2023年4月20日(木)に東京・俳優座劇場にて、朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』が開幕した。本作は、“セックスレス”をきっかけに、夫婦のあり方、子育てのあり方をコミカルかつ痛快に描いた愛憎劇。篠原涼子、山崎樹範、荒木宏文、佐藤仁美が日替わりの組み合わせで出演する。
原作は、2023年度後期NHK連続テレビ小説『ブギウギ』などの脚本、映画『喜劇 愛妻物語』の監督・脚本などを手掛けた足立紳の同名小説(双葉社刊)。これを、足立本人と新井友香(ドラマ『きみはペット』『かりあげクン』など)の共同脚本によって朗読劇化した。
また、演出として本格的な映像を使用している。映像を手掛けたのは、アジアトップクラスのプロダクションAOI Pro.。映画『万引き』(2018年)やドラマ『silent』(2022年)など、これまで多くの劇場映画、テレビドラマの制作を担当したエンターテインメントコンテンツプロデュース部が企画・プロデュースしている。
劇中に流れるオリジナルドラマは、映画『プリテンダーズ』(2021年)や、4月よりスタートしたドラマ『俺の美女化が止まらない!?』(テレビ東京)の熊坂出が監督を務め、早川聖来(乃木坂46)とゆうたろうが出演している。
物語の舞台は、コロナの話題で持ち切りの2020年春。映画監督してブレイクしかけていた孝志(山崎・荒木 ※Wキャスト)だが、コロナ禍の煽りもあり、鳴かず飛ばず日々を送っていた。浮気相手にも振られる始末。一方、夫に内緒で応募したシナリオコンクールで優秀賞を受賞し、妻・恭子(篠原・佐藤 ※Wキャスト)は、家事育児だけの生活から外の世界に飛び出そうとしていた。
ある日の夕方、ドラマ化が決まった脚本の修正作業に追われる恭子のもとに、保育園のお迎えに言った孝志から一通のLINEが届く。
「今晩、久しぶりにしたいです。どうですか・・・?」
このメッセージをきっかけに、我慢と妥協に満ちた2人の関係が動き始める。夫婦が良い関係を築くために、セックスは必須なのか?容赦なく思いをぶつけ合う中で、2人が辿り着く本当の気持ちとは――。
足立作品に共通するのが、「もがき苦しみながら、それでも絆を信じ生き続ける夫婦」というテーマ。「朗読劇」という制限を設けたからこそ、男女の距離感と共にそのテーマを浮き彫りにしていく。
公開ゲネプロは、篠原と荒木の組み合わせで行われた。リビングと思われる空間に置かれた、食卓とソファ。往年の夫婦ならではの空気感や、男女の受け取り方の違いが、表情や、時折台本からふっと上がる視線のやり場などから、びりびりと伝わってくる。
合間に流れる、出会い、やがて夫婦になっていく若かりし頃の2人の姿がノスタルジックに映し出される故に、青みがかった照明に照らされる現在の2人の温度感を際立たせている。夫役を演じる荒木と山崎、妻役を演じる篠原と佐藤の、個性の違いでまた違う印象になりそうだ。
「したい」夫と、「したくない」妻の、押し問答。ゲネプロでも、男性の笑い声と、女性の笑い声の上がるタイミングの違いが顕著だった。
公開ゲネプロ後に行われた会見には、篠原と荒木が登壇。朗読劇初挑戦という篠原は、「台詞を覚えて入れ込んでやるというよりも、読んで伝えていかなければならないので、すごく難しかったです。言葉は伝え方で形が変わってしまうんだなと・・・。でも、こういう経験をするで、普通にお芝居をする時にも活きる考え方や学びがあると感じています」と、感想を述べた。
荒木とは初共演だが、その印象を「もう、2次元って感じで!」と表現しつつ、「舞台をたくさんやっていらっしゃるので、すごく助けていただいています。どうやって朗読すればいいんだろう?と、荒木さんのお芝居を拝見しながら、なるほど、なるほど、と勉強させていただきました」と稽古を振り返った。
そんな篠原に対し、荒木は「一緒にやっていて、すごく楽しいです。特に会話をしているシーンは、欲が出ちゃいますね。台本を手離して、ちゃんと目を見て台詞を言いたいという欲が。それぐらい、言葉に感情が乗っていて、魅力的な言葉が飛んでくるので、ずっと見ていたいんです。ついつい台本から目を離しそうになってしまうぐらい。なので、ぜひ舞台に出てください(笑)」と、共演希望のラブコールを送っていた。
朗読劇、かつ、2人芝居ということで、台詞量も膨大。楽屋では「一生懸命、人に見せられないような顔の体操したり、舌を出して声を出したりしています」と篠原。荒木に「そういうのやった方がいいんですか?」と問いかけると、「表情筋は大事」とアドバイスを受けていた。
なお、楽屋には協賛企業が美顔器を差し入れし、頭皮マッサージや表情筋のマッサージができるようになっているそうで、荒木は「初めて使いました(笑)」と笑っていた。
辛辣な言葉も飛び交うが、篠原は「夫婦になって、生活を共にしていくと、やっぱり見せたくないところ、見たくないところがいろいろあっても、そんなこと言ってられないじゃないですか。そういう部分がとてもリアルに描かれているので、とても面白いなと思いました」と言い、「結構(夫のことを)ボロクソに言うんですが、申し訳ないなと思いつつ、ストレス発散になっているような気がします(笑)」とコメント。
荒木は、コロナ真っ只中の時期を描いていることに触れ、「つい最近まで皆さんが感じていたことを時代背景に反映して、演劇で表現するというフットワークの軽さがすごいなと。観る方々がすぐにその背景を思い浮かべることができる話だからこそ、朗読劇という動きのない演劇でも僕らが飛ばす言葉に景色をつけやすい作品なのかなと感じています」と評した。
理想の夫婦像について聞かれると、荒木は「両親ですね。僕は兵庫県の田舎で育ったもので、祖父母だけでなく、ご近所さんも見守ってくれている環境で育つことができました。すごく温かくて、今でも(地元に)帰ると『がんばってるな』と声をかけてもらえるんです。あの環境はすごく魅力的だと思いますし、そこで育ててくれた親には感謝しています」と回答。
篠原は「何でも隠さずに言い合える関係性ですかね。今回のようなバトルもできたり、生きてる感情を分かち合えるパートナー関係は、すごくいい夫婦関係なんじゃないかなと思います」と語っていた。
朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』は、4月20日(木)から4月23日(日)まで東京・俳優座劇場にて上演。
なお、4月20日(木)19:00公演(篠原×荒木)と、4月23日(日)15:00公演(篠原×山崎)ではライブ配信も行われる。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』公演情報
上演日時・出演キャスト
4月20日(木)19:00公演 篠原涼子×荒木宏文
4月21日(金)19:00公演 篠原涼子×荒木宏文
4月22日(土)15:00公演 佐藤仁美×山崎樹範
4月22日(土)19:00公演 佐藤仁美×山崎樹範
4月23日(日)15:00公演 篠原涼子×山崎樹範
劇中ドラマ出演キャスト
早川聖来(乃木坂46) ゆうたろう
スタッフ
【原作・脚本】足立紳「したいとか、したくないとかの話じゃない」 (双葉社刊)
【脚本・演出】新井友香
【音楽】 神保治暉(エリア51)
ライブ配信
配信日時
4月20日(木)19:00公演 篠原涼子×荒木宏文
※アーカイブ視聴は 4月26日(水)23:59まで
4月23日(日)15:00公演 篠原涼子×山崎樹範
※アーカイブ視聴は 4月29日(土)23:59まで
配信チケット料金
3,500円(税込)
※各回アーカイブ終了日の18:00まで
チケットぴあ : https://w.pia.jp/t/shitai-shitakunai/
配信プラットフォーム:PIA LIVE STREAM
公式サイト
【公式サイト】https://aoistage.com/shitaitoka/
【公式Twitter】 @aoi shitai