新演出でテンポアップ!野村里桜と会百花のミュージカル『アニー』ハッピー感増し増しで開幕

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ミュージカル『アニー』が、2017年4月22日(土)に東京・新国立劇場 中劇場にて開幕した。1986年の日本初演以来、多くの人に愛されてきた本作が、16年ぶりに新演出で生まれ変わる。初日前に行われた囲み会見には、アニー役の野村里桜と会百花、ウォーバックス役の藤本隆宏、ミス・ハニガン役のマルシアが登壇し、新生『アニー』について語った。

新演出を手掛けたのは、ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』や『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』などの演出で知られる山田和也。昨年12月に行なわれた製作発表の際「原点に返り、様々なことを削ぎ落したシンプルなものにしようと思っている」とプランを明かしていた山田。その言葉どおり、公開ゲネプロでは翻訳台本、振付、舞台美術、衣裳も一新された新たな『アニー』の誕生を存分に感じさせてくれた。

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昨年までの『アニー』は、Wキャストのチーム名を“スマイル組”‟トゥモロー組”としてきたが、今年は“チーム・バケツ”と“チーム・モップ”となっている。“チーム・バケツ”として、初日のアニー役を担う野村は「緊張してうまくできるか分からないけれど、失敗しても笑顔でがんばろうと思います」と率直な気持ちを口にした。そして、ゲネプロを終えたばかりの“チーム・バケツ”の会は「とても緊張しているんですけど、大人キャストや孤児役の皆がいるので、安心して(本番の)舞台に立てると思います」と、ドキドキする胸を抑えながらもしっかりとコメント。

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そんな二人の姿を横目に「子どもたちは伸び伸びとしていて、緊張しているのはむしろ大人のほう(笑)」と苦笑いをこぼした藤本。新演出については「衣裳も舞台のセットも、すべて変わっています。そして、何よりテンポアップしています。台詞や曲は変わらずですが、テンポ感のあるスピーディな演出になっているので、それを感じてもらえたら」と、見どころを明かした。

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子どもたちとの共演シーンの多いマルシアは「子どもって成長が早いから、毎回違うの(笑)」と笑いつつ「二人のアニーもそれぞれに違っていて、伝わってくるものが違うと思います。全部新しいから、ずっと『アニー』を観てきたファンの方にも楽しんでもらえるといいです」とアピール。そして「最後のパズルのピースは、お客様。一緒に楽しみたいですね」と呼びかけた。

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オープニングのオーケストラの演奏から、ウキウキと心躍るような雰囲気に満ちていて、何を取っても新しい今回の『アニー』。大きく変わっているのが、孤児院を抜け出したアニーが迷い込んだバラック地帯に住む住人たちが歌う「Hooverville」が追加された点だろう。また、舞台の奥行きを存分に活用し、ニューヨークの街並みやウォーバックスの豪邸をダイナミックに表現した二村周作による舞台美術と、その空間を華やかに彩る広崎うらんの振付が融合する瞬間はとても見事だ。

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各登場人物の造形も、華やかな明るさを増した。“ハゲ頭”がトレードマークだった大富豪のウォーバックスだったが、藤本が演じるウォーバックスは黒髪ふさふさ。アニーとのやりとりの中に関係にも若さを感じさせ、新鮮な印象を抱かせる。

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また、ミス・ハニガンを演じるマルシアは“悪い大人”を好演。女性としての幸せを求めるかわいらしさやセクシーさも漂わせつつ、子どもがキライ!という態度もコミカルに見せていく。そして、青柳塁斗演じるハニガンの弟・ルースターと山本紗也加演じる恋人リリーもいけないことに手を染める“悪いヤツ”なのだが、どこか憎めない。また、青柳の身体能力を活かしたルースターの登場シーンは、ぜひご注目いただきたいところだ。

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そして、ウォーバックスの秘書で彼とアニーを引き合わせるきっかけとなるグレース役は、彩乃かなみが演じる。演出の変化と相まって、彩乃が演じるグレースはこれまでより明晰であり快活な女性に映る。さらに、アニーを見守る優しい眼差しやウォーバックスへの恋心を含んだ視線などからは、より大きな愛情を感じさせた。

子どもたちも、アンサンブルも、一人一人が生き生きと輝く。新演出の『アニー』は、そんなキャスト陣が一丸となって放つハッピー感が増し増しで、明日への希望をより強く感じさせてくれる仕上がりとなっていた。

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2017丸美屋食品ミュージカル『アニー』は、5月8日(月)まで東京・新国立劇場 中劇場にて上演。その後、大阪・宮城・愛知・長野を巡演する。日程は以下のとおり。

【東京公演】2017年4月22日(土)~5月8日(月) 新国立劇場 中劇場
【大阪公演】2017年8月10日(木)~8月15日(火) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【宮城公演】2017年8月19日(土)~8月20日(日) 東京エレクトロンホール宮城
【愛知公演】2017年8月25日(金)~8月27日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール(愛知芸術文化センター)
【長野公演】2017年9月3日(日) サントミューゼ 大ホール(交流文化芸術センター)

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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