2023年4月から5月にかけて東京・新国立劇場 中劇場にて上演される丸美屋食品ミュージカル『アニー』。上演に先駆けて2022年10月30日（日）に主役のアニー・孤児役のオーディション合格者発表と取材会が行われた。
本作は、1924年からアメリカの新聞で連載がスタートした漫画「ザ・リトル・オーファン・アニー（小さい孤児アニー）」をもとに、1977年にブロードウェイでミュージカル化。同年のトニー賞で作品賞をはじめ7部門を受賞し、現在も世界各国で上演され続けている。
日本公演は、1986年に日本テレビ主催で上演をスタート。オーディションのドキュメンタリー番組も人気を博し、公演の総入場者数は約187万人（2022年公演終了時点）を超え、多くの人たちに心温まる感動を与え続ける国民的ミュージカルとなっている。
演出には2017年より『天使にラブ・ソングを～シスター・アクト～』『ヘア・スプレー』などをジャンルにとらわれず幅広く活躍する演出家・山田和也が今年も務める。
今回のオーディションでは主演のアニー、アニーと同じ孤児院にいる孤児モリー、ケイト、テシー、ペパー、ジュライ、ダフィ役を各2名のダブルキャストで総勢14名の合格が発表された。
合格者発表会では、発表予定の17時が過ぎても始まらず、会場で待つ子どもたちのそわそわと浮足立っている様子が伝わってきた。
10月29日・30日の2日間で最終選考が行われ、演出家の山田が受験者の子どもたちに「今まであなたたちが重ねてきた努力が無駄になることは一切ない。これからもずっと好きで続けてくれたらいいな、と思います。それはあなた達の将来に絶対に役に立ちます」と激励。また、今年は選考が難航したらしく「今年は本当に接戦。甲乙つけがたいというか、一人一人が皆素敵だったので選べない！みたいな状況で（発表時間が）遅れてしまいました･･･ごめんなさい」と言うと、受験者の子どもたちは朗らかに笑い声をあげながら「大丈夫です！！」と元気に答え、緊張感に包まれていた会場が和やかな空気になった。
合格者が発表されると、受験者全員が大きな拍手を合格者に送っている姿が印象的だった。発表が終わると全員で『アニー』の劇中歌「トゥモロー」を合唱。笑顔でめいっぱい歌ったり、涙ながらに歌ったり･･･それぞれがこのオーディションに懸けてきた思いが伝わり、歌声に胸を打たれた。合格者は下記14名。
【配役／合格者】
アニー役：深町ようこ／西光里咲
モリー役：井手陽菜乃／南里侑明
ケイト役：和田愛海／和田知怜
テシー役：大矢結姫／川野未琴
ペパー役：難波夏未／橋元優
ジュライ役：坂本柚月／小金花奈
ダフィ役：能重歩実／山﨑結香
取材会では新アニー役の深町ようこ・西光里咲の2人と演出の山田和也が対面取材会に応じた。
屈託のない笑顔と笑い声をあげながら登場した新アニーの2人。2人が取材会場に入った瞬間に部屋の空気がパッと明るくなった。
今年のオーディションに関して演出家の山田は「今年は選ぶのが難しい年だった。最終的に決まった皆はこれだ！と感じたんですが、そこが見つかるまではなかなか難しくて･･･」と合格者を決めるまでにパズルのピースを埋めるように何度も話し合いを重ねたそう。
今年のアニー役の良さを聞かれると、「やっぱり（2人とも）明るいじゃないですか。“アニー”に明るいってすごく大事なことだと思っていて。オーディションって緊張したり上手くいかなかったりして悔しい！と思ったりするんだろうけど、そういう重圧の中でも明るく居れる、この2人の明るさは本物だなって感じがするんですよね。それが一番の決め手」と話した。
同じ事務所に所属している深町と西光。レッスンではあまり一緒になったことはないそうだが、前回の出演作 ミュージカル『メリーポピンズ』（2022）でも同じ役（ジューン・バンクス役）を演じたから仲は良いと明かすと、そのエピソードを知らなかった山田は「またおんなじ役をやるってこと!?」と驚く場面も。
また、2人とも初めて見たミュージカルが『アニー』だそうで、深町は何度も観劇するうちに「やってみたい！」という気持ちが強くなり今回2回目のオーディションで合格。西光は当初モリー役をやりたかったそうだが、今回3回目で見事アニー役に合格したと、憧れのミュージカル作品に合格した喜びを嚙みしめている様子が伺えた。
どんな“アニー”になりたいか、という問いに深町は「素敵なアニーだったな、と思ってくれるような、勇気を与えられるアニーになっていけたらいいなと思います！」と笑顔で答え、西光は「明るく元気で、強い心を持った私なりのアニーを演じられたらいいなと思っております！」と、歴史ある役に挑む2人はそれぞれ意気込みを語ってくれた。
新生アニー・孤児達による、丸美屋食品ミュージカル『アニー』は2023年4月から5月にかけて東京・新国立劇場 中劇場にて上演予定。
【公式サイト】https://www.ntv.co.jp/annie/
（取材・文／カヤシマヒデミ、写真／オフィシャル提供）
