初挑戦。「歌も得意じゃないし、ダンスも得意じゃないので、ご迷惑をおかけしてる状態で。でも愛加さんが『こうだよ!こうだよ!』『一歩目はココだよ!』って常にアイコンタクトで教えてくれるんで、いつも助けられています」と、夫婦役である愛加に感謝していた。
一方、愛加は「私は、劇中で火を扱ったりもしているので、最初の頃はかなりドキドキしながらやっていたのですが、今では気合いで乗り切れるぐらいになりました(笑)」と力強くコメント。勝地に「愛加さんがすごい顔するところがあるんですけど、しっかりすごい顔するんですよ。そういうところは伸び伸びとされてますよね(笑)」と言われると、「福田さんの作品ならではだと思うので!」と、楽しんでいる様子。
瀬奈は、少し遅れて稽古に合流だったため、「私が入った時にはもう、皆さん出来上がってる状態だったので。皆さんの足を引っ張らないように必死にやっていたんですが、吉野さんがすごく引っ張ってくださいました。あゆちゃんと同じように、アイコンタクトしてくださって、なんとかなりました」とこちらも感謝を忘れない。
そんな吉野は、役作りについての苦労を聞かれると「いろんな心配事を抱えているお父さんの役なのですが、気持ちの切り替えが早かったりするんですよ。あっち向いて、こっち向いて・・・気持ちの切り替えの速さに、やる方の心と身体がついていくか心配」とコメント。すると、一斉に「圭吾さん全然苦労してないじゃん(笑)!」と突っ込みが入り、吉野は「最高に楽しんでいます」と満面の笑みを浮かべていた。
登場人物の中で一番真面目な役どころとなる清水は、作品の雰囲気とのバランスを取るのが難しかったと言い、「稽古場からジェシーさんにずっと笑わされているので、本番では押さえて・・・」とまさかの注文。ジェシーが「いやいやいや、僕も仕事でやっているのでね?!」とツッコむと、再び爆笑が巻き起こった。なお、真面目なリディアの“面白い”シーンが最後の最後にあるそうで、ジェシーから「あれは面白い。みんなで笑ったもん」とお墨付きをもらうと「・・・楽しみにしていてください(笑)」と、照れ笑いを見せた。
日本のオリジナル演出について「ある程度、自分らしさを出したいという気持ちがあった」という福田。主演がジェシーになったことで、「ジェシーって、スタンダップコメディの役者さんみたいなんですよ。本当にジェシーからいろんなものをもらって作らせてもらったので、ジェシーが全力で臨んでくれればいいなと思ってます。僕が一番楽しんでます。時間があっという間に感じるぐらい」と、大いに刺激を受けたようだ。
演出には、随所にジェシーらしさが散りばめられているそうで「もう、他の人では考えられない。もうジェシーじゃないとありえないみたいな気持ち。でも、本人はすごく謙虚なんですよ。『ご迷惑をおかけします』みたいなLINEしか送ってこないぐらい」と絶賛。
これに対し、ジェシーは「やっぱり音楽がね、素晴らしいんです。でも、結構難しかった。車の移動中も、 風呂場でも、寝る時も、ずっと聞いていました。日々勉強ですよ。アンサンブルの皆さんがプロなので。尊敬しながら、僕も迷惑かけないようにがんばっています。歌とふざける部分のギャップを観ていただければ」とアピール。誰もが分かるギャグやモノマネが出てくるそうで、「自分のレパートリーにあるものだけでなく、ないものも出てきます。ト書きに書いてあるんですよ」と付け加えた。
福田が「SixTONESのメンバーは観に来てくれるの?」と聞くと、ジェシーは「観に来てくれると思いますよ。スケジュールに入った」と、ちゃっかりチェックしていることを明かした。
また、楽屋には堂本剛からもらった楽屋のれんをかけているという。「2年前に、初めて主演をやらせていただいた時に、『俺、まだいただいたことがないのでお願いします』って事務所の大人の人たちとお話したら(叶いました)」とジェシー。舞台を観に来てくれるかは分からないと言うと、福田が「連絡しておきます」とアシストを約束していた。
見どころについても「見どころ・・・ココ(手首)ですかね」とふざけ倒しつつ、「(ミュージカルに出るのは)最初で最後になるんじゃないですか」とぽつり。しかし、瀬奈は「私はミュージカルスター誕生という感じがします」と太鼓判を押す。さらに福田が「でも、再演は出てくれるつもりらしいんですよ」と、裏では話がついている(?)と暴露していた。正真正銘、ジェシーの代表作の一つになりそうだ。
最後に、ジェシーは改めて「とにかく目と耳と身体で感じていただけたら嬉しいなと。どのシーンも素晴らしいものになっています。いくらマネーがかかってるんだ?と思うぐらい、すごく細かく作り上げていただいています。そして、それぞれ個性ある皆さんが素晴らしいお芝居をされていますので。ぜひ、何も考えずパッと観て、さっと帰って、寝てください!」と観客へと呼びかけ、取材会を締めくくった。
ブロードウェイミュージカル『ビートルジュース』は、8月4日(金)から8月27日(日)まで東京・新橋演舞場にて上演後、愛知・大阪を巡演する。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
ブロードウェイミュージカル『ビートルジュース』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2023年8月4日(金)~8月27日(日) 新橋演舞場
【愛知公演】2023年9月2日(土)~9月8日(金) 御園座
【大阪公演】2023年9月13日(水)~9月27日(水) 大阪松竹座
スタッフ・キャスト
【作詞・作曲】エディ・パーフェクト
【脚本】スコット・ブラウン&アンソニー・キング
【演出・上演台本】福田雄一
【翻訳・訳詞】福田響志
【出演】
ジェシー(SixTONES) 勝地涼 愛加あゆ 清水美依紗 吉野圭吾 瀬奈じゅん
可知寛子 小山侑紀 高橋卓士 横山達夫
坂元宏旬 竹内真里 常住富大 伯鞘麗名 福永悠二 堀江慎也