『MANGA Performance W3(ワンダースリー)』演出家・ウォーリー木下に開幕直前インタビュー!

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漫画、アニメの世界的巨匠である手塚治虫が、2018年に生誕90周年を迎える。これを記念して、手塚治虫自身がことのほか愛着を持っていた初期の作品「W3(ワンダースリー)」が舞台化されることになった。ノンバーバルのパフォーマンスとして新たに生まれ変わるのだ。その演出を手がけるウォーリー木下に、彼自身の演出家としての考え方やこだわりを聞いた。

『MANGA Performance W3(ワンダースリー)』_ウォーリー木下

──学生時代に劇団を結成したウォーリー木下さんですが、 演劇の世界に足を踏み入れたきっかけは何だったのでしょう?

演劇にハマったきっかけは、大学に入って演劇サークルに入ったことでした。教室に作った小さな舞台で、鴻上尚史さんの戯曲を観たのですが「こんなに面白い世界があるんだ」と、カルチャー・ショックを受けました。僕の大学時代はちょうど小劇場ブームの頃で、演劇の世界に活気があったんです。

──そこからは演劇一筋、という感じですか?

演劇というか、小説を読むのが好きで、物語を作りだすことに、子どもの頃から興味がありました。それに、映画も作ってみたい、音楽が好きだからバンドもやってみたい、という感じで、いろいろな表現方法に興味がありました。だから、演劇の中で音楽を表現したい、とか、舞台と映像を組み合わせた表現をしたいと、エンターテインメント全体にハマっていた、 という感じです。

演劇とか舞台が大好きな一方で、僕は他のジャンルのことへの憧れがすごく強いんです。 さきほど言った音楽や映画はもちろん、スポーツにもすごく惹かれます。スポーツって圧倒的な身体表現でしょう?理屈抜きで、 観る人を感動させる。そういうのっていいなあ、という気持ちはずっとあります。だから、台詞だけでなく役者さんの身体表現やリズムや音楽で、観る人の心を揺さぶりたいという気持ちはずっとありました。

──それがノンバーバル・パフォーマンスを創作する動機になったのでしょうか?

20代の前半に、ニューヨークでブルーマン・グループのパフォーマンスや『STOMP』を観た影響は大きいです。“なんか意味は分からないけれど、おもしろい”というのが、ライブではあると知りました。台詞で説明するのではなくて、テンポやリズムで観客の共感や感動を生み出すことができる、というのを実感しました。

──今回『W3(ワンダースリー)』をノンバーバルの舞台にすることについては、どんなことを目指していますか?

僕の周りには、いわゆる手塚マニアがたくさんいるので、そういう巨匠の作品を託されることは、やはり名誉なことだと感じています。これだけ複雑で深みのあるストーリーのある原作をノンバーバルで表現するのは、僕にとって初挑戦で最初は苦労しました。言葉で筋書きを説明するのではなくて、ダンスやマイム、音楽が生み出すリズムとテンポ、役者さんの呼吸や表情で、観客の皆さんと一緒に物語を進めて行く舞台にしたいと思っています。

──観客も舞台に影響するのですか?

もちろんですよ。それに今回の舞台には、お客さんにも参加していただく場面がいくつかあるので、お客さんによって、全然違うものが生まれるはずです。そういう楽しさは、やはり映画や平面媒体にはないライブならではのものなので、ワクワクしますよ。

──公演ごとに、 キャストの組み合わせも違いますよね。

そうです。今回の舞台は登場するキャストは5人ですが、それを15人のキャストでシャッフルして演じていきます。そのために細かくカウントを取って、相手役が替わってもリズム感が狂わないように、演出を決め込んでいます。僕が演出を細かく決めれば決めるほど、おもしろくなると思っています。演出家がやれることをすべてやって、役者がそれを受け取って舞台の上で完成させるのが、僕の理想です。

『MANGA Performance W3(ワンダースリー)』

◆公演情報
『MANGA Performance W3(ワンダースリー)』
11月3日(金・祝)~12月22日(金) DDD青山クロスシアター

【原作】手塚治虫 漫画「W3(ワンダースリー)」
【構成・演出】ウォーリー木下
【出演】
西島数博 フィリップ・エマール 川原一馬 椎原夕加里 石井咲
藍実成 坂口修一 梅澤裕介 松本ユキ子 関口満紀枝
伊藤壮太郎 鈴木秀城 坂口涼太郎 廣瀬水美 手代木花野
※各公演のには上記より5名が出演、出演スケジュールは公式HPにてご確認を

【公式HP】http://www.manga-p-w3.com

※手塚治虫、手塚プロダクションの「塚」は、 旧漢字が正式表記

(取材・文・撮影/オフィシャル支給)

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