11月4日配信「夢野久作著/瓶詰地獄」で魅せるギャップ!北村諒の「読奏劇」収録レポート

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「Dream Stage(ドリームステージ)-読奏劇-」の第6弾、北村諒の朗読「夢野久作 著 / 瓶詰地獄」が、11月4日(水)21:00より配信開始となる。この収録時を取材したレポートをお届けする。

本企画には、北村のほか、有澤樟太郎、太田基裕、大平峻也、崎山つばさ、佐藤流司、橋本祥平、牧島輝(50音順)と計8名の俳優が参加。各出演者が読む文学作品については、俳優の希望に沿うものをピックアップしてきたが、“不思議な感覚になるような作品が好き”だという北村は“奇作”とも呼ばれる夢野久作の作品を選んだという。

無人島に漂流した二人の兄妹が流した3通のボトルメッセージから物語が展開していく、手紙形式で書かれた本作。北村は繊細に兄と妹の声色を使い分けながらその手紙を読んでいった。手紙を書くシーンも撮影されたが、人前で何かを書いた経験はあまりなく「書くの恥ずっ」と照れたようにこぼすも、いざ撮影が始まるとその手紙を書く横顔、指先、苦悩によって眉間に皺が寄せられる姿は美しく不思議なオーラを漂わせていて、自然と仄暗い世界観が北村を中心に広がっていく。

純粋無垢だったはずの兄妹だが、無人島で二人きりで時を過ごす中で互いに“抱いてはいけない”感情を抱き始める。何もない島で、二人が心の拠り所にしていた聖書に禁忌と書かれていた感情。その葛藤が深まっていくたびに地獄に近づいていく。北村の悲痛に歪む顔だけでなく、その様子がシャツの色でも表現されていて、淀みない真っ白なシャツが闇に包まれた感情がむき出しになった瞬間を黒シャツに変えることで表現。その黒いシャツ姿で大笑いする姿はなんとも不気味で、これまでとはまた違うオーラを纏って“悪魔”のような表情を見せた。

また、本作では遭難した兄妹の状況を映像として見せていくために、北村の髪や体をこれでもかというほど濡らす場面も。霧吹きで水がかけられ、シャツが肌に張り付くとその冷たさに体をビクッとさせ「冷てっ」と笑う北村の朗らかさに、スタッフも思わず笑みをこぼしていた。この撮影現場において一番驚いたのは、北村の、本番で醸し出す重々しい雰囲気とカメラが止まった時に見せるふわふわとした穏やかな雰囲気のギャップだった。

 

北村は、最新の機材を見て「おぉ!すごい!めちゃくちゃウィーンって言ってる」と子どものようにワクワクした表情を見せたかと思いきや、監督から「こういう気持ちで読んだほうが良いかな」「こういう表情が欲しい」とリクエストされると瞬時にそれを理解し表現するという役者としての勘の良さを発揮。

「さすが、すごい!完璧」と監督も満足の表情。涙を流す場面では理想の流れ方を追求し監督たちと共に根気強く何度もテイクを重ねていた。全員が納得するカットが撮れるたのだが、「(涙のシーンで)メイキングが回っているの恥ずかしすぎる・・・、カットで(笑)!」と茶目っ気を見せていた。

監督と打ち合わせをする真剣な横顔、雑談をしながら照れから花を咲かせたようにこぼれる笑顔、カメラを射貫く鋭い眼光、遭難した兄妹を彷彿とさせる幼い表情、苦痛に歪む顔、大きな瞳から涙をこぼす切ない表情。本作だけでさまざまな表情を見せ、その緩急は観る者の視線を奪って離さない。本編とメイキング、そして配信当日に行われるアフタートークを見れば、その北村の表現力の豊かさに驚くことになるだろう。

本作はその独特な世界観で少々とっつきにくい印象があるかもしれない。でも北村が朗読することで聞きやすく、頭にも入りやくなった。普段は覗き見ることもしないであろう世界に入るには絶好の機会のように感じる。北村のギャップを楽しみながら、ぜひとも新しい世界に踏み込んでみてはいかがだろうか。

作品情報

『Dream Stage -読奏劇-』

【#6】11月4日(水)21:00~
北村諒
朗読作品「夢野久作 著 / 瓶詰地獄」
チケット:https://ima-ticket.com/event/186

【#7】11月7日(土)21:00~
有澤樟太郎
朗読作品「小川未明 著 / 負傷した線路と月」
チケット: https://ima-ticket.com/event/187

【#8】11月10日(火)21:00~
佐藤流司
朗読作品:「芥川龍之介 著 / 藪の中」
チケット:https://ima-ticket.com/event/188

※配信開始後、途中入場可
※アーカイブ配信あり

<シリーズ作品>

【#1】アーカイブ配信(11月30日まで)
太⽥基裕
朗読「シャルル・ペロー 著/眠れる森の美女(原題:眠る森のお姫さま)」
https://ima-ticket.com/event/117

【#2】アーカイブ配信(11月30日まで)
⼤平峻也
朗読「小泉八雲 著/雪女」
https://ima-ticket.com/event/118

【#3】アーカイブ配信(11月30日まで)
崎⼭つばさ
朗読「太宰治 著/走れメロス」
https://ima-ticket.com/event/119

【#4】アーカイブ配信(11月30日まで)
橋本祥平
朗読「ヴィルヌーヴ 著/美女と野獣(原題:ラ・ベルとラ・ベート『美し姫と怪獣』)」
https://ima-ticket.com/event/120

【#5】9月30日(水)21:00~
牧島輝
朗読「宮沢賢治 著/注文の多い料理店」
チケット:https://ima-ticket.com/event/158

【公式Twitter】@dreamline_inc
【公式サイト】https://dreamline.link/dream_stage
【チケット】イマチケ https://ima-ticket.com/dreamstage

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 3号)

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この記事を書いた人

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