大竹しのぶ、薮宏太が名作に挑む!『ふるあめりかに袖はぬらさじ』公開ゲネプロレポート

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大竹しのぶ、薮宏太が名作に挑む!『ふるあめりかに袖はぬらさじ』公開ゲネプロレポート

2023年9月2日に東京・新橋演舞場で大竹しのぶ主演舞台『ふるあめりかに袖はぬらさじ』が開幕。初日前日に囲み取材と公開ゲネプロが行われ、主演を務める大竹の他、薮宏太(Hay! Say! JUMP)、美村里江、山口馬木也、前川泰之、徳井優、風間杜夫らが登壇した。

本作は1970年に発表された有吉佐和子著の短編小説「亀遊の死」を元に、1972年に作者自身によって戯曲化。同年文学座にて初演以後、歌舞伎や音楽劇と様々な演出で再演が行われてきた。

大竹しのぶ、薮宏太が名作に挑む!『ふるあめりかに袖はぬらさじ』公開ゲネプロレポート

主演・大竹しのぶは数々の名優たちが演じた芸者・お園を演じ、劇中で三味線の生演奏にも挑戦している。大竹の他、遊郭で通訳として働く実直な青年の藤吉を薮宏太(Hay! Say! JUMP)、遊郭「岩亀楼」の花魁で藤吉と恋仲の亀遊に美村里江、思誠塾の門人・岡田には山口馬木也、亀遊を身請けしようとするアメリカ人・イルウス役を前川泰之、イルウスと共に遊郭にやってくる薬種問屋・大種屋に徳井優、そして、亀遊の死を“攘夷女郎”として噂を広めることに一役買った「岩亀楼」の主人を風間杜夫が担っている。また、演出は劇団新派文芸部で、新派の公演や歌舞伎、ミュージカルなど幅広い作品の演出を手掛けてきた齋藤雅文が務めている。

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会見は、大竹が「この作品に巡り会えた喜びを感じています。この大好きな演舞場で、お客様がお芝居ってこんなに凄いんだ! 面白いんだ! と思ってもらえるように頑張っていきたいと思います」と熱い想いを語り始まった。稽古場での様子と普段の雰囲気がガラっと変わるという大竹。その様子が凄すぎて、徳井と山口が畏れ多いという意味合いで“怖い”と発する場面も。その話を受けて風間は「大竹しのぶさんとは若い頃から色々共演しておりますが、いまだに怖いです(笑)」と茶化すと会場がどっと笑いに包まれた。

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大竹の印象を聞かれた薮は「皆さんしのぶさんのことを怖いって言いますが、自分はまったく怖くないです!」と笑顔で発言、すると大竹が「えらい! いいぞ!」と笑顔で合いの手を入れる。さらに薮は「セリフのイントネーションや強さ。劇場も広いので、少し目線を変えるだけで伝わり方も違う、とか色んなアドレスを(大竹が)してくださる。無理強いするわけではなく、“そういったやり方もあるよ”、“薮くんの中で消化してやってみたらいいんじゃない”という事をいつも教えてくださるので、頭が上がりません(笑)」と明かした。

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舞台に苦手意識があったという前川も稽古について「すごく穏やかな雰囲気の現場。皆さんと楽しみながら、持てる力で毎日ぶつかっていく感じ。大竹さんは普段接している姿と、(芝居に入る)スイッチの入り具合がやっぱり凄い」と明かす。

大竹しのぶ、薮宏太が名作に挑む!『ふるあめりかに袖はぬらさじ』公開ゲネプロレポート

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さらに大竹の芝居に入るスイッチと役を作っていく過程に驚嘆すると口々に話す共演者達。山口と徳井も「役を作る上で、僕らでは考えられないような現象が(舞台上で)起きておりまして、それを見ていると怖くなります。僕もそっち側に行かなくてはいけないなと。果たしてあの様に出来るのか・・・。やっぱり見ていて凄いんですよ!本当にリアルに怖いとかではないです(笑)」と大竹の印象を話す。

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美村も稽古後に大竹に教わることも多いらしく、「諦めずにしのぶさんは、きっと出来る!っていう視線で見てくれるのが本当にありがたかったです」と言う。大竹は「自分も上手になりたい。一緒に登っていきたいと思います」と座長の心意気を垣間みせた。

また今回が初の本格時代劇となる薮は稽古の浴衣を新調したとのこと。毎日着て、稽古休みの時に自分で手洗いしていたそうで、「黒い浴衣だったので、洗うと染料が濁って毎回お風呂場が黒くなってしまって大変でした(笑)」といったエピソードを披露した。舞台美術の遊郭の壁の色に親しみがあるそうで「この濃い青、藍色っていうんですか?このデザインが凄く素敵で・・・僕の家の壁紙と同じ色なんですよ!! すごくセンスがいいなと思いまして!!」とテンションいうチャーミングな部分も垣間見せた。

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最後に大竹が初日への意気込みを「笑って泣けて考えさせられるという、芝居本来の力を持っている作品だなと改めて思います。本当に面白い作品なので、心からたくさんの人に観てもらって、この作品がずーっとずーっと、まぁ続いていくんでしょうけど(笑)続いていけたらいいな、と心から思いました。そのために私たちが良い芝居をしなければいけないので、一生懸命頑張りたいと思います!」と締め括った。

大竹しのぶ、薮宏太が名作に挑む!『ふるあめりかに袖はぬらさじ』公開ゲネプロレポート

物語は開港間もない横浜で、1人の遊女の死をめぐり嘘と真実が交錯する模様を個性的な登場人物と共に描かれる。 “尊皇攘夷派”と “開国派”が対立し、時代の転換期を迎えていた幕末。主人公の芸者・お園(大竹)は旧知の仲だった遊女の亀遊(美村)の病床に見舞いに行く。以前と比べ元気になった様子の亀遊を見てお園は、その理由が藤吉(薮)であること、2人の恋仲に気づき束の間の穏やかな時間を過ごす。

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3ヶ月後、薬問屋の大種屋(徳井)がアメリカ人の商人・イルウス(前川)を連れて遊郭「岩亀楼」を訪れていた。そこに病床から回復した亀遊が現れると、その美しさに一目でイルウスは気に入ってしまう。通訳として居合わせた藤吉やお園が止めるのも聞かず、「岩亀楼」の主人(風間)は金に目がくらみ、とうとうイルウスと亀遊の身請け話を決めてしまう。その知らせを亀遊に伝えにいったお園は、叶わぬ恋を儚んで自ら命を絶っている亀遊の姿を目にして戻ってきてしまう・・・。

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1人の遊女の死が政治的な思惑に巻き込まれて、徐々に時代の歪みの中で膨らんで展開していく物語は、嘘と真実が凄まじいスピードで広まってしまう現代社会を彷彿とさせる。

また、会見で風間が舞台美術について「時代絵巻物のよう」と話していたのがよく分かる。美しい巻物がどんどんと展開していくように場面転換していく様は息を呑む美しさだ。

お園がついた“嘘”は誰かを救い、助けるのか。重ねた嘘や時代に翻弄されながら、哀しくもたくましく生きる人々の姿がまるで絵巻物を読んでいるかのように進んでいく展開に、最後まで目が離せないだろう。

『ふるあめりかに袖はぬらさじ』は9月26日(火)まで東京・新橋演舞場にて上演される。上演時間は第一幕60分、休憩30分、第二幕80分。

(取材・文・撮影/カヤシマヒデミ)

目次

舞台『ふるあめりかに袖はぬらさじ』公演情報

上演スケジュール

2023年9月2日(土)~9月26日(火) 東京・新橋演舞場

スタッフ・キャスト

【作】有吉佐和子
【演出】齋藤雅文

【キャスト】
お園:大竹しのぶ
 
藤吉:薮宏太(Hey! Say! JUMP)
亀遊:美村里江
思誠塾の門人 岡田:山口馬木也
イルウス:前川泰之
大種屋:徳井優
岩亀楼主人:風間杜夫

ほか

公式リンク

【公式サイト】 https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202309_enbujo/
【公式Twitter】@shochiku_corp

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