2020年9月12日（土）、9月13日（日）に東京・新国立劇場で感謝の恩返しスペシャル企画 朗読劇『半沢直樹』を上演。本作は7月からTBSで毎週日曜21：00から放送されている日曜劇場『半沢直樹』のスペシャル企画で、賀来賢人、尾上松也、南野陽子、角田晃広、佃典彦、山崎銀之丞、土田英生らドラマキャストが出演し、劇場での観劇だけでなく、ライブ配信でも楽しむことが出来る。そんな注目の舞台の模様を伝える。
本作は2013年放送の堺雅人主演ドラマの続編で、池井戸潤氏の半沢シリーズが原作。今回は『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』をドラマ化。毎週放送される度にSNSで話題になり、高視聴率をキープしている注目作だ。
今回のイベントは、今期の連ドラ放送に先駆け、TBSラジオで今年2月から3月に放送された『TBSＳラジオ オリジナルドラマ 「半沢直樹」 敗れし者の物語 by AudioMovie™』（https://www.tbs.co.jp/radio/hanzawa_naoki/）で描かれた「聴くドラマ」の演出をヒントに生まれたスペシャル企画で、出演者が生朗読するという“舞台演出”が重なった、オリジナルストーリーの特別企画となる。劇場は新型コロナウイルスの感染予防対策として席を空けて総キャパの半数程度を入れており、オンライン配信でも楽しむことが出来るようになっている。
2日間の開催で上演されるのは、南野陽子（平山美幸役）×土田英生（平山一正役）による「黒い二人の日記帳」、尾上松也（瀬名洋介役）×山崎銀之丞（広重多加夫役）による「繰り返される時･･･」、角田晃広（三木重行役）×佃典彦（曾根崎雄也役）による「おかしな二人の殺人事件」、賀来賢人（森山雅弘役）×尾上松也（瀬名洋介役）による「初恋の味」という4つの物語。
9月12日の昼公演では、「黒い二人の日記帳」「繰り返される時･･･」の2作品が上演された。「黒い二人の日記帳」はドラマの1話から4話までに描かれたIT企業の買収問題でいわゆる“敵役”だった大手IT企業「電脳雑伎集団」の社長夫婦が半沢直樹にコテンパンにされたあとの後日談が描かれている。ドラマでは心のないようなねっとりとした嫌～な悪役として描かれていたが、それから何年か経った2人の姿はとても人間的で、お茶目さと愛らしさも纏っていた。何年たっても相変わらず虚栄を張ってしまうし、素直なことを言えない似た者同士な二人だけど、まだ上手くいっていた頃におそろいで買った“日記帳”をきっかけに大切なものに気づいていく姿は、ドラマで観るよりとても魅力的で優しく見守りたくなった。
そして「繰り返される時･･･」では、同じく買収問題で“敵側”についていた太洋証券の営業部長・広重のその後の姿が描かれることに。事件をきっかけに会社をクビになり求職活動に勤しむ広重がある人と出会ってまさかの展開になるのだが･･･ここからの流れはぜひ作品を観て楽しんでほしい。ドラマを観ている層からしたら驚きの展開に驚くかもしれないが、それでも役者たちが作り上げる個性的なキャラクターはぶれることなく動いているのですっと話に没頭することが出来る。広重は人間みの強いキャラクターだったが、そこに人間らしい愚かさもプラスされてとても面白い仕上がりになっている。
また、舞台の奥にはスクリーンがあり、舞台の上に立つ2人の表情の機微を観ることが出来るようになっているのだが、たまにドラマ本編の印象的なシーンが効果的に流され、物語に面白さと深みと広がりを与えてくれていた。朗読劇だからと言って、一瞬でも目も疎かにすることができないだろう。なお、基本的に各話舞台に立つのは2人だが、9月13日（日）夜公演で上演される「初恋の味」にはゲストとして坂本真綾が出演し、大塚明夫が声の出演をするということで、さらなる世界観の広がりに期待が出来るだろう。
今回のスペシャル企画では、朗読劇だけでなくキャスト陣によるトークショーも行われ、朗読劇を終えたばかりの感想を語ったり、劇場に集まった観客から寄せられた質問に答えている。9月12日昼公演では、「男女関係なくもし他のキャラクターを演じるなら？」という質問などに回答したり、その流れで撮影の裏側なども赤裸々に語られていた。トークショーにはキャストだけでなく、『王様のブランチ』から藤森慎吾さんが、『伊集院光とらじおと』から伊集院光さんがゲスト出演し視聴者目線で出演者たちに疑問をぶつけてくれている。
感謝の恩返しスペシャル企画 朗読劇『半沢直樹』は9月13日（日）まで東京・新国立劇場で上演。観劇チケットは完売している回もあるが、配信チケットは公演当日の21：00まで購入可能。各公演当日の23：59まで視聴することが出来るという。
【公式サイト】 https://www.tbs.co.jp/event/hanzawa_naoki/
【パラビ視聴ページ】https://www.paravi.jp/title/60905
（取材・文／エンタステージ編集部3号 写真／オフィシャル提供）
