2016年6月10日（金）に新国立劇場・小劇場で開幕する『Tell Me on a Sunday～サヨナラは日曜日に～』。ミュージカル界の巨匠、アンドリュー・ロイド＝ウェバーが70年代の終わりに発表し、公私ともに彼のパートナーだったサラ・ブライトマンも出演した”伝説“のソロミュージカルだ。
日本初演となる今回、主役のエマを演じるのはロイド＝ウェバー作品を始め、多くのミュージカルで圧倒的な存在感を見せる濱田めぐみ。5月20日（金）に都内で行われた製作発表には濱田と演出を担当する市川洋二郎が登壇し、作品に対する思いや、新たな挑戦について熱を持った口調で語った。今回はその模様をレポートしたい。
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舞台上が暗くなり、ピアノ演奏が流れる中、革ジャン、ショートパンツ、青いタイツといった衣装で濱田が登場し、劇中のナンバー「放っておいてよ」と「1通目の手紙」の2曲を歌い上げる。デザイナーになりたいという夢を持って、ロンドンからニューヨークへやってきたエマ。夢を追いながら恋に傷付き、落ち込みながらもまた立ち上がる女性の思いをひたむきに歌う彼女の姿に場内の熱量も一気に上がっていた。
2曲の歌唱披露が終わったところで演出の市川を交えてのトーク＆質疑応答へ。これが日本のミュージカル界での本格デビューとなる市川は本作について「エマの自立と成長、そして彼女の旅路を描いた物語。生きること、人間が自分の足で立つということに焦点を当て、一人の女性の人生を丁寧に積み上げていきたい。濱田さんがこれまでやったことがないようなことにも挑戦して貰っています」と語り、濱田は「最初にお話を聞いた時はまだ“ソロミュージカル”というのがどんなものかピンと来なかった。実際にお稽古に入って“お茶漬けがない”･･･と。メインディッシュ･･･ずっとステーキが続いているような作品なんです」とチャーミングな表現で話した。
報道陣から「濱田さんがこれまでやったことがないことにもチャレンジするというお話があったが、具体的にはどんなことを？」と質問が飛ぶと、市川が「今回はかなり“女性的な仕草や表現”にトライして貰っています。濱田さんは“私の辞書にはないなぁ”なんておっしゃっていますが（笑）、僕としてはここをリアルに作りたいと思っていて。あとはソロミュージカルですので“歌いながら舞台転換をする濱田めぐみ”の姿もご覧いただけるのではないかと」と笑顔で語り、会場の笑いを誘っていた。
また、劇団時代から知己があったという互いの第一印象については、市川が「僕は自分が劇団に入る前からずっと客席で濱田さんのことを観ていて、とても柔軟に、そして繊細に役を演じる方だな、と思っていました。実は濱田さんが演じた役で一番好きだったのは『ウィキッド』のエルファバだったんですが、常に張りつめた緊張感の中、本当に丁寧に演じていらして、あの人とお芝居がしたいと強く思って劇団に入ったんです。舞台上の張りつめた感じが嘘のように普段はとても気さくな方で、仲良くさせて貰っています」と語り、それに対して濱田は「初めて会った時に直感で“あ、この人絶対に頭がいい！”って思いました。本も沢山読んでいるし、普段の会話の中でも必ず欲しい答えが返ってくるんです。今は演出家として現場を仕切ってくれていますが、とても信頼して任せられる･･･“お母さん”（笑）いや、“お父さん”みたいな存在です。今回、私は市川さんが創る素敵な世界観に安心して寄り添っていきたいと思っています」と改めて信頼を寄せていた。
最後に濱田が本作の表題曲「Tell Me on a Sunday」をドラマティックに歌い、この日の製作発表は終了。
『Tell Me on a Sunday～サヨナラは日曜日に～』は、約70分の上演時間中、台詞はなく、25曲の歌のみで物語が綴られていくという構成。客席数400の濃密な空間で、濱田めぐみという常に挑戦し続ける女優がどんな冒険を魅せてくれるのか･･･開幕を楽しみに待ちたいと思う。
ミュージカル『Tell Me on a Sunday～サヨナラは日曜日に～』は6月10日（金）より新国立劇場・小劇場にて上演される。
（取材・文 上村由紀子）
