坂口安吾に着想を得た『風博士』開幕!中井貴一「余韻を残せたら」

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日本文学シアター vol.6【坂口安吾】『風博士』が、2019年11月30日(土)に東京・世田谷パブリックシアターにて開幕した。「にほん文学シアター」とは、日本文学の先達への憧れとリスペクトを込め、シス・カンパニーと劇作家の北村想が新作戯曲で贈るシリーズ。

北村が、坂口安吾が文壇に認められるきっかけとなった短編小説「風博士」や「白痴」などに創作のインスピレーションを得て、北村が大胆不敵に練り上げたオリジナル作品を、演出の寺十吾、音楽の坂本弘道が舞台上に立ち上げる。

出演は、中井貴一、段田安則、吉田羊、趣里、林遣都、松澤一之、渡辺えり、内藤裕志、大久保祥太郎。

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物語の設定は、敗色濃厚となった戦時下の大陸が舞台。そこでは、風を読むことができる“フーさん”と呼ばれる男と、彼のもとに集まる人々が、迫りくる過酷な現実の中で日々を生き抜いている。

「悲惨な戦争モノ」と思われるかもしれないが、フーさんの周りに集まるのは、兵隊サンも含めて、風の如くそよそよと生きてきた人々たち。わけあって大陸まで渡ってきた彼らは、ある時はミステリアスに、ある時はユーモラスに、ある時はノスタルジックに“風まかせ”。大陸のどこまでも青い空の下で、彼らそれぞれの人生や秘密が交錯していく。

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以下、出演者より届いたコメントを紹介。

◆中井貴一
稽古に入ってから、こんなに泣ける芝居だったのか・・・と驚かされました。戦時中の話ですが、反戦を声高にうたっているのではなく、必死にその時代をただ生き抜く人たちが描かれています。つくづく、北村想さんは文学をエンターテインメントにするさじ加減をよくご存じの方だなあ、と思いました。戯曲の捉え方は人それぞれでしょうが、お客様が様々に想像できる余韻を残せたら、と思っています。

◆段田安則
過去に出演したシリーズ3作も、原作とは違う世界が広がって楽しかったんですが、今回も、原作とは全く別モノで戦時中のお話です。戦争は兵隊だけでなく、その周りの人も悲惨な目に遭わせます。そんな時代に、どんな人がいて、どう生きてきたのか・・・。皆様には、北村想さん独特の「それ無茶苦茶では?」という破天荒な展開を楽しんでいただきつつ、心に響く何かを感じ取っていただきたいと思っています。

◆吉田羊
北村想さんの戯曲は言葉遊びに満ち魅力的で、寺十さんの遊び心に溢れた演出で、キャラクターたちが生き生きとしてくるのには目を見張りました。死と隣り合わせの環境の中、それでも全力で生き抜く人たちを明るく軽やかなタッチで描いていますが、その明るさが逆に悲しくもある・・・。お客様には、笑いながらも、その背中合わせにある悲しみや怒りといった感情を汲み取っていただけたら嬉しいですね。

◆渡辺えり
北村想さんは同世代の演劇人ですが、その作品を役者として演じるのには、いつも難しさを感じて、今回も悩みながらの稽古でした。最初に、この台本を読んだ時に反戦への思いを強く感じました。私が演じる梅花のように、実際に大陸に渡った女性たちの真情を思うと切なくなります。彼女たちの存在を「なかったこと」にしないためにも、当時の女性たちのリアルさを出せるようにしたいと思っています。

日本文学シアター vol.6【坂口安吾】『風博士』は、以下の日程で上演。上演時間は、約約2時間(休憩なし)を予定。全公演当日券あり。販売方法は、公式サイトにてご確認を(東京公演では各公演日の前日に、当日券購入のための「整理番号」を電話で予約する必要あり)。

【東京公演】2019年11月30日(土)~12月28日(土) 世田谷パブリックシアター
【大阪公演】2020年1月8日(水)~1月13日(月・祝) 森ノ宮ピロティホール

【公式サイト】http://www.siscompany.com/kazehakase/gai.htm

(撮影/宮川舞子、写真提供:シス・カンパニー)

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