トニー賞ノミネート作品を先取りチェック!その1 初めてミュージカルを作ろうとした兄弟の物語『Something Rotten!』

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トニー賞授賞式が間近にせまった今週は、トニー賞作品賞にノミネートされた話題のミュージカルを現地から紹介しよう!

『Something Rotten!』看板

まず、紹介するのはトニー賞10部門にノミネートされたコメディ・ミュージカル『Something Rotten!』。舞台は1595年、イギリス演劇界のルネサンス期、まさにウィリアム・シェイクスピアが大活躍した時代だ。主人公は、シェイクスピアの人気の影に埋もれた劇作家ボトム兄弟。物語は、公演間近の舞台が、シェイクスピアと内容がかぶっていることが発覚し、中止に追い込まれるところから始まる。窮地に立たされた兄ニックは、ヒット作を生み出すアイデアを求めて、ある予言者に相談にいく。すると、彼は「音楽にあわせて、セリフを歌で表現する“ミュージカル”が将来、大人気になる」と予言。「セリフを歌で!?」と驚くニック。当時はとんでもないアイデアだったが、兄弟は世界初のミュージカルを完成するために動き出す。

予言者が、将来ヒットするミュージカルを「あんなのもある、こんなのもある」と次々と歌っていくナンバー「A Musical」では、ブロードウェイ史に残るミュージカル・ナンバーのメロディが、オリジナルの歌詞に合わせて少しずつ登場。それはまさに人気ミュージカルへのリスペクト!ミュージカル・ファンにはたまらないパロディ・メドレーになっている。ちなみに現在、この「A Musical」ナンバーが、トニー賞授賞式のパフォーマンスで登場する予定だ。

主人公ニック・ボトム役を演じるブライアン・ダーシー・ジェイムズとシェイクスピア役のクリスチャン・ボールは、ドラマ『SMASH/スマッシュ』に出演しているので、日本でもご存じの方はいるかもしれない。

『Something Rotten!』パンフ

サインは、クリスチャン・ボール(シェイクスピア役)、ブラッド・オスカー(予言者ノストラダムス役)、ブライアン・ダーシー・ジェイムズ(ニック・ボトム役)ほか。

「シェイクスピアなんか大嫌いだ。あいつの芝居は、やたら言葉が多くて話が長い!」と対抗意識むき出しのニックと、ロックスターのように人々からあがめられているシェイクスピア。本作には、シェイクスピアの有名なセリフなどもユーモアたっぷりに登場するので、舞台ファンにはたまらない一作になっている。

『Something Rotten!』サイン

6月2日に本作を鑑賞。セント・ジェームズ劇場はほぼ満席で、劇場はたえず笑いに包まれていた。もちろん、最後は総立ちのスタンディング・オベーション。トニー賞発表がますます楽しみになる。

トニー賞ノミネーション
□主演男優賞 ブライアン・ダーシー・ジェイムズ
□助演男優賞 クリスチャン・ボール
□助演男優賞 ブラッド・オスカー
その他、7部門でノミネート

◆生中継! 第69回トニー賞授賞式
 6月8日(月)8:00より、WOWOWプライムで生中継!

Photo:柏木しょうこ

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この記事を書いた人

ライター・翻訳家。小劇場で演出・戯曲作家の活動をきっかけに戯曲翻訳から翻訳の世界へ。ドラマ『ブレイキング・バッド』などの字幕翻訳、舞台『8人の女たち』(いずれも演出・上演台本:G2)などの戯曲翻訳に携わる。

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