2018年12月13日(木)より東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演される「極上文學」 第十三弾『こゝろ』。「極上文學」シリーズには何度も出演し、今や欠かせない存在となっている藤原祐規と、今回が「極上文學」シリーズ初登場となる松井勇歩に、本作にかける意気込みと稽古場“あるある”について話を聞いた。
――12月13日(木)より「極上文學」 第十三弾『こゝろ』が上演されます。藤原さんはもう何度も出演されている常連ですが、今作に対する意気込みは?
藤原:スタッフさんから聞いた情報によると、今回の『こゝろ』は、お客様の“上演してほしいアンケート1位”の作品らしいので、ちょっと身が引き締まる思いです。僕が『こゝろ』を読んだのはかなり前なんですが「ドロドロした話だったな」という印象で。稽古前に原作を読み返してみようかなと思っています。
松井:僕も学生の時に授業で読んだきりなんですが、先生が「夏目漱石の小説に出てくる女性はなんでこんなに美しいんだろう」と言っていたのが印象に残っています。
――本シリーズでは、女性役も男性キャストで演じられてきましたが、皆さん、いつも本当に綺麗だなと。今回も“お嬢さん”や“妻”が出てきますが、もしかしたら藤原さんや松井さんが女性役を演じる可能性も・・・?
藤原:それはない!(笑)もしやることになったら制作さん冒険し過ぎですよ~。
――配役発表が楽しみです(笑)。松井さんは、「極上文學」初参加ですね。
松井:朗読劇自体、つい最近初めて経験したばかりで、この作品が2本目になるんですよ。
――前回の極上文學 第十二弾『風の又三郎』には同じ劇団Patchの納谷 健さんが出演されていましたが、何かお話されましたか?
藤原:健って劇団Patchだったの?
松井:はい、僕の後輩になります。
藤原:なるほど!健の先輩なのか。
松井:その節は健がお世話になりました(笑)。実は、健が出ていた「極上文學」の稽古場が、ちょうど僕が出演する作品の稽古場の向かい側だったので、休憩時間、健から「朗読劇だけど結構動きがあるし、マルチキャスティング方式で毎回演じる人が変わる」という話を聞いていて、すごく興味があったんです。なので、今回出演が決まって嬉しいです。
――初参加の松井さんに、経験者の藤原さんから何かアドバイスはありますか?例えば「極上文學」シリーズ“あるある”とか。
松井:ぜひ聞きたいです!
藤原:え~、何だろう?・・・朗読劇って、椅子に座ったままとか声だけで演じることが多いけれど、「極上文學」は“台本を持った舞台”。相手を見ながら「そろそろ俺の台詞だな」と思ったら、台本に目を移して読みつつ相手を見て動いて・・・。覚えた台詞のストックがなくなってきたら、パッと台本に目を移して覚えてっていう動作は、慣れると台本があるのが煩わしく思うけれど、完璧に覚えて台本を見ないでいると、演出のキムラ真さんに「朗読劇の意味ないじゃん!」って怒られるんですよ。“朗読演劇”というカテゴリーなので、たとえ台本を全部覚えたとしても、ポーズとして台本を見ないといけないんだよね。
――台本を見る動作も、演出の一部ってことなんですね。
松井:いいことを聞きました。僕、しゃべっている相手をジッと見ちゃう癖があって、先日の朗読劇の稽古中にも「台本があることをしっかり意識してください」って演出の方に言われたんですよ。今回もそこにまた苦戦するのかな・・・。でも、おもしろいですよね。完璧に覚えちゃうと怒られるって(笑)。普段の舞台は完璧に覚えないと怒られるのに。
藤原:バッチリ覚えて来て、台本そっちのけで独白をし始めると途中で芝居を止められて「だから覚えちゃダメなんだよ」「はい、すみません」みたいに言われるから(笑)。まぁ、こればっかりは慣れだよね。
松井:聞いておいて良かった!
藤原:台本は、自分の台詞がないシーンはクリップで留めて開かないようにするとか、自分の番が来た時に一発で開けるようにするとか各々カスタマイズしているんだよね。あと客席を使った芝居の時には、お客様が台本を覗き込んで「ふ~ん」ってなることが時々あるから、ページの書き込みは“ささやか”にします(笑)。
松井:あはは!「アイツ、めっちゃ書き込んでるやん」って?
藤原:「赤い文字でダメ出し書いてある!」みたいに思われるのはちょっと恥ずかしいから(笑)。なるべく見えないような角度で台本を持ったり、動きに工夫したり・・・難しいんだけどね。
松井:それも大事な裏技ですね(笑)。
藤原:一番大事なことは、そのカスタマイズした台本はちゃんと劇場まで持って行くこと!稽古場に忘れて帰ったり、違う人の台本を持って帰ったりするヤツがいると現場が超テンパるから、それは気をつけなきゃいけない(笑)。
松井:最重要注意事項ですね!あ~、良かった。今日聞いておいて。事前にこういうことを聞いているかいないかで、心構えが全然違ってきますよね。
――ほかにも聞いておきたいこと、ありますか?
松井:僕、演出のキムラ真さんとは今回初めてお仕事をさせていただくんですが、どんな方なんですか?
藤原:キムラさん自身は、すごく“いかつく”て、スキンヘッドで体格もガッシリしているんだけれど、実は人見知りな方なので全然怖がらなくて大丈夫。お芝居的には演者の熱量というか、分かりやすいお芝居を好まれる方というイメージだね。
松井:そう聞いて、稽古がますます楽しみになりました。今回は初共演の方がほとんどだし、稽古の進め方も初めて経験することなんやろなって思うのでワクワクしています。とりあえず稽古場では元気よく声出して行こうかなって思います!
藤原:体育会系だ、いいね!まずそこからだ(笑)!
――では、上演を楽しみにしている方たちにメッセージをお願いします。
松井:僕らの世代は夏目漱石のような“名作”と言われる文学作品をあまり身近に感じてこなかった人が多い世代だと思うので、今回の朗読劇を観てくれた人が名作の世界に親しむきっかけになれば・・・。2018年の最後に、皆さんの記憶に残るような作品をお届け出来るようにがんばります!
藤原:複雑な人間関係を描いた物語ですが、この作品を“今”上演して、皆さんからどんなリアクションが返ってくるのか個人的には楽しみです。本当にありがたいことに何度も呼んでいただいているシリーズなので、松井くんをはじめ初参加の方たちともコミュニケーションをとりながら、一生懸命に演じたいと思います。楽しみにご来場ください。
――ところで、お二人は今日が初対面だそうですね。最後にお互いの印象を伺えますか?
藤原:人柄とか、まだ全然見えてきてないけれど、稽古場でグイグイ来そうだなって(笑)・・・Wキャストじゃないといいなって思います!
松井:えー!何でですか!!
藤原:だって「探って来てるな」って思われるのもイヤだし(笑)。僕は話し合って芝居も作って行きたいタイプなのでことあるごとに話しかけたいなと思います。
松井:僕は、今はまだこんな感じで敬語ですが、最終的に「兄貴!」って呼んでいるんやろうなって思うくらい、もう心を開き始めています(笑)。いろいろ頼らせていただこうかなと思っているので、よろしくお願いします!!
◆公演情報
極上文學 第十三弾『こゝろ』
12月13日(木)~12月18日(火) 東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
【演出】キムラ真(ナイスコンプレックス)
【脚本】神楽澤小虎(MAG.net)
【音楽】橋本啓一
【出演】内海啓貴、櫻井圭登、白石康介、芹沢尚哉、釣本 南(Candy Boy)、東 拓海、平野 良、藤原祐規、松井勇歩(劇団Patch) (五十音順)
【公式HP】https://www.gekijooo.net/13th-kokoro/
【公式Twitter】@MAG_play
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