11月4日(水)21:00より、「Dream Stage(ドリームステージ)-読奏劇-」第6弾となる北村諒の「夢野久作 著/瓶詰地獄」が配信される。今シリーズは“「朗読」を「Music Video」のように届ける”がテーマになっているが、北村は常々“ミュージックビデオ”に憧れていたとのことですごく楽しみにしていた様子。インタビュー時の明るく笑顔に溢れたほのぼのとした雰囲気とは全く違う“暗闇の中の美しさ”が光る本作を選んだ理由や撮影を終えてみての感想などを聞いた。
――収録を終えられてみていかがでしょうか?
配信での朗読劇などに参加させていただくことは増えてるのですが、朗読をミュージックビデオという映像作品として届けるのは初めてなので、ドキドキしました。他の方の作品を見させてもらった時に、すごく格好良くて感動したのですが、難しそうだなとも思っていたんです。この形ではどうしたらうまく話の世界観を伝えられるだろうかと・・・初めての挑戦だったので、緊張しました。仕上がりがとても楽しみです。
――普段出られている朗読劇と今回のMV仕立ての朗読、違いを感じるところはありましたか?
普通の朗読劇とは違ってカメラですごい顔の寄りとか撮られているので、表情とか、読んでる時の間をどう効果に出来るか・・・というところを意識してます。今回読んでいる『瓶詰地獄』はお手紙を“読む”という要素が大きいので、本を読んでいるけど手紙を読むというちょっと不思議な感覚でした。だからそれを観ている人にどう伝えるのか、手紙を読んでいる生々しさを出しつつ、ちゃんと朗読している姿を見せるというバランスを考えながらやりました。
――今回北村さんは夢野久作の『瓶詰地獄』を読まれますが、この作品を選ばれた理由はなんでしょうか?
王道ではないというか・・・すごく分かりやすいストーリーではないんですけど、せっかくミュージックビデオという雰囲気のある作品なので、それに合ったような不思議な題材がいいなと思い『瓶詰地獄』を選びました。見る人の解釈によって違う、想像を掻き立てられるような作りになっているところが魅力だと思うんですけど、こういうような自分では体験できなかったり、何か不思議な感覚になるような作品が好きなんです。闇に漂っているような不思議な空気感が好きです。元々本を読む時も、ノンフィクション作品のような生々しいものが好きで。その生々しさを楽しめる作品なので、ぜひ皆さんにも感じていただきたいです。
――今回“MV”ということですが、お話を聞いた時どう思われましたか?
ミュージックビデオってめちゃめちゃかっこいいじゃないですか!僕は歌手じゃないですけど、ミュージックビデオを撮ってみたいなって勝手に思っていたんです(笑)。アーティストさんのミュージックビデオに出演させていただいたことはあるのですが、自分のミュージックビデオではなかったので、そういうものに憧れていて。今回お話をいただいた時に「良いんですか!?」って驚いたんですが、すごく嬉しかったです。今日もウキウキで現場に来させていただきました(笑)。
――これまでに何作か配信されてますがご印象は?
人によって作風が全然違うとがすごく面白かったです。同じ人が2人並んでる演出や映像を映しながらとか、人それぞれ色が違ったのでそれがすごい素敵だなぁと思いました。作品によって撮り方や演出を変えていて、それがその役者にも合っていますよね。特に(崎山)つばさの『走れメロス』は雰囲気が合っていて着物姿も印象的だったんですが、みんなカッコいいなと思いました!
――どの作品も本当に素敵ですよね。ちなみに今作の“色”は?
暗い中に人間性が垣間見られるところが『瓶詰地獄』の魅力のひとつでもあるんですが、欲望や綺麗ごとだけじゃないという醜い部分が美しいなと思うんです。ちゃんと醜い部分も見えている方が美しいところが引き立つし、醜い部分に“人間らしさ”を感じられて、ダークな中の美しさ、暗い中の薔薇みたいな魅力が作品全体の雰囲気になっていると思います。
――新型コロナウイルスの影響で自粛期間などあり、その間に演劇の形にも変化がありました。自粛前と後とで何か意識が変わったことはありますか?
改めてお芝居との向き合い方や自分自身を見直す時間になりました。ざっくりいうと、どうしたらお芝居上手くなれるかなとか、どう演じたらこう見えるのか、とか。自分が今まで出演してきた作品などを思い返しながら、どうしたら今までと違うアプローチができるかなとか考えるようになったと思います。
そして、“届ける”ことに対しての意識が強くなりましたね。自粛明けてから配信で一人芝居をしたのですが、目の前にお客さんがいない状態で画面越しに届けなきゃいけないという状況で、エネルギーや気持ちがより一層強くないと届かないだろうなと。その経験を経てより一層舞台に立った時に“人に伝える、届ける”ことを強く意識するようになりました。
一人芝居は「やってみませんか?」とお話をいただいたのですが、西田大輔さんに演出をお願いして書き下ろしで話を書いていただいたんです。自分の物語のような・・・自分だけにしかない作品になったので、すごい大事なものをいただいたなと。自粛などで演劇の形態が色々と変わっていく中で今回の配信もそうですが、そうやって新しく生まれたものも多かったので、悪いことばかりではないなと思いました。
――今年も残り2ヶ月ですが、今年から来年に向けてどうしていきたいなどありますか?
今年は世の中も自分自身も変化がすごいあった年だと思うんです。まだ変化の途中だと思いますが来年以降も新しいものが生まれると思うので、自分のヴィジョンをしっかり定めてまた新しいものをいろんな方に届けられるようにしたいなと思っています!
――最後に確信を楽しみにしてる方へのメッセージをお願いします。
本を読んでる部分だけじゃなくて、目線や顔の表情を捉えた細かいカットもたくさん撮っていただいていて、それがどうハマるのかな、どう組み込まれていくのかなど、僕も仕上がりがすごい楽しみなのですが、ぜひ皆様にもそういうところをじっくり見て楽しんでいただきたいです。
でも、明るい作品ではないので・・・(笑)。ぜひ“心の余裕”を持って穏やかに観始めていただければと思います。作品自体は暗い雰囲気なので、配信時のスタジオトークでは明るくいこうと思っているので(笑)!そのギャップを楽しんでください。
作品情報
『Dream Stage -読奏劇-』
【#6】11月4日(水)21:00~
北村諒
朗読作品「夢野久作 著 / 瓶詰地獄」
チケット:https://ima-ticket.com/event/186
【#7】11月7日(土)21:00~
有澤樟太郎
朗読作品「小川未明 著 / 負傷した線路と月」
チケット:https://ima-ticket.com/event/187
【#8】11月10日(火)21:00~
佐藤流司
朗読作品:「芥川龍之介 著 / 藪の中」
チケット:https://ima-ticket.com/event/188
※配信開始後、途中入場可
※アーカイブ配信あり
<シリーズ作品配信中>
【#1】アーカイブ配信(11月30日まで)
太⽥基裕
朗読「シャルル・ペロー 著/眠れる森の美女(原題:眠る森のお姫さま)」
https://ima-ticket.com/event/117
【#2】アーカイブ配信(11月30日まで)
⼤平峻也
朗読「小泉八雲 著/雪女」
https://ima-ticket.com/event/118
【#3】アーカイブ配信(11月30日まで)
崎⼭つばさ
朗読「太宰治 著/走れメロス」
https://ima-ticket.com/event/119
【#4】アーカイブ配信(11月30日まで)
橋本祥平
朗読「ヴィルヌーヴ 著/美女と野獣(原題:ラ・ベルとラ・ベート『美し姫と怪獣』)」
https://ima-ticket.com/event/120
【#5】9月30日(水)21:00~
牧島輝
朗読「宮沢賢治 著/注文の多い料理店」
https://ima-ticket.com/event/158
【公式Twitter】@dreamline_inc
【公式サイト】https://dreamline.link/dream_stage
【チケット】イマチケ https://ima-ticket.com/dreamstage
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 3号)