アジア初上演の『BE MORE CHILL』開幕! 薮宏太「ホットな時期にクールになれる!」

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アジア初上演の『BE MORE CHILL』開幕! 薮宏太「ホットな時期にクールになれる!」

2022年7月25日にミュージカル『BE MORE CHILL(ビー・モア・チル)』が東京・新国立劇場中劇場にて開幕した。その初日当日にプレスコールと取材会が行われ、薮宏太(Hey! Say! JUMP)、加藤清史郎、井上小百合、横山だいすけ、スティーヴン・ブラケット(演出)が登壇した。

本作は、アメリカ人作家ネッド・ヴィジーニによる同名小説をもとに、脚本のジョー・トラックス、音楽/歌詞のジョー・アイコニスによって2015年にニュージャージー州で誕生したミュージカル。一ヶ月弱という短い公演期間だったにも関わらず、YouTubeで公開された楽曲が注目を集め、2015年にリリースしたキャストアルバムが、アメリカ国内のみならず世界各国のオンライン上で若者を中心に話題を呼び、BillboardキャストアルバムチャートTOP10に浮上するなど支持を受け、オフ・ブロードウェイ公演が2018年8月に開幕。

そして2019年2月よりオン・ブロードウェイで、同年のトニー賞オリジナル楽曲賞ほか、数多くの賞にノミネートされるなど高い評価を得た。2020年2月にはロンドンで上演が開始するも、新型コロナウィルス感染症の影響により短期間で公演が中断。しかし2021年5月にはウエストエンドで公演が再開され、再度熱狂的な反響を呼んだ。

日本初演となる本作で主演を務める薮は、冴えない男子高校生のジェレミーを演じる。とある日本製のスーパーコンピューター入りの錠剤「スクイップ」を手に入れることで超クールな青年に生まれ変わり、学校の人気者になっていくも、スクイップに操られ次第に自分自身を見失っていく役柄となっている。

共演は、親友のマイケルに加藤、ジェレミーが想いを寄せるヒロインのクリスティンに井上、擬人化されたスクイップに横山。そのほかに、木戸邑弥、内海啓貴、斎藤瑠希、ダンドイ舞莉花、ラリソン彩華、ブラザートムが名を連ねる。そして、今年の第75回トニー賞授賞式にて演出を手掛けた『ア・ストレンジ・ループ』がミュージカル作品賞に輝いたスティーヴン・ブラケットが、本作で受賞後初の演出を手掛けている。

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プレスコールでは、3曲のミュージカル・ナンバーが公開された。一曲目はオープニング・ナンバーの「生き延びたい」。ジェレミーの引きこもりの父親(ブラザートム)との会話から通学、そして高校生活が描かれるシーンでの楽曲だ。ポップなリズムのナンバーの中に、自分の存在場所を見つけられずに苦悩するジェレミーの心情を薮が切実に歌い上げれば、井上が風変わりながらも魅力的なクリスティンを生き生きと演じていた。等身大の若者たちがポップに描かれ、とてもワクワクさせられる。

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二曲目は加藤が演じるマイケルのソロナンバー『バスルームのマイケル』。パーティー中にバスルームにこもって自分が人気者ではないと高校生らしい悩みにうちひしがれる姿を、加藤が心情たっぷりに歌い演じていた。そして、三曲目は『哀れな子を救え』。クールになったジェレミーが少女に錠剤「スクイップ」を勧めると、横山演じるスクイップが操るコーラスと共に現れて全員で歌唱となるシーン。テクノな映像を背景に、横山を中心にキャストたちが無機的なダンスと歌唱で、スーパーコンピューターのような世界観をステージ上に表現していた。

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プレスコールを終えて取材会に登壇した薮たちは、まずトニー賞受賞のスティーブンに「コングラチュレーション!」と祝福。そのスティーブンは「初来日で、東京でこのショーをやることを嬉しく思っています。暑いですけど(笑)、素晴らしい国で、素晴らしいクールな皆さんと仕事ができてとても嬉しいです」と喜びを露わにした。

稽古中にトニー賞受賞を聞いたという薮は「稽古場が大盛り上がりで(笑)。スティーブンが稽古場の扉を開けた瞬間に『コングラチュレーション!』の言葉とクラッカーで迎えました」とエピソードを披露。スティーブンも「サプライズの誕生日パーティーみたいで、クレイジーでした(笑)。とても温かく迎えいれてくれました」と笑顔を見せると、「すごいキャストの皆さんでした。最初、ちょっとだけ言葉が分からないことに不安があったんですがすぐにみんなと同じグルーヴに乗ることができて、楽しんで、ワイルドで爆発的なエネルギーのあるリハーサルができました」と稽古を振り返った。

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トニー賞を受賞した演出家に演出を受けることについて、薮は「人生で一度あるかないかというぐらいなので、この貴重な体験というのうを無駄にしないように、スティーブンの言葉を一言一句聞かなきゃという思いでいました」と明かした。

そんな薮への印象について、スティーブンは「ほんとにほんとにほんとにワンダフルな方です。このショーのために全力で取り組んでくれているし、何でもトライしてくれる、宏太さんだけでなく、みなさんと仕事をできて誇りに思います」とカンパニーをベタ褒め。

約13年前にドラマで共演した仲だという薮と加藤。当時を振り返りながら薮は「僕は19歳で、清ちゃんは子供店長をやってた時。久々に会ったらすごい大人になっていて、でもちょっとやんちゃな部分も残っていたので、会った時にこれは親友の役もイケるなと思いました。年齢的に一回り以上離れていますけど(笑)」とコメント。

お互いに稽古場でサッカーのユニフォームを着ていたことで盛り上がったという加藤は、「共通の趣味があって、毎日嬉しくてコアなネタで2人で盛り上がっていました」と思い返した。そして、高校生の親友役ということについて、「昔も今も変わらず、僕の大好きなお兄ちゃんみたいな感覚は残っています。ただ、今回は高校生の同い年で親友役ということで、その距離に関しては近づいたというか、心の距離的なところは稽古期間を使って縮めることができたと僕は思っています」と自信を覗かせた。

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錠剤の擬人化というユニークなキャラクターを演じる横山は、役柄について「魔法が使えるみたいな感じなので、手を出すとこうちゃんがコロコロ転がるんです」と説明。すると、薮が「聞きました?僕のこと、『こうちゃん』と呼んでいるんです(笑)。『こうちゃん』って呼ぶのは家族ぐらいなのですごく嬉しいです」と喜ぶと、横山も思わずはにかんだ。さらに、薮の印象について横山は「こうちゃんがすごくカッコイイ印象だったので、オタク役ということに驚いたんですけど、オタクっぽさが全開で早くお客さんに観てもらいたいです。そこからクールなCHILL系になっていく変化をぜひ観てほしいです」とアピールした。

そのオタク役について、薮は「稽古の後にHey! Say! JUMPの仕事で歌番組の収録とかがあって、切り替えが大変でした(笑)。でも、僕はオタク気質なので、どっちかというすぐなれると思います」と役作りについて語った。

アジア初上演の『BE MORE CHILL』開幕! 薮宏太「ホットな時期にクールになれる!」

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ヒロイン役となる井上は、役柄について「少女漫画に出てくるようなかわいらしいヒロインを想像してくると『え?』となるような感じのキャラクターです。周りから見たら変なやつなんですけど、ジェレミーからしたらすごく魅力的に見える女の子というあんばいを気をつけながら演じています」と説明し、「結構共通点が多くて、わりと自分と近いかも(笑)」と明かした。相手役となる薮の印象を尋ねられると、「お芝居の中でのジェレミーと違って、すごく頼れる方で、周りをすごく見ていて円滑に進めて仕切ってくれる方です。本当にジェレミーと全然違う!」と絶賛。その言葉に、薮は「今の流れを太文字で書いてください!」と記者に訴えて笑いを誘った。

会場から人気者になる錠剤があったら飲みたいかと尋ねられると、薮は「飲みたいですね。さらに人気が出るように(笑)。人気が出るのも素敵ですけど、他のことで変わりたくて、僕は美容室で2時間も座って友達でもない人としゃべるのが苦手で。ヘアチェンとかをスクイップにしてほしいです。いつも寝癖で稽古場とか現場に行って、メイクさんを困らせたりするので、そこを一瞬で変わるようになりたいです」と回答。

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加藤は「僕も人気者になりたいというか、スクイップって本当にいろんなことができるので、僕は緊張するタイプだから緊張を感じなくさせるという力を与えてくれたら。プレスコールのソロもすごく緊張して。普段と違って芝居なしで突然歌うということで余計な緊張がありましたし、あの歌をアジア人として初めて舞台上で歌う人間として緊張してました」とプレスコールのシーンを思い返して苦笑いを浮かべた。そして、横山は「僕はすぐ飲んじゃいます!(笑)。僕は運動が苦手で、泳げないので飲んで心おきなく泳ぎたいし、それにダンスを踊りたいです」と答えた。

そんな中、井上は「今回のお芝居の中でも、みんなそれぞれがいろんな悩みや葛藤を抱えていて、そこが逆に素敵だなと思ってていて、そこが魅力だから、そこは改善しなくていいなと思うんです」と1人だけ飲まない選択をすると、登壇者たちが「まさにクリスティー!」と褒め称えた。

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取材会の後半では、客席からブラザートムが記者に扮して質問を飛ばすサプライズに登壇者たちも思わず困惑。そんな登壇者たちを気にせずブラザートムは、今日、スティーブンが遅刻したことバラしたり、8月4日が誕生日の加藤へ登壇者たちでバースデーソングを歌ってほしいとお願いしたりなど、無茶ぶりを連発。さらに薮へ、「薮」という名字の方に観に来てもらうためにメッセージを求めると、薮が真面目に「母親が来るので、まず一人来ます。全国の薮家に恥じないように演じるので、薮代表として頑張ります!」と意気込みを披露して、会場は笑いに包まれた。

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最後に、薮は「アジアで初めて上演されるということで、ホットな時期ですけど、クールに皆さんがなれるように全員頑張ります。本当に魅力的なキャラクターがいますので、自分のお気に入りのキャラクターを見つけて、好きになっておうちに帰っていただければと思います。キャストとスタッフ、全員でしっかり作品を大切に演じていきたいと思います」とメッセージを送り、会見を締めくくった。

(取材・文・写真/櫻井宏充)

目次

ミュージカル『BE MORE CHILL(ビー・モア・チル)』公演情報

上演スケジュール・チケット

【東京公演】2022年7月25日(月)~8月10日(水) 新国立劇場 中劇場
【福岡公演】2022年8月20日(土)・8月21日(日) キャナルシティ劇場
【大阪公演】2022年8月27日(土)~8月29日(月) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

スタッフ・キャスト

【原作】ネッド・ヴィジーニ
【脚本】ジョー・トラックス
【音楽・歌詞】ジョー・アイコニス

【演出】スティーヴン・ブラケット
【振付】チェイス・ブロック

【出演】
薮宏太(Hey! Say! JUMP) 加藤清史郎 井上小百合 木戸邑弥 内海啓貴
斎藤瑠希 ダンドイ舞莉花 ラリソン彩華 ブラザートム 横山だいすけ

Produced by Tokyo Broadcasting System Television, Gerald Goehring, Lisa Dozier, and Kumiko Yoshii by arrangement with Bill Kenwright

あらすじ

ジェレミー(薮宏太)はニュージャージー州にある高校に通う冴えない男の子。同級生のクリスティン(井上小百合)に密かに想いを寄せる彼は、ある日、学校のいじめっ子に日本製の超クールになれる「SQUIP=スクイップ」‹Super Quantum Unit Intel Processor›というスーパーコンピューター入りの錠剤の存在を聞く。親友のマイケル(加藤清史郎)にも相談し悩んだ末、この錠剤を手に入れたジェレミーはそれを飲むのだった。

そのスクイップ(横山だいすけ)のお陰で一時は何もかも思い通りになり、人気者になってきたジェレミーだったが、次第にスクイップに乗っ取られ、マイケルとの仲も悪くなり、人生が空回りし始める・・・。

【公式サイト】https://www.tbs.co.jp/bmc2022/

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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