2016年10月2日(日)まで東京・「劇」小劇場(下北沢)にて、野生児童Wプロデュース企画 vol.1『流砂ゑ堕つ』が上演されている。野生児童は、劇団鹿殺し入団3年目の有田杏子が立ち上げたプロデュースユニット。これまで「群像劇」という形式で2回公演を行っているが、今回は、第2弾の『ガムシャリズム』で出会った劇団居酒屋ベースボールの新里哲太郎と共に取り組むプロデュース公演として「濃厚な会話劇」に挑戦。
脚本を有田、演出を新里が手掛け、日本のシェイクスピアとも呼ばれる近松門左衛門の『女殺油地獄』を原作に、現代の世の物語として再構築。今も昔も、変わらず愛に狂い落ちていく人の姿を描く。
出演は、高橋良輔、橋本仁、岸田エリ子(演劇ユニット ルソルナ)、大橋繭子(演劇集団円)、河内大和(カクシンハン)、のぐち和美(青蛾館/カクシンハン)、新里哲太郎(劇団居酒屋ベースボール/T-produce)、有田杏子(劇団鹿殺し/野生児童)。
公演にあたり、有田と新里からコメントが届いた。
◆有田杏子(野生児童・主宰)
近松門左衛門の魅力は「論より情」が土台になっているところだと思います。舞台で上演するのは難しい今作を“いかに野生児童らしくできるか”ということにやりがいを感じ、それを創作する上で濃厚で深い役者さんと私には思いつかない演出をしてくれる人を求め、このカンパニーが成立しました。凄惨な事件が起こっている昨今ですが、その根源はほとんどが不器用な人間たちが相手を思い、行動し、すれ違ってしまった結果なのではと思っています。私自身も不器用な人間の一人です、愛しくて不器用な人間たちの家族、恋人、友人とのドラマをどうぞお楽しみください。
◆新里哲太郎(劇団居酒屋ベースボール)
流砂へ堕つ。欲望と愛と優しさはちぐはぐに絡み合い、人の理性が食べられてしまう。そんなお話になりました。今まで幾度となく様々な形で上演された『女殺油地獄』をベース書き上げられた有田杏子の本を僕なりの解釈とそこから広がる想像で演出させていただきました。小劇場ならではの臨場感を楽しんで頂ければなと思います。最後に、遅れましたが、この度演出をさせて頂きました劇団居酒屋ベースボール新里哲太郎でございました。ご一読ありがとうございます。
野生児童Wプロデュース企画 vol.1『流砂ゑ堕つ』は、東京・「劇」小劇場(下北沢)にて10月2日(日)まで上演。