講談社とOffice ENDLESSが共同ではじめたプロジェクト「ひとりしばい」。その第2弾が、2020年6月28日(日)に配信された。第2弾に登場したのは、小澤廉。小澤は、川本成(時速246億)の作・演出による『好きな場所』に挑んだ。本番前に行われた公開ゲネプロ(オンライン)より、その一部をレポートする。
この「ひとりしばい」は、抜擢された俳優が、一緒に作品作りをしたい演出家を指名する形で行われている。稽古・配信ではオンラインミーティングアプリ「Zoom」、観劇は配信課金システム「ファン⇄キャス」、会場は池袋に3月に誕生した新LIVEエンターテインメント複合施設ビル「Mixalive TOKYO」(ミクサライブ東京)内の「Hall Mixa」を使用。
「NO!!3密」を意識した上で、「キャスト・スタッフらに活動の場を」「舞台に立つキャストの姿をお客様に届けたい」という想いで、現在第3弾までが予定されている。今回、川本が初めて一人芝居に臨む小澤に用意したのは、『好きな場所』という作品。
(以下、冒頭のあらすじに触れています)
時間になると、画面に小澤のアップが映し出される。マグカップを片手にくつろぐ小澤。
「あれ?これもう始まってる?」
まさかの自宅から生配信を行っているようだ。
部屋の中のお気に入りのアイテムや、自身が関わっている作品の話題、ゲームについて、自粛期間中にやっていたことなど、次々に好きなものについて話していく。途中、トラブルもありながら、いつもの調子で観ている人たちに向け次々とトークを繰り広げていく。
ZoomのWebセミナーチャットには、ファンからの次々と反応が流れている。その中に、あるアカウントからコンタクトが・・・。
この企画のコンセプトを全部ひっくり返すような、頭の中に「?」が飛び交う始まり。それでも、自然体な小澤のトークにそうそうと同意したり、ツッコんだり。うっかりこれが“ひとりしばい”であることを忘れそうになった頃に気づかされる、「当たり前だと思っていたことは当たり前じゃない」ということ。
何にでもなれる、なんでもできる舞台。その裏側には、それを叶えてくれる人たちがいる。音楽、衣裳、照明、美術、小道具、制作など、各セクションのプロフェッショナルたち。誰かが誰かを支え、応援する気持ちが未来を広げているのだ。
終演後のトークで、「とにかく無事に終わってよかった、ホッとしました」と胸をなでおろした小澤。作・演出の川本も、長い芸歴の中で「こんな気持ちになったのは、初めてかもしれない。“ひとり”ってことは、ひとりじゃないってことなんだよね」と、無観客・生配信・舞台のようで舞台でない、新たな次元の体験に感無量といった様子だった。
小澤は、「芝居が芝居じゃなくなる瞬間というものがあるんですが、その境地に一歩足を踏み入れた気がして泣きそうになりました。目の前にお客さんはいないけれど、普段からみんなが応援してくれて、あたたかい言葉をかけてくれてきた歴史があったからこそ、今日のお芝居ができたんだと思います」と、公演を振り返った。
物理的に距離はあっても、「好きな場所」はちゃんとある。新しい劇場に、早く行ってみたい。等身大の小澤の笑顔が、そんなことを改めて感じさせてくれる温もり溢れる作品だった。
次回、『ひとりしばい』第3弾は7月4日(土)に予定されている。出演者・演出家の組み合わせは、北村諒と西田大輔。各回17:00から。チケットは、各公演3,000円。なお、チケット購入者に限り、終演後から1週間の見逃し配信あり。
【公式サイト】http://officeendless.com/sp/hitorishibai
【公式Twitter】@hitoshiba2020
(C) 舞台「ひとりしばい」製作委員会