乃木坂46桜井玲香、若月佑美がWキャストで主演!『嫌われ松子の一生』黒い孤独篇ゲネプロレポート

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2016年9月29日(木)に東京・品川プリンスホテル クラブeXにて開幕した舞台『嫌われ松子の一生』。本作は、山田宗樹による小説を原作とし、過酷な運命に翻弄される女性・川尻松子を描いており、これまでにも映画やTVドラマとして映像化されている人気作品。今回、主人公の松子役には、乃木坂46から桜井玲香と若月佑美がWキャストとして抜擢された。桜井の方を「赤い熱情篇」、若月の方を「黒い孤独篇」と銘打ち、同じ脚本で二人がそれぞれの松子を演じる。初日前に行われた「黒い孤独篇」の公開ゲネプロの模様をお届けしよう。

(以下、物語の内容と配役に触れています)

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劇場に入り、まず目を奪われるのが舞台セットだ。客席に囲まれた舞台は、十字架を模したような形になっており、後方には教会の祭壇とも思えるセットが配されている。十字型の舞台の下には各シーンで使われる小道具類が置かれており、役者の衣装替えもそこで行われる。また、舞台の下の通路なども、舞台空間としてふんだんに用いられるので、役者の息づかいまで感じられるほどの距離感も相まって、まるで松子たちと同じ世界にいるような臨場感に溢れていた。

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物語は、傷つき汚らしく老いた松子が、中学教師だった頃の回想から始まる。中学教師だった松子は、教え子の龍洋一が起こした窃盗事件をきっかけに職を追われ、家族とのいざこざから家を飛び出し失踪してしまう。オープニングでは、倉橋ヨエコの「電話」が流れる中で、松子の上を通り過ぎて行く男たちが、次々と現れては消えていく。これからの彼女の激動の人生を暗示させる印象的なシーンを経て、物語は進み出す・・・。

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主演の若月は、純粋無垢な中学教師、結果を出せない作家を養う女、ソープ嬢、殺人犯、醜く老いた姿という、若月自身の普段のイメージからかけ離れた松子という女性を、時にかわいらしく、時に艶やかに、そして狂気をもって演じていた。「赤い熱情篇」で同じ松子役を演じる桜井との違いも気になるところ。

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そして松子の人生に関わっていく男たちを演じる配役も注目だ。松子の中学教師時代の教え子で、やがて松子と付き合うことになる龍洋一役にオレノグラフィティ(劇団鹿殺し)、文学に生きようとするも結果を出せず苦悩する八女川徹也役に吉川純広、八女川の友人で彼に嫉妬していた岡野健夫役に岡田達也(演劇集団キャラメルボックス)、不器用な男で松子が働く風俗店のマネージャーを務めていた赤木役になだぎ武、その風俗店の常連で快楽主義者である小野寺保役に堀越涼(花組芝居)、理容室を営む島津賢治役に藤田秀世(ナイロン100℃)と、舞台を中心に活躍している俳優陣がキャスティングされている。実力派のキャストたちが、若き主演をしっかりと支える姿は実に頼もしい。

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原作では、父親から松子という伯母の存在とその殺害を知らされた甥が、彼女のアパートの後始末に行き、松子殺しの犯人として警察に追われていた男と出会ったことから、甥目線で松子の人生を辿っていく話と、松子自身の目線で語られる話が交差して綴られている。だが、今回の舞台では甥は登場せず、松子・龍・岡野の回想を中心に、恋愛関係に焦点を当てた切り取り方をしており、原作ファンも新鮮な気持ちで観ることができるだろう。

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密な空間で繰り広げられる一人の女性と、彼女を取り巻く6人の男たちの愛憎劇。過酷な運命に翻弄されながらも愛に生き、壮絶な人生を送る松子の行き着く先に何が待っているのか・・・?ぜひ、劇場でその結末を目撃してほしい。

舞台『嫌われ松子の一生』は東京・品川プリンスホテル クラブeXにて9月29日(木)から10月10日(月・祝)まで上演。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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