ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』が、7月21日(木)に東京・新国立劇場にて幕を開けた。また同日の本番前には公開ゲネプロと記者会見が行われ、本作でW主演を務める小池徹平と三浦春馬が取材陣の前に現れた。今回は、この会見の内容を交えつつ舞台の模様を紹介しよう。
会見では、小池が開口一番に「まずはこの春馬の変わりっぷりに驚かれるんじゃないですか?(笑)」と三浦のセクシーな女装姿について一言。それに対して三浦は「多くの方にこの姿を生で見ていただきたいです(笑)」と照れた様子。「何かポーズをとってください」とリクエストされると、三浦はセクシーにその場で回ってみせ、取材陣からは「おぉー!」と歓声が上がった。
本作は2013年のトニー賞でミュージカル作品賞をはじめ6部門を受賞したブロードウェイミュージカル。経営不振に陥った老舗靴工場の跡取り息子チャーリー(小池徹平)とドラァグクイーンのローラ(三浦春馬)の出会いと、靴工場をドラァグクイーン専門のブーツ工場として再生させる軌跡が描かれる。
やはり見どころとなるのは三浦の女装姿であろう。自宅でもヒールの高いブーツを履いて練習していたそうだが、舞台上での三浦の振る舞いには性別を超えた凛々しさと美しさがあった。また見た目だけではなく、ドラァグクイーンであるローラのキャラクター性もユニークだ。靴工場倒産の危機に直面して落ち込むチャーリーをローラは持ち前の明るさと破天荒さで引っ張る。そして、何か問題と直面する度に鋭く言い放たれるローラのブラックジョークはどれも明快で心に響くものばかりだ。この、ローラの名言の数々にも注目してもらいたい。
小池は三浦との関係について「お互い別の大変さを持って今日まで頑張ってきたから今の関係性が築けた」と会見で語っていたが、異彩を放つローラとは対照的に、靴工場を必死に守ろうとするチャーリーを演じる小池の奮闘もまた本作の見どころの一つ。たびたび襲い掛かる難題に対して小池はコミカルとシリアスを演じ分け観客の感情を揺さぶる。そしてチャーリーとローラという対照的な二人の絆が起こす奇跡の数々は奇想天外で、ひと時も目を離すことができない。
そして、さらに舞台を盛り上げるのがシンディー・ローパーが手がけたアップテンポでエモーショナルな音楽だ。なかでも、靴工場の従業員でチャーリーの一番の理解者となるローレンを演じるソニンのシンディー・ローパーをリスペクトしたパフォーマンスはパワフルで思わず惹きつけられる。
ちなみに公開ゲネプロのスタート直前、演出・振付のジェリー・ミッチェルが「出演者と一緒に、拍手をして、泣いたり笑ったり楽しんで!」と客席に向けて明るく挨拶をしていたが、その願いどおり、ゲネプロ中は手拍子や歓声が鳴り止まずライブ会場さながらの雰囲気となっていた。
また会見の最後には、三浦が「音楽、衣装、舞台美術どれも素晴らしい色彩なのですが、なんといっても『他人を受け入れれば自分が、世界が変わる』という大切なメッセージや、お父さんと子供の心温まる素晴らしい物語があります。ぜひ皆さんで見に来てください」と熱い意気込みとメッセージを語って締めくくった。
『キンキーブーツ』は本公演のあと、10月・11月には来日版の上演も決定している。三浦が「とにかくトップクラス!」と語った来日版と日本版を見比べてみるのも面白いだろう。ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』日本版は、7月21日(木)から8月6日(土)まで東京・新国立劇場 中劇場にて上演。その後、大阪公演、東京凱旋公演を行う。日本版、来日版の公演日程は下記のとおり。
◆ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』日本版
【東京公演】7月21日(木)~8月6日(土) 新国立劇場 中劇場
【大阪公演】8月13日(土)~8月22日(月) オリックス劇場
【東京凱旋公演】8月28日(日)~9月4日(日) 東急シアターオーブ
◆ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』来日版
【東京公演】10月5日(水)~10月30日(日) 東急シアターオーブ
【大阪公演】11月2日(水)~11月6日(日) オリックス劇場
(取材/大宮ガスト)